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2016年03月23日16時02分

イグニス Research Memo(2):「無料ネイティブアプリ」と「ネイティブソーシャルゲーム」が事業の柱


■事業概要

イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売を手掛けている。主に広告収入による「無料ネイティブアプリ」と課金収入による「ネイティブソーシャルゲーム」の2ジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立している。

「次のあたりまえを創る。何度でも」をビジョンに掲げ、日常的に利用する様々なアプリを高品質で提供し、ダウンロード数やMAUの拡大が同社の成長をけん引してきた。前期(2015年9月期)からは、これまでの小規模アプリ中心から、コミュニケーション領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造改革に取り組んでいる。2015年12月末時点のダウンロード数は9,700万DL※(ダウンロード)を超え、無料ネイティブアプリのMAU(海外を含む)は528万となっている。

※2016年2月に1億ダウンロードを達成したことを発表している

ネイティブアプリは、App Store及びGoogle Play等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されているが、同社はスマートフォンアプリ事業を収益モデル別に、「無料ネイティブアプリ」(広告収入モデル)、「ネイティブソーシャルゲーム」(課金収入モデル)の大きく2つのジャンルに分類している。なお、前期まで独立したジャンルとしていた「全巻無料型ハイブリッドアプリ」(広告収入モデル+課金収入モデル)については、「無料ネイティブアプリ」に含めて記載することとなった。

前期(2015年9月期)においては、「ぼくとドラゴン」の順調な立ち上がりにより「ネイティブソーシャルゲーム」が大きく伸長し、売上高の約68.3%(2014年9月期は約17.0%)を占めるに至った。一方、これまで同社の収益基盤を支えてきた「無料ネイティブアプリ」については、収益貢献までに時間のかかる中・大規模アプリ(更新型アプリ)に注力していることなどから構成比が約30.0%(2014年9月期は約70.4%)に大きく低下したが、これは収益構造改革を進めるに当たっての一時的な現象と見るのが妥当である。

各ジャンルの特徴は以下のとおりである。

(1)無料ネイティブアプリ(広告収入モデル)

このモデルは無料で提供するアプリ内に広告を掲載することで、広告主からの広告収入を主な収益源とする。したがって、ダウンロード数及びMAUを増やすことが広告収入の拡大に結び付く。スマートフォンの使い勝手及び日常生活の利便性を高めるツール系アプリのほか、カジュアルゲーム系アプリ、コミュニケーション系アプリなど、様々なジャンルのアプリを展開している。無料ながら有料アプリと同等の品質を保証していることに加え、利便性の追求、パンダのオリジナル人気キャラクター「だーぱん」の活用などがユーザーからの評価を高め、ダウンロード数及びMAUの拡大に貢献してきた。特に同社の得意分野であるツール系アプリは、基本的に収益貢献が3ヶ月程度であるカジュアルゲーム系と違って、長期使用を前提としたユーザー積み上げ型であり、同社の事業基盤を支えている。前期(2015年9月期)からは、コミュニケーション領域などの中・大規模アプリの開発に注力しており、更なるユーザー数の積み上げとライフタイムの長期化に取り組んでいる。また、最近の環境変化により、無料ネイティブアプリにおいても、広告収入だけではなく課金収入の重要性も高まってきているようだ。

一方、今期から「無料ネイティブアプリ」に含めて記載されることになった「全巻無料型ハイブリッドアプリ」(広告収入+課金収入モデル)は、コンテンツの公開期間中、毎日一定量の漫画コンテンツを無料でお試しできるところに特徴がある。継続して漫画コンテンツを読みたいユーザーは課金購入することで続きを楽しむことができ、広告収入と課金収入を合わせた収益モデルとなっているため、ハイブリッドアプリと呼称している。有力作品の配信許諾を多数獲得するなど、当該事業モデルにおいては優位性を維持しているものの、無料コミックアプリの一般化に伴う利用者の嗜好変化及び競争激化に苦戦しているため、同事業を縮小傾向としており、今後は年間数タイトル程度のリリースを行っていく方針である。

(2)ネイティブソーシャルゲーム(課金収入モデル)

このモデルはアイテム課金を基本とするネイティブソーシャルゲームを提供している。ソーシャルゲームは他のユーザーとコミュニケーションを取りながらプレイするオンラインゲームである。開発本数を一定数に絞り込むことで品質の高いゲームを提供するという方針のもと、前期(2015年9月期)は2作品目となる「ぼくとドラゴン」の配信を開始した。同作品は、2016年2月9日に累計265万DLを突破するとともに、Android版では2015年5月29日以降、ゲーム売上トップランキング50位以内を継続するなど好調を維持しており、長期にわたる安定収益の柱としてめどが立った。今期(2016年9月期)も「ぼくとドラゴン」の継続運用に注力する方針であり、更なるユーザー数の拡大と運用ノウハウの蓄積に取り組んでいる。

同社グループは、2015年12月末現在、連結子会社9社及び関連会社1社で構成される。連結子会社には、無料ネイティブアプリの企画・開発・運営・売却を行う(株)アイビー、(株)IGNIS APPS※1、IGNIS AMERICA, INC.(米国子会社)のほか、全巻無料型ハイブリッドアプリの企画・開発・運営・売却を行う(株)イグニッション、ネイティブソーシャルゲームの企画・開発・運営・売却を行う(株)スタジオキング、新しい視点でSNSを展開するALTR THINK(株)(2014年10月に買収)のほか、2015年10月に買収した(株)U-NOTE※2などがある。なお、2016年2月1日には関連会社のM.T.Burn(株)の株式を譲渡している。

※1 旧スワッグアップ(株)
※2「仕事を楽しく、毎日をかっこ良く。」をコンセプトとしたビジネスパーソン向けキュレーションメディア「U-NOTE」を運営

同社は各連結子会社を通じて、ゲーム及び非ゲームの領域で、広告収入及び課金収入の両方の収益モデルを手掛けており、専業への特化及び単一の収益モデルに依存しがちな同業他社と比較すると、IT上場企業では特殊なポジショニングを取っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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