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3804 システム ディ

東証S
1,264円
前日比
-7
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.8 2.02 1.90
時価総額 82.1億円
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システム ディ Research Memo(9):公教育ソリューション事業、公会計ソリューション事業は順調に拡大


■システム ディ<3804>の今後の見通し

2. 事業部門別の売上見通し
(1) 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業は前期比1ケタ台の増収を見込んでいる。上期は会計基準変更の影響で2ケタ減収となったが、下期は逆に増収要因となる。既存顧客の更新需要を確実に取り込むだけでなく、新規顧客の獲得に注力していく。大学市場については全国の国公立私立大学(短大含む)1,100校のうち約350校に導入が進み、既に業界トップシェアを不動のものとしているが、2019年11月にリリースした「CampusPlan Smart」の機能を順次拡充しながら既存顧客でのリプレイスや新規顧客の開拓につなげていく戦略だ。特に大学では会計制度の変更によって2015年前後にシステム改修・更新の特需が発生しており、この部分の更新需要が2021年~2022年頃に発生するものと予想され、他社製品をリプレイスする好機となる。

「キャンパスプラン」の大きな特長は、学務系業務や法人系業務などをトータルで提供できる点にある。この“トータルソリューションの提供”という点では直接的な競合製品はない。同社が業界トップシェアの地位を確立した要因もここにある。領域ごと(例えば“会計・経理”や“人事”などの領域)では強い競合製品がそれぞれ複数存在するが、違う企業のソフトウェア製品を導入している場合はシステム操作に慣れるまで時間を要するといった課題がある。すべての業務システムを同一製品で網羅することができれば、職員が他部署に異動となった場合でもスムーズにシステムを操作することが可能となり、業務効率の向上にもつながることになる。「CampusPlan Smart」では現在、総務・人事給与システムを先行してリリースしたが、2023年までに学務系システムも含めてすべての機能をカバーする予定となっており、既存顧客のリプレイスを順次進めていく計画となっている。なお、「CampusPlan Smart」と既存製品との連携も対応しているため、顧客側から見れば契約更新時期にスムーズにリプレイスすることができる。

一方、私立高校は全国に約1,300校、専門学校は約2,900校あり、そのうち同社製品は約150校に導入されていると見られる。シェアで見ると1割にも満たない水準であるが、逆にシェア拡大余地が大きいと見ることもできる。私立高校・専門学校の1校当たり生徒・職員数※は、高校で約770名、専門学校で約220名と、大学の約3,700名と比べて規模が小さいため、初期投資負担の少ないクラウドサービス「キャンパスプラン for Azure」で機能性やコストパフォーマンスを訴求し、顧客開拓を進めていく戦略となっている。売上規模は大学と比べて小さいものの、クラウドサービスでの提供となるため安定収益基盤の拡大によって中長期的に利益率の上昇につながるものと期待される。

※文部科学省「令和2年 学校基本調査」のデータを基に算出。


(2) ウェルネスソリューション事業
フィットネスクラブやスポーツ施設の経営環境はコロナ禍で依然厳しさが続いており、ウェルネスソリューション事業の売上高も前期比2割減を想定している。コロナ禍が長引くなかで2021年春以降、店舗の休業や閉店が増えはじめており、下期もプライベート・ジム等の小規模事業者向けを除いて新規獲得は厳しいものと見られる。このため、当面は小規模事業者向けでの顧客獲得を進めるべく、クラウド版会員管理システム「Smart Hello」の拡販に注力していく方針だ。同製品の特長は、月額料金プランが1万円~3万円と低コストであり、タブレット端末での利用も想定した操作性や機能を備えていること、様々な会費制度に対応できる柔軟性に優れていることなどが挙げられる。

一方、文化・観光施設向け「Hello Fun」についても現状は厳しい環境だが、ワクチン予防接種が進み徐々に旅行などの需要も回復に向かう見通しのなか、2021年後半から2022年に向けては、観光産業復興による地域経済活性化に向けた各種支援策の導入なども見込まれており、文化・観光施設のIT投資拡大による「Hello Fun」の受注回復が期待される。

(3) 公教育ソリューション事業
公教育ソリューション事業の売上高は、文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」をはじめとするデジタル化関連施策を追い風に前期比2ケタ増収が続く見通しだ。公立高校については36~37都道府県で統合型校務支援システムが導入されており、このうち約5割の18県で同社製品が導入されている。未導入の約10県についても、シェア5割の受注獲得を目標としている。一方、小中学校向けに関しては、普及率が低い、または未導入地域への導入を進めていく。

小中学校向けでの同社のシェアは高校に比べて低く、業界で3~4番手のポジションと見られる。市町村向け(小・中学校向け)にクラウドサービス導入が進んでいない理由の1つとして、クラウドサービスに対するセキュリティ面での懸念が残っていたことが挙げられる。しかし、「GIGAスクール構想」では「クラウド・バイ・デファクト」が推奨されていること、また都道府県単位では公立高校向けで18県に導入されていることから、今後これらの県において小中学校を含めた共同調達を開始することになれば、小中学校の導入校数がさらに伸びる可能性もあると弊社では見ている。競争は激化しているものの、2021年4月にリリースした「Home Services」のように今後も新機能・サービスを開発・拡充していくことで差別化を図り、シェアの維持向上を図っていく方針だ。

(4) 公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業の売上高については、前期比1ケタ増を見込んでいる。前述したとおり、業界2番手の国策による競合製品が2022年度末でサービスの停止を発表しており、同製品の利用ユーザーからの切り替え需要を着実に取り込んでいくことで売上拡大を図っていく。2番手のシェアは約25%だったため、このうち半分をリプレイスできれば、自治体向けでシェア約60%、導入数で1,000を超えることが可能となるが、競争が激化するなかで受注を獲得できるかどうかが目標達成の鍵を握ることになる。切り札となるのは2021年3月にリリースした「Common財務会計システム」で、同システムで高い評価を受けることができれば、売上もさらに拡大していく見通しだ。

(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業の売上高は期初段階で前期比2割増を見込んでいたが、前述したように商談から成約までの期間が長期化する傾向にあり、目標に届かない可能性もある。ただ、コンプライアンス体制やコーポレートガバナンスの強化が、一般企業だけでなく金融機関や官公庁・地方自治体などの公共部門でも求められるようになってきており、ニッチ市場ながらも潜在的な需要は大きいと見られる。このため、中期的に安定成長が続くものと予想される。

(6) 薬局ソリューション事業
調剤薬局業界は、大手チェーンと個人経営の小規模薬局に大きく二分された業界構造となっている。コロナ禍における受診控え等で市場環境としては良好と言えない状況だが、今後も保守・サポートを中心に安定した売上水準を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

 提供:フィスコ

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