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4726 SBテクノロジー

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SBテク Research Memo(4):2023年3月期第1四半期は公共とエンタープライズ向け案件が増加、増収けん引


■業績動向

1. 2023年3月期第1四半期の連結業績の概況
SBテクノロジー<4726>の2023年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が15,560百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益1,085百万円(同19.0%増)、経常利益1,070百万円(同21.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益646百万円(同25.1%増)だった。売上高・営業利益など、全指標で第1四半期の過去最高を達成した。公共とエンタープライズ向け案件が増加し、増収をけん引したほか、エンタープライズや通信で利益率が改善した。前期発生した大型不採算案件やインシデントは引当内での収束を見込んでいる。

また、今後成長していくために、M&Aを含めた事業提携・業務提携のほか、場合によっては企業の買収なども積極的に動いていく可能性があるため、キャッシュフローを確認するうえで、2023年3月期よりEBITDA(営業利益+のれん償却費+減価償却費)を開示しており、第1四半期については1,494百万円(同17.2%増)だった。

企業によるクラウドの利活用促進の動きなど、事業変革に向けたDX推進により、同社を取り巻く事業環境は良好である。DX投資の需要は堅調に推移し、それに伴うサイバーセキュリティ対策の必要性も顕在化するなか、ICT関連企業においては、DX推進とそれに伴うセキュリティ対策の支援を通じて、大きな社会の変化に対応することが求められている。同社においてもセキュリティ対策に伴う需要は増加しており、この需要に対応するため、2022年7月にセキュリティ監視センター(SBT-SOC)をリニューアルした。スペースを約2倍に拡張し、業務効率や職場環境の向上、グローバル監視センター等との連携強化を図ることで、セキュリティアナリストが働きやすい環境を整備しており、24時間365日体制で顧客のセキュリティシステムやネットワークを監視している。また、今後セキュリティアナリストを現在の80名から2024年度までに人材採用や育成を進め150名規模へと拡大する想定である。

2. マーケット別の概況
前述のとおり、同社は2023年3月期より事業ポートフォリオの変革の様子や同社業績と外部環境及び他社との比較がわかりやすくなるように、マーケット区分を「通信」「エンタープライズ」「公共」「個人」に変更している。

通信の売上高は5,079百万円(前年同期比3.1%減)、売上総利益796百万円(同28.0%増)だった。前年同期の通信業に関わるクラウド大型案件の反動により減収であるが、売上高へのインパクトが大きい一方で、利益面への影響は限られている。また、オンプレミス(必要なソフトウェア・ハードウェアを自社で保有・管理する運用形態)環境でのシステム開発案件の拡大によって増益だった。

エンタープライズの売上高は7,021百万円(同2.9%増)、売上総利益1,762百万円(同20.0%増)だった。売上高は微増であるものの、売上総利益は2ケタの伸びとなっており、特にセキュリティ対策のマネージドセキュリティサービスが増加傾向にある。また、製造業向けのシステム開発も順調に推移しており、増益に大きく貢献する格好となった。

公共の売上高は2,374百万円(同31.2%増)、売上総利益148百万円(同1.6%増)だった。売上高は2ケタの伸びだが、売上総利益は微増である。この売上成長については、農林水産省向けの案件や次期自治体情報セキュリティクラウドの運用によるものである。農林水産省向けの一部大型案件は6月に落札できたが、もともと3月に取る予定だったため、3月末の段階で人員の手配などの準備を始めていた。受注の期ズレによる、3ヶ月分のコスト負担により、売上総利益が微増にとどまった格好である。ただし弊社では、多くの部分は2023年3月の納品までに回収できると考えている。

個人の売上高は1,084百万円(同2.9%減)、売上総利益698百万円(同2.7%減)だった。これはNortonLifeLockとの契約変更の影響によるものであり、新規顧客の獲得については既に同社のビジネスではなく、既存顧客の更新がメインとなったためである。確実に右肩下がりで減少するものであり、今期予想している減益幅は4億円程度と見込まれ、こちらは既に予想に織り込んでいる。そのため、売上高・売上総利益ともにおおむね計画通りの推移であろう。

3. 営業利益の増減要因
営業利益については前年同期の9.1億円から、増収効果による1.1億円の増加のほか、収益性の改善による増加が2.7億円となり、売上総利益率は2.2ポイント上がった。また、自治体情報セキュリティクラウドでのインシデント対応やその他の引当があるものの、この四半期においては損失引当が減少し、0.7億円の増加となった。一方で、販管費は2.8億円増加した。社員に向けて3%ほどベースアップを行ったほか、新たに入社した社員や採用費などが増加の要因であり、これらの結果、2023年3月期第1四半期の営業利益は10.8億円となった。

4. 単体受注高/受注残高(個人向け除く)
受注については前年同期に13億円だった公共の受注高が44億円に増加した。前述の通り、本来は3月までに取る予定だった農林水産省向けの案件の落札が6月に期ズレした影響と、自治体情報セキュリティクラウドでの2県の追加受注である。第1四半期末の受注残高は296億円であり、前年同期比で25.4%増となる。これについても公共が166億円と全体の56%を占めている。なお、このうち、約70%が2023年3月期中の売上になる予定であり、残りの30%は5年分の保守や自治体情報セキュリティクラウドなど複数年のものが残っている。

自治体のデジタル化の遅れがコロナ禍で浮き彫りとなったが、行政のデジタル化の遅れを取り戻すべく2021年9月に発足したデジタル庁についても、成果が見えにくい状況である。ただし、2022年8月10日に発足した第2次岸田改造内閣において、河野太郎氏が新しくデジタル相に就任した。自治体DX化推進の加速が期待されるなか、同社のビジネスに追い風となるだろう。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《ST》

 提供:フィスコ

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