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テリロジー Research Memo(5):2021年3月期上期決算は極めて順調に推移


■業績動向

1. 2021年3月期上期のフロー収益はコロナ禍においても順調に推移
テリロジー<3356>の2021年3月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比5.5%増の1,941百万円、営業利益が同177.6%増の170百万円、経常利益が同144.2%増の177百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同171.7%増の117百万円となった。これを期初会社計画に対する進捗率で見ると、売上高が46.4%(2020年3月期実績に対する上期比率は45.4%)、営業利益が85.0%(同23.2%)、経常利益が89.0%(同25.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益が83.9%(同20.1%)となり、下期偏重気味という同社収益の季節性を持ち出すまでもない好調ぶりである。

さらに、受注動向についても期中受注高が前年同期比11.4%増の2,015百万円、上期末受注残高は同12.7%増の375百万円へと積み上がっており、下期への期待が高まる内容と言えるだろう。

2021年3月期上期の売上総利益率は42.2%と前年同期に比べ5.9ポイントの大幅上昇となり、四半期ベースでも第1四半期の40.8%から第2四半期の43.4%へと上昇傾向にある。この直接的な要因としては、新型コロナウイルス感染症拡大による経費抑制効果や好採算案件比率の上昇、収益性が高い自社製品・サービスの立ち上がり等があるわけだが、「顧客の付加価値増大につながる機能強化を提案し続ける」という同社の営業戦略がアップセル/クロスセル効果を通じて生産性向上につながっていると考えてよいだろう。

一方、2021年3月期上期の販管費率は増収下にありながら33.4%と前年同期に比べ0.5ポイント上昇している。とはいえ、先行投資的な人件費増(同社本体での新卒採用9名、中途採用4名)や自社製品開発費増に加えて、当初計画には含まれていない孫会社IGLOOOによる経費増を吸収しての動きであり、まったく問題視する必要はない。結果、2021年3月期上期の営業利益率は8.8%と売上原価率の改善を主因に前年同期に比べ5.5ポイントの大幅向上を実現、期中の推移を見ても第1四半期の7.4%から第2四半期には9.9%と尻上がりに良化している。

2. 復配によるキャッシュアウトを勘案しても財務体質は大幅に改善
2021年3月期上期の実績で注目したい点は、財務体質がエクイティファイナンスの力を借りることなくオーガニックに健全化していることである。代表的な財務安全性指標を見ると、業績回復に自己株式を活用したエクイティファイナンス効果が加わって、自己資本比率は2018期3月期末の24.4%から2019年3月期末には45.0%、2020年3月期末には53.9%へと大幅に上昇、流動比率も2018年3月期末の99.0%から2019年3月期末には179.2%まで改善、2020年3月期末には209.4%と十分な支払余力を示す200%超えを達成していた。

続く2021年3月期上期末の自己資本比率は54.0%(前期末は53.9%)、流動比率は221.0%(同209.4%)と一段と良化、数値の上昇幅は限定的であるが2020年3月期末の配当実施に伴う実際のキャッシュアウト(81百万円)を吸収しての改善であり評価に値する。

また、通常の配当原資となる単体ベースの利益剰余金についても2020年3月期末の156百万円から2021年3月期上期末には159百万円と半期を経過した時点で配当余力を拡充させている。なお、1株当たり5円配当を賄うために必要な資金は82百万円程度であり、ほぼ2年分の配当原資を既に確保していることになる。

2021年3月期上期末における総資産は前期末比54百万円増の4,257百万円、純資産は同37百万円増の2,306百万円となった。前期末比変化の内訳を見ると、資産面では現金及び預金の228百万円増、受取手形及び売掛金の424百万円減、負債面では買掛金の301百万円減、有利子負債の143百万円増などが目立ったものとして指摘できる。

なお、ROE(自己資本利益率)は5.1%と前年同期比2.7ポイント上昇、ROA(総資産経常利益率)も4.2%と同2.1ポイント上昇しており、資産収益性は好転が続いている。

また、財務体質の健全化は営業外損益の改善にもつながっている。輸入商材を主力プロダクトとして取り扱う同社の場合、為替差損益が営業外収益に与える影響を完全に排除することはできないものの、2020年3月期には受取利息が前期比3.2倍、支払利息が同63.1%減となるなど有利子負債圧縮効果が顕在化、営業外損益の好転に一役買っている。2021年3月期上期においても支払利息は前年同期に比べ減少しており、助成金収入の計上もあり営業外損益は黒字を維持している。

2021年3月期上期末における現金及び現金同等物の残高は、1,834百万円となった。各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前四半期純利益が177百万円となったこと等を受けて381百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が35百万円となり、全体としても11百万円の収入に転じている。一方、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が81百万円となったことを主因に52百万円の支出となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

《NB》

 提供:フィスコ

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