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3762 テクマトリックス

東証P
1,655円
前日比
+9
+0.55%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.7 3.23 1.69 50.83
時価総額 737億円
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テクマト Research Memo(5):情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業ともに過去最高業績を更新(2)


■テクマトリックス<3762>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上高は前期比7.1%増の16,957百万円、営業利益は同14.5%増の1,777百万円と会社計画(売上高16,300百万円、営業利益1,550百万円)を上回る増収増益となった。

分野別の売上動向を見ると、サイバー攻撃からの防御対策として次世代ファイアウォールやフォレンジック製品※1等の販売が民需・官需問わず好調で、西日本エリアにおいても民需が大きく伸張した。また、EDR(Endpoint Detection and Response)製品※2や次世代型メールセキュリティ製品、AIを活用した次世代アンチウイルス製品などの先進的なセキュリティ関連製品についても本格的に売上に寄与し始めたほか、ストレージ製品が4K/8Kのコンテンツ増加を背景に放送局やメディア・エンターテイメント業界向けに好調であった。負荷分散装置については、Microsoft<MSFT>が提供するOffice365との連携ソリューション等の新しい需要開拓に取り組んだことで堅調を持続している。ストック型ビジネスとなるセキュリティ運用・監視サービスの売上についても、顧客数の拡大により順調に推移した。

※1 不正アクセスや情報漏えいなどのセキュリティインシデントが発生した際に、原因究明のため、その痕跡や記録等を収集分析する製品。
※2 業務パソコンやサーバ等のネットワーク端末(エンドポイント)がサイバー攻撃を受けた際に、その状況把握及び攻撃を受けた端末の特定・隔離等の対策を迅速に行うことができる製品。


連結子会社のクロス・ヘッドは前期から収益性向上を目的とした事業構造改革※に取り組んでおり、付加価値の高いクラウドサービスへの移行支援やグループウェア構築案件を中心に受注活動を進めるなかで、売上高は前期比横ばいであったものの、営業利益は増益となった。一方、沖縄クロス・ヘッドについては、県内におけるSI案件の需要が低迷している影響を受け、売上高は減収となり、損益面でも苦戦を強いられた。

※収益性向上施策として、低採算だったSier向け派遣事業を縮小し、AWS(Amazon Web Service)向け等の高度な技能が必要とされる高採算案件へ戦略的にシフトしている。AWSの認定資格取得者数は約200人とクロス・ヘッドの従業員数391名(2019年4月時点)の半分強を占める。


受注高については負荷分散装置や次世代ファイアウォール等のネットワークセキュリティ製品、ストレージ製品ともに堅調に推移し、前期比9.7%増の18,823百万円、期末受注残高も前年同期末比23.5%増の9,813百万円と大きく積み上がり、それぞれ過去最高を更新している。なお、情報基盤事業(単体)における非ストック売上は同11.1%増の7,653百万円、ストック売上は同13.7%増の4,919百万円といずれも2ケタ増となり、ストック売上比率については前期の38.6%から39.1%と0.5ポイント上昇した。同社は情報基盤事業のストック売上については40%程度が適正水準と見ており、引き続き適正水準を維持している。

(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前期比10.3%増の8,460百万円、営業利益は同83.4%増の640百万円となり、会社計画(売上高8,200百万円、営業利益650百万円)に対して、売上高は超過したものの、利益は若干未達となった。利益が未達になったのは、医療分野における新規事業への投資を前倒しで実施したことが主因となっている。

分野別の動向を見ると、医療分野は「NOBORI」の契約施設数が前期末の約800施設から約950施設へ拡大したものの、新規契約の受注が期後半に偏重したこともあり、売上高の伸びは1ケタ増にとどまった。新規事業に関しては、個人向け(患者向け)のサービスとしてPHRサービスの開発や、AIベンチャー並びに医師等と組んだ医用画像診断支援システムの共同開発等の投資を前倒しで実施したことにより計画比では未達となったものの、営業利益は前期比増加した。「医知悟」については、遠隔読影需要の高まりにより従来の病院向けサービス提供に加えて、健診施設等の顧客開拓が進み、契約施設数が約650施設となり、月間の読影依頼検査数、従量課金金額ともに堅調に推移した。

CRM分野では、2018年6月にFAQナレッジ管理システム「FastAnswer2」の新バージョンをリリースしたほか、同年12月にはコンタクトセンターCRMシステム「FastHelp5」の新バージョンをリリース、同バージョンでは「Fast API」を通じて主要なチャットボットとの連携も可能としている。現在、連携確認済のチャットボットとしては「BERORE(べドア)」「Kiku-Hana(キクハナ)」「Third AI(サードアイ)」の3品目となっている。チャットボットを活用することでコンタクトセンターは運用の効率化が可能となる。通信事業者や金融機関からの大型案件も含めて受注が拡大し、売上高は前年同期比2ケタ増と好調に推移した。利益面でも前期に発生した不採算プロジェクトがなくなったことで大幅増益となっている。また、CRM分野では海外展開として、2018年4月にタイ(バンコク)に駐在員事務所を開設し、日系企業だけでなく現地のドラッグストアやEC企業、金融機関からの受注実績も出始めており、規模はまだ小さいものの売上高も順調に増加している。

ソフトウェア品質保証分野は、自動車のIT化に伴い車載ソフトウェア等の開発工程で利用されるソフトウェアテストツール等の引き合いが好調で売上高は前期比2ケタ増となり、利益も計画を大幅に超過した。また、ビジネスソリューション分野については、既存顧客である学術系公共機関向けのシステム開発案件及びBIツールの販売が堅調に推移したものの、低採算な受託開発案件の受注を手控えた影響で、売上高は前期並みの水準にとどまったものの、損益面では改善した。また、子会社のカサレアルについては、ITエンジニア向け研修サービスが好調だったほか、受託開発事業も採算の良い受注案件が増加したことで、売上高、利益ともに計画を上回って推移した。

受注高は全分野で堅調に推移し、前期比15.2%増の9,813百万円となり、期末受注残高についても前期末比15.4%増の7,340百万円となり、いずれも過去最高を更新した。また、2019年3月期における単体+NOBORIの非ストック売上については同3.3%増の3,416百万円、ストック売上は同14.3%増の4,224百万円となった。ストック売上比率(テクマトリックス単体のアプリケーションサービス事業及びNOBORIの合計)は、医療分野を中心に月額課金型サービスが好調に推移したことにより、2018年3月期の52.8%から55.3%と順調に拡大している。同社は、ストック売上比率を近い将来60%超にすべく事業を拡大していく方針としており、収益性の向上と同時に安定性を高めていく戦略となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

 提供:フィスコ

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