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4884 クリングルファーマ

東証G
545円
前日比
-19
-3.37%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
1.51
時価総額 35.5億円
決算発表予定日

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アジア投資 Research Memo(6):プロジェクト投資における各事業が着実に進展。


■日本アジア投資<8518>の活動実績

1. PE投資
(1) ファンド運用残高(ファンド新設の進捗)
同社グループが管理運営等を行っているファンドの運用残高は11件で16,450百万円(前期末は11件で17,390百万円)と減少した。一方、地域金融機関向けに募集を開始した中堅中小企業の海外進出を支援するファンドについては、その成果の1つとして「北海道地域中小企業グローバル化支援投資事業有限責任組合」(151百万円)の新設を実現するに至った。

(2) 投資実績(戦略投資の実行、及び既存資産の流動化の進捗)
同社グループの自己勘定及び同社グループが管理運営等を行っているファンドからの投資実行額については5社に対して合計322百万円(前期は12社に対して合計1,224百万円)を行った。そのうち、プロジェクト投資のパートナー企業への戦略投資が2件含まれており、戦略投資残高は1,155百万円(前期末は1,005百万円)と中期経営計画の目標(10億円)を上回ったうえで着実な伸びを継続している。一方、中期経営計画に従って進めてきた既存資産の売却及び流動化については、株式売却の期ずれ等の影響を一部受けたものの、海外での大型の投資回収を実現したことにより一定の成果をあげることができ、戦略投資以外のPE投資残高は前期末比24.2%減の5,612百万円に減少した。それらの結果、PE投資全体の投資残高は88件で6,767百万円(前期末は98件で8,405百万円)となっている。

(3) IPOの実績
IPOの実績は国内2社となった。2020年12月25日にファンペップ<4881>※1、12月28日にクリングルファーマ<4884>※2がともに東証マザーズ市場に上場している。

※1 機能性ペプチドを用いた医薬品等の研究開発事業。
※2 HGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を用いた難治性疾患の治療薬の研究開発。


(4) アジアネットワークの強化
2020年9月には、ベトナム全土に280支店を展開するマリタイムバンク(商業銀行)と業務協力協定を締結した。本件により、クロスボーダービジネスの展開やベトナム企業とのM&Aニーズを持つ日系のアジア企業などに対して、銀行サービスやその他の資本提携機会を提供していく方針である。特に、既述した地域金融機関との連携強化(中堅中小企業のグローバル化を支援するファンド)と融合させ、新しいビジネス機会の創造に結び付けていく戦略を描いている。

2. プロジェクト投資
(1) 投資実績
投融資実行額は、14件(そのうち、追加投資7件)に対して合計1,445百万円(前期は11件に対して合計2,240百万円)となった。他方、稼働済みのメガソーラープロジェクト7件を売却したことにより、2021年3月期末の投融資残高は33件で6,088百万円(前期末は33件で6,786百万円)に減少している。そのうち、16件がメガソーラープロジェクト、5件がメガソーラー以外の再生可能エネルギープロジェクト、12件がその他のプロジェクト(スマートアグリ、ヘルスケア、商業ビル、物流施設)となっている。

(2) 各事業の進捗
a) メガソーラー
稼働済みのプロジェクト7件(合計18.3MW)を売却(一部売却を含む)したことにより、2021年3月期末のプロジェクト数は16件(18発電所)で合計70.5MWとなった。そのうち、売電中のプロジェクトは10件(12発電所)で合計37.9MWとなっている。

b) メガソーラー以外の再生可能エネルギー
木質バイオマス発電1件(2.0MW/売電中)、バイオガス発電3件※(合計1.13MW/売電中)、風力発電1件(最大25.2MW/建設・企画中)の合計5件となっている。そのうち、2021年3月に売電を開始した羽村バイオガス発電所(1.1MW)については、食品廃棄物からバイオガスを生成して、発電に再利用する食品リサイクル事業を営む(株)西東京リサイクルセンターがオペレーションを手掛けている。近年では、フードロスの削減が進められているが、食品廃棄物を完全にゼロにすることは現時点で困難であることから、廃棄物をそのまま処分するのではなく、再生可能エネルギーとしてリサイクルするこの事業は、持続可能な社会の発展に大きく寄与するものとして注目されている。

※そのうち1件は、バイオガス発電所のオペレーターに対する投資。


c) スマートアグリ(植物工場)
篠山工場(レタス)については、大手コンビニエンスストア向けの販路開拓に成功。無農薬で栽培したサラダ用のレタス販売に加え、コロナ禍により拡大した中食需要も獲得し、黒字化に道筋をつけることができた。また、2021年3月にはレタス2号工場の建設にも着手している。一方、戦略投資先のMD-Farm(エムディーファーム)(株)が手掛ける工場栽培のイチゴ※については、販売候補先の開拓に取り組んだものの、実現には至らなかった。

※MD-Farmは、閉鎖型の植物工場で、国産のイチゴ品種を通年にわたり安定的に栽培している。工場でのイチゴ栽培は、長年の間技術的に困難とされてきたが、独自に開発した技術により実現にこぎ着けた。高品質で鮮度が高く、しかも完全無農薬で栽培された安全なイチゴを通年で提供することで、大きな潜在需要の獲得を見込んでいる。


d) ヘルスケア
2020年8月に2件の障がい者グループホーム(静岡県浜松市、広島県広島市)の営業を開始するとともに、下期にはさらに2件の障がい者グループホーム(栃木県宇都宮市、埼玉県加須市)の新規融資を実行した。グループホームの運営は、戦略投資先であるソーシャルインクルー(株)が担っている。日本アジア投資(株)は、この事業を金融機関から融資を受けることのできる事業として取り組んでおり、今後も地域金融機関との連携により、規模を拡大するためのスキームを検討しながら、建設数を増加させていく方針である。足元では地域金融機関と提携した新規案件の開発が加速しており、さらに6件の案件を進めている。また、高齢者向け施設でも1件の投資実績(港区南青山)をあげている。

e) ディストリビューションセンター(物流施設)
既に投資した2件のプロジェクト(埼玉県越谷市、神奈川県厚木市)については、売却候補先の開拓に努めたものの、実現には至らなかった。また、案件の開発が遅れたため、新規投資についても1.5億円(計画は12億円)にとどまった。もっとも、コロナ禍のもと、新しい生活様式や巣ごもり消費によるeコマースの拡大に伴って、物流施設の需要はひっ迫しており、今後は投資が進捗していく見通しである。なお、プロジェクトの開発は、戦略投資先のKICホールディングス(株)が行っている。日本アジア投資(株)では、プロジェクトの初期段階に投資する開発型プロジェクトとして、完成後の売却を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《NB》

 提供:フィスコ

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