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4308 Jストリーム

東証G
376円
前日比
-4
-1.05%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
25.6 0.90 3.72
時価総額 106億円
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Jストリーム Research Memo(9):短期案件が伸び悩むも、長期案件は伸長


■業績動向

2. 市場別の売上動向
Jストリーム<4308>の2024年3月期第2四半期の市場別(同社個別、旧基準)の売上動向は、医薬領域が2,068百万円(前年同期比7.1%減)、EVC領域が1,381百万円(同8.8%減)、OTT領域が1,268百万円(同22.7%増)となった。新型コロナウイルス感染症の5類移行によるリアル回帰の影響が想定以上に大きくなった医薬とEVCで減収となったが、放送と通信の事実上の融合が進み、コロナ環境下での巣ごもり消費でネット視聴習慣の定着があるOTTは着実に売上を増やした。また、リアル回帰によりスポット制作が伸び悩むなど短期の制作は減少したが、契約期間が3ヶ月以上のストック性の強い長期プラットフォーム案件は引き続き伸長した。

医薬領域では、Web講演会のライブ配信/イベント実施に伴う集客や様々な手配のほか、「WebinarAnalytics」や集客用媒体販売といった製薬企業のDX推進に伴う受注は継続している。しかし、新薬の販売延期や、引き下げが続く薬価改定への対応、円安に伴う日本市場の相対的な地位低下といった要因から、大手企業を中心に予算の制約から販促効果を一層重視する傾向が強まった。また、コロナ5類移行により、大型の全国講演会のリアル回帰や複数拠点開催の縮小の動きが見られ、一部企業を除いて、製薬企業のオンラインへの関心がコロナ期に比べて低下する傾向が見られた。同社の主要顧客においても、ライブイベントの絞り込みの動きや、より販促効果を重視した広告・集客策に対する需要が高まったようだ。特にライブ配信、関連するWeb制作、映像制作といったサービスについては、単体、子会社を問わず、前年同期に及ばない結果となった。なお、当初シナリオでは、円安や薬価改定の影響などがありながらも各社とも販促のためのDX推進の方針は変わらず、市場は緩やかに成長を続けるという前提で、既存顧客のWeb講演会のハイブリッド化や新規顧客の増加を見込んでいた。しかし、実際は想定以上に販促費の抑制傾向が継続したうえ、大型の講演会を中心にコロナの5類移行を受けたリアル回帰の動きが加速し、ピークとなる秋の講演会シーズンになっても引き続き大きく伸長しない状況である。

EVC領域では、「J-Stream Equipmedia」や「J-Stream CDNext」などの配信インフラや、社内教育などに向けた定常的な利用は底堅く推移したが、企業活動のリアル回帰の影響は小さくなかった。特に6月に需要が集中するバーチャル株主総会については、リアル開催を重視する動きが加速、同社サービスの提供範囲縮小や前年に大きく伸びた反動もあり、高い水準は維持したものの想定を下回る結果となった。また、販売促進のためのウェブセミナーや企業内ライブイベントといった短期スポット需要も減退、開催獲得数やネットワーク流量、WEB制作、映像制作が低調に推移した。このため、当初イベントなどのリアル回帰をある程度想定していたものの、ハイブリッドに対する需要増加やイベント開催形式の多様化に合わせ、提供サービスの機能拡充を進める方針だった。しかし、リアルイベントのみをスポットで行う企業が想定より多く、ライブ配信を中心とした短期案件が減少することとなった(長期案件は増加している)。

OTT領域では、第1四半期に前年同期の大口キャンペーンの反動が生じたものの、放送業界におけるシステム開発、サイト運用や関連するWEB制作、配信ネットワークを中心に売上が拡大した。コロナ環境下での巣ごもり消費で根付いたネット視聴の習慣や、視聴端末の増加、動画配信サービスの普及を背景に、高い需要が継続したことが要因である。同社も、放送局のネット配信サービスメニューの拡充に伴うシステム開発や、前期に大口のコンテンツ配信システム開発があった専門チャンネル事業者に対する運用・保守サービスが継続した。ほかにもメディアの相互乗り入れや専門チャネルへの拡大、機能の向上など、OTT向け需要はしばらく強そうだ。計画に対しては、根付いたネット動画視聴の増加、放送局の開発意欲、番組供給事業者や公営競技などすそ野の拡大などが見込める分野として、機能強化や高度な技術・サービスの提供を進めたことが奏功し、既存顧客からの開発・運用需要が引き続き堅調に推移、マルチアングルやマストバイといった開発案件や前期に受注した大型開発案件の運用も加わり、売上高は高い伸びとなった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

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