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3852サイバーコム

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サイバーコム Research Memo(9):3ヶ年中期計画は順調に進捗、業績は当初目標を上回る見通し(1)


■今後の見通し

2. 中期計画
(1) 中期計画の進捗状況
サイバーコム<3852>は、3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」を2021年12月期からスタートしている。基本方針として、1) 満足度の追求、2) サービス提供型ビジネスへの転換、3) 戦略的投資による拡大(事業拡大投資、人財投資、システム投資)の3点に取り組むことで持続的な収益成長を目指している。また、サステナブルな社会の実現や働き方改革への取り組みが求められるなか、環境経営方針も策定し、「『環境』と『暮らし』をICTで支える」をテーマに、事業活動を通じて様々な社会課題の解決に貢献している。

外部環境としては、コロナ禍を契機としてテレワークが定着するなどワークスタイルの変革が起こるとともに情報セキュリティ対策の重要性が高まり、企業のDX投資は拡大している。また、5Gの商用化やAI、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、IoT、AR/VR、ブロックチェーン技術の実用化によって様々な市場が立ち上がっている。ソフトウェア開発の需要は活発化しており、同社にとっては好環境にあると言える。

このような環境の下、同社は毎期計画を上回る業績を達成しており、最終年度となる2023年12月期も当初計画(売上高16,100百万円、営業利益970百万円、営業利益率6.0%)を売上高で9.3%、営業利益で23.7%、営業利益率で0.8ポイント上回る見通しだ。3年間の年平均成長率も当初計画(売上高5.6%、営業利益5.5%)を上回り、売上高で8.8%、営業利益で13.2%を見込んでいる。足元の受注状況は堅調に推移していることから、計画を達成する可能性は十分にあると弊社では見ている。

2023年12月期も当初の成長戦略を継続する方針だが、2023年3月の株主総会で代表取締役社長に富士ソフト出身の新井氏(前 取締役副社長執行役員)が就任し、新たな経営体制に移行した。新井氏は前社長と同様、富士ソフトの事業を長くけん引してきた人物で、アライアンス戦略などで多くの実績を挙げている。基本的な事業戦略は大きく変わらないと見られるが、自社プロダクトを今後どのように育成していくかが注目される。

(2) 成長戦略
a) ソフトウェア開発事業
「ビジネス拡大」をテーマに掲げ、DX対応力の強化や好調分野への集中投資に取り組むことで継続的な成長を目指す。

通信ソフトウェア開発では、5G技術(Beyond 5G ready)の高度化や超高速モバイル通信技術の増強、仮想化技術の開発ニーズに対応できる技術者の育成・増強、IoT技術領域の拡大を目指す。特に5G関連では、ローカル5Gを活用した新サービス等の開発案件を獲得し、5Gコアネットワーク装置関連の開発案件減少をカバーする方針だ。

制御ソフトウェア開発では、AI技術を活用したロボット制御分野への挑戦と、車載システムのなかでも開発ニーズが旺盛なCASEやMaaS等の取り込みに注力する。自動車分野では自動運転技術に高速無線通信技術が必要とされるため、高い技術開発力を持つ同社にとって受注拡大の好機になると弊社では見ている。

業務ソフトウェア開発では、好調な金融向けの案件取り込みに加えて、官公庁や公共系システムの提案を強化する。また、クラウド技術者(AWS、Microsoft Azure、GCP)やAI(画像認識、予測)・RPA技術者の増強による受注能力の拡大に加えて、IoT技術をベースとしたDX対応技術の高度化に取り組むことでさらなる成長を目指す。

b) サービス事業
「高付加価値ビジネスの拡大」をテーマに掲げ、エンドユーザーの拡大とプロダクト連携による受注強化に取り組んでいく。

SIサービスのうちサーバ/ネットワーク構築では、多様化する基盤(クラウド、仮想化等)への対応力を強化するため、認定資格取得者を増強する。また、顧客の多様なニーズに対応するために、サイバーセキュリティ技術やネットワーク仮想化技術の高度化に取り組み、ネットワーク構築系技術者の増強を図る。保守・運用では、運用設計技術者の増強とRPA活用による効率化を推進する。評価検証サービスでは、次世代通信規格への対応(6G、IOWN※)やテスト自動化支援ツールの活用による効率化に取り組む。

※IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、NTTが2019年に提唱した次世代情報通信網のことで、ネットワークから端末までエンド・ツー・エンドで光通信技術を用い、圧倒的な低消費電力と高品質・大容量、超低遅延通信サービスを実現する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを全体最適化し、必要な情報ネットワーク内に流通させる「コグニティブ・ファウンデーション」の3つの技術で構成されている。2024年頃に仕様を固め、2030年頃の実現を目指している。このうち、「APN」については2023年3月よりNTT東日本及び西日本でサービス提供を開始している。


自社プロダクトでは、「Cyber Smart」シリーズや「楽々セキュアコネクト」「Cyber Position Navi」「Cyber Position Navi Plus」等の拡販に注力していく。販売戦略としては、Webマーケティングの高度化、PR活動の強化、各種展示会への出展による知名度向上を掲げている。開発面では主力プロダクトの強化に加え、アライアンスによる付加価値向上(「Oracle Cloud版Cyber Position Navi」等)や新サービスの開発に注力する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YI》

 提供:フィスコ

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