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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3694 オプティム

東証P
898円
前日比
+9
+1.01%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
44.7 7.30 3.02
時価総額 495億円
決算発表予定日

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オプティム Research Memo(7):“第4次産業革命の中心的な企業となる”べく、積極的な成長投資を継続


■成長戦略・トピックス

オプティム<3694>は過去数年間、研究開発に注力し「Optimal Biz」や「OPTiM Cloud IoT OS」をベースとする新サービスを立ち上げることで、様々な業界で成果を挙げてきた。近年は、特性の異なる2つのDXが大きく発展していることから、デジタル化を「Industrial DX」と「Corporate DX」に分類し、新たな市場を開拓する方針だ。対象となる市場規模は巨大である。同社の試算によると「Industrial DX」と「Corporate DX」の全世界の潜在市場規模は約160兆円、日本だけに限定しても約9兆円(2019年の世界全体のGDP構成比5.8%より試算)と見ている。仮に「Optimal Biz」並みの国内シェア(40%)を獲得すると仮定しても、3.6兆円にのぼり、大きな市場の開拓に挑戦していることがわかる。

1. Corporate DX
「Corporate DX」は、全業種・産業を対象とした社内業務改善・効率化のためのデジタル化である。コロナ禍により、オフィス業務のデジタル化によるリモートワーク推進、業務効率化、コスト削減といったニーズが急拡大している。同社は、「Optimal Biz」等の提供を通じて累計18万社以上の顧客基盤を有しているが、この顧客基盤に対して、IoT向け遠隔操作サービスや契約書管理サービス、資産管理サービス、デジタルマーケティングサービスといった新たな提供価値を持つサービスを、販売パートナーを活用して提供することを目指す。

好調なサービスの事例としては、AIを活用した契約書管理サービス「OPTiM Contract」がある。契約書の分類・登録、検索や照会・通知、ユーザー・ファイルの権限管理など、一連の契約書管理業務を効率化できる。利用者からは、AIによる検索性向上や期限の自動通知などの評価が高い。「OPTiM Cloud IoT OS」を基盤としているため、安心安全な環境下での契約書管理が可能となる。なお、これらの機能は令和3年度九州地方発明表彰において「文部科学大臣賞」を受賞した「契約書AI解析・管理システム」に関する特許がベースとなっている。利用前後の効果測定では、作業時間約90%削減、費用約65%削減(いずれも同社調べ)という圧倒的な効果が出ており、費用対効果の高さが優位性につながっている。

また、2021年6月に販売開始したマーケティングDXサービス「OPTiM Digital Marketing」の販売も好調だ。「OPTiM Digital Marketing」は、2020年に子会社化した(株)ユラスコアのクラウドCRMサービスをベースに開発したもので、小売業やサービス業の顧客に対して、顧客情報管理、Webサイトのコンテンツ管理、ECサイトの構築及び運営、効率的なメールマガジン配信など、顧客との接点強化に関わる様々な活動を最適化するサービスである。利用者からは、顧客の嗜好や属性に合ったコンテンツを最適なタイミングで配信することで集客や購入を促進する点や、顧客データを一元管理・分析できる点などの評価が高い。今後は、顧客企業からの細やかな要望や大規模なシステム運用に合わせたエンタープライズ版と、中小規模の小売業、医院、建築サービス業などの業種別テンプレートを用意したSMBパッケージ版を取り揃え、同社の18万社以上の顧客基盤に展開していく予定である。

2. Industrial DX
「Industrial DX」は、個別産業を対象とした事業創造のためのデジタル化である。これまでの「〇〇×IT」戦略の推進により、同社のAI・IoTプラットフォームへの接続デバイスや産業向けキラーサービスが増加していることから、デバイスカバレッジの強化や産業用キラーサービスの開発・提供を継続して推進する。

建設・土木分野のトピックスとしては、3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」がキラーサービスとして充実度を増している。「OPTiM Geo Scan」は、スマートフォンまたはタブレットで土構造物などの測量対象をスキャンすることで、土木現場で求められる高精度な3次元データを生成できるアプリケーションである。従来の光波測量と比較すると、測量時間を最大90%削減することができる。2022年3月には、国土交通省が改定した「3次元計測技術を用いた出来形管理要領」において、「OPTiM Geo Scan」が国内で初めて要領に準拠したアプリケーションとなった。これにより、あらゆる規模の現場での起工測量から、中間出来高測量、工事の検査に使用する出来形測量など、工事の計画・設計及び施工の開始から検査終了まで建設全体のプロセスを通じて一貫して利用でき、業務効率の改善を実現できる。さらに、周辺機能の強化も進捗している。GNSS測量・杭打ちアプリ「OPTiM Geo Point」(無料オプション)や図化アプリ「OPTiM Geo Design」(無料オプション)などをリリースし、利便性が向上している。

医療分野では、手術ロボット用システムの進捗が著しい。既述のとおり同社は、手術支援ロボットシステム「hinotoriTM サージカルロボットシステム」用ネットワークサポートシステムのプラットフォーム「MINS」の共同開発を行っている。「hinotoriTM サージカルロボットシステム」は、泌尿器科領域での使用において製造販売承認を取得しており、国内の5施設にて600症例を超える使用実績がある。直近では、2022年10月に、消化器外科及び婦人科への適応について、厚生労働省より承認を取得した。また、同年11月には、札幌医科大学附属病院で世界第1例目の同システムを活用した大腸がん手術が実施され、消化器外科領域等への適用が始まっている。これらのことから、同社は医療における最先端のDXの一翼を担っていると言える。

農業分野では、ドローンを使った「ピンポイント農薬散布テクノロジー」をはじめ、ドローンを使った施肥や播種、圃場をAIやIoT機器より取得したデータを用いて解析するサービス「Agri Field Manager」、ハウス管理サービス「Agri House Manager」、営農支援サービス「Agri Assistant」、グライダー型ドローンを使った「広域圃場管理システム」などの実証を積み重ねてきた。この結果、上記の機器やサービスがスマート農業を行ううえで必須の“AI農機具”として認められ、対価としてサービス使用料が受け取れるまでになってきた。同社が主導する“スマート農業アライアンス”に加盟している農家は、加盟メンバーの総農地面積7,860ha、加盟数2,200団体、農薬削減率で最大約90%などの成果を挙げている(いずれも2020年3月20日時点)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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