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3762 テクマトリックス

東証P
1,655円
前日比
+9
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.7 3.23 1.69 50.83
時価総額 737億円
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テクマト Research Memo(9):2024年3月期業績は過去最高を連続更新、会社計画も上回る公算大


■今後の見通し

1. 2024年3月期の業績見通し
テクマトリックス<3762>の2024年3月期の連結業績は、売上収益で前期比7.7%増の49,500百万円、営業利益で同4.0%増の5,300百万円、税引前利益で同4.4%増の5,290百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同8.8%増の3,210百万円と期初計画を据え置いた。下期も新規事業への投資を継続するが、第2四半期までの進捗率が売上収益で49.7%、営業利益で43.0%と直近3期間平均(売上収益45.4%、営業利益41.7%)を上回っているほか、サブスクリプション契約の増加に伴い受注残高が想定以上に積み上がっていることも考えると、会社計画を上回る公算が大きいと弊社では見ている。

(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上収益は前期比10.1%増の32,260百万円、営業利益は同8.8%増の3,400百万円を計画している。第2四半期までの進捗率は売上収益で50.7%、営業利益で49.9%と直近3期間平均(売上収益46.0%、営業利益43.4%)を上回るペースとなっている。第2四半期累計で減少していた受注高も、第3四半期からは2020年秋以降に受注した大型案件の契約更新期に入ることから、再び増加に転じる見通しだ。サイバー攻撃による被害が頻発するなかで、情報セキュリティ対策の重要性はますます高まっており、既存、新規顧客含めて旺盛な引き合いが続いている状況に変わりない。

ここ最近では、サーバ攻撃を受けた際にAI技術でリアルタイムに有効な対処法を選択しセキュリティインシデントの発生を防ぐ、自律セキュリティプラットフォーム「Cortex XSIAM(Extended Security Intelligence&Automation Management)」(Palo Alto Networks)や、自律型AIエンドポイントセキュリティ「SentinelOne Singularity Platform」(SentinelOne)への関心が高まっており、今後の受注増に寄与するソリューションとして注目される。従来、サイバー攻撃を受けた際にはセキュリティ担当者が状況を確認した後に対策を講じていたため、一定の時間を要していた。AI技術を活用したソリューションでこうした課題を解消し、サイバー攻撃のリスクを大幅に軽減する。同社の運用・監視サービス「TPS」への影響が懸念されるが、情報システムを運用・監視するための専門人材は必ず必要であり、その影響は軽微と同社は見ている。

そのほか、営業施策としては引き続き海外有力ベンダーの先進的な製品・サービスを発掘し、サービスラインナップを強化することで、情報セキュリティ対策に対する多様かつ高度なニーズに応えていく。また差別化戦略として「TPS」の契約件数拡大に注力することで、着実な成長を目指す。

(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上収益は前期比7.5%増の7,850百万円、営業利益は520百万円(前期は20百万円の損失)を計画している。第2四半期までの売上収益の進捗率が49.3%と直近3期間平均の46.1%を上回っているほか、下期は学術ソリューションで大口案件の売上貢献が見込まれていることから、売上収益は計画を超過する可能性が高い。利益面では、教育分野の先行投資分をCRM、SE分野並びに学術ソリューションの増収によりカバーし、計画達成を目指す。

CRM分野では国内でのサブスクリプション課金の積み上げに加えて、東南アジア市場での営業活動を強化している。2023年4月にタイに設立した子会社の人員体制を強化するとともに、業務提携先のWISESIGHT (THAILAND) CO.,LTD. (ソーシャルメディア分析大手)やChoco Card Enterprise Co., Ltd.(Customer Data Platform大手)と連携して大型商談を進めており、設立4年目での黒字化を目標にしている。SE分野については引き続き需要が旺盛な車載用組込ソフトウェア開発向けテストツールを中心にサブスクリプション課金の積み上げに取り組んでいくほか、新規商材の拡販についても注力する方針だ。ビジネスソリューション分野では、アレクシアフィンテックに事業統合した金融ソリューションの収益性がどの程度改善するか注目される。

教育分野は、先行投資による営業損失が拡大する見込みだ。ただ、文部科学省が推進する「次世代の校務デジタル化推進実証事業」において利用されるシステムの1つに「ツムギノ」が採択(2023年8月発表)されたことから、今後各自治体が校務支援システムを更改する際に、「ツムギノ」を新たに採用する可能性が高まり(=公立校での導入拡大)、今後の収益貢献が期待できる状況になってきたと弊社では見ている。同実証事業では校務支援システムの機能強化項目として、「SaaSとしての提供」「データベースの暗号化」「多要素認証への対応」「汎用のクラウドツールとの連携」「学校及び児童生徒に関するデータを児童生徒・学級・学校・教育委員会それぞれのレベルで統合して可視化するダッシュボード機能」の5点が挙げられており、「ツムギノ」はこのうち前4項目の機能について実装済みであり、5つ目の機能について今後開発・実証を進める計画である。校務支援システムでは後発となるため、先行ベンダーに対して、機能面やセキュリティ、操作性、コスト面などでどの程度差別化できるかが採用の決め手となるが、少なくともセキュリティ面では強みを発揮できるものと弊社では見ている。

(3) 医療システム事業
医療システム事業の売上収益は前期比0.5%増の9,390百万円、営業利益は同30.8%減の1,380百万円を計画している。クラウドシフトによるマイナス影響や体制強化に伴う人件費増、ソフトウェア開発費の資産計上による償却費の増加などが減益要因となるが、クラウドシフトの影響が小幅にとどまりそうなほか、第3四半期にはオンプレミス製品で比較的大型案件の納品が予定されていることから、減益幅は計画より縮小するものと予想される。

なお、2022年4月に業務提携したPACS業界第3位のキヤノンメディカルシステムズ(株)へのクラウドPACSのOEM供給実績に関してはまだ少ないものの、見込み案件は着実に増加しているもようで2025年3月期以降の収益に貢献するものと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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