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3034 クオールHD

東証P
1,838円
前日比
+44
+2.45%
PTS
1,829.5円
23:00 05/07
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.1 1.33 1.63 525
時価総額 715億円
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日本調剤, 
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決算発表予定日

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クオールHD Research Memo(6):処方箋単価の下落を処方箋応需枚数の増加で吸収し売上高は計画を上回る


■クオールホールディングス<3034>の業績の動向

2. 保険薬局事業の動向
(1) 調剤売上高の状況
保険薬局事業の売上高は、調剤薬局の調剤売上高と売店やECなどの商品売上高で構成される。2024年3月期第2四半期累計の売上内訳を見ると、調剤売上高が前年同期比7.6%増の75,147百万円、そのほか売上高が同1.8%増の5,819百万円といずれも増収となった。調剤売上高の内訳を出店期・タイプ別で見ると、自力出店店舗のうち、既存店については同8.5%増、金額ベースで1,872百万円の増収となり、新店については新規出店数が前年同期の9店舗から13店舗と増えたこともあり、同242.6%増、金額ベースで490百万円の増収となった。またM&Aなどで取得した店舗については、既存店と新店を合わせて、同6.2%増、金額ベースで2,946百万円の増収となった。

調剤売上高を処方箋応需枚数と処方箋単価に分解すると、処方箋応需枚数は前年同期比11.9%増の8,196千枚、処方箋単価は同3.9%減の9,168円となった。これらも出店期やM&Aなどの要因による影響を受けているため、以下ではそれぞれについてもう少し詳細に見る。

処方箋応需枚数の実態に近いと考えられる既存店の増減率は前年同期比9.3%増となった。前年同期はまだ新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で受診控えの動きが残っていたが、2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類相当から季節性インフルエンザと同等の5類に移行したことに伴い、医療機関での患者受け入れ態勢も緩和されたことで、受診回数が増加し処方箋応需枚数の増加につながった。また、M&Aなどによる店舗の応需枚数も同11.0%増となった。第2四半期累計におけるM&A取得店舗数は2店舗にとどまったが、既存店の伸びに加えて2023年3月期下期に取得した47店舗分が上乗せ要因となった。

処方箋単価は全体で前年同期比3.9%減と3期連続で低下した。このうち既存店は同0.8%減、M&Aなど店舗は同4.3%減となった。毎年改定されることになった薬剤料単価が低下したほか、調剤技術料単価についても地域支援体制加算の経過措置終了により若干低下したことが影響したものと見られる。

店舗の付加価値分に相当する調剤技術料に関しては、定められた基準の達成度に応じて点数が加算される仕組みで、主に調剤基本料(応需枚数や特定医療機関への集中率などで分類)、GE医薬品調剤体制加算(GE医薬品の取扱比率で分類)、地域支援体制加算(在宅調剤など地域医療への貢献体制によって分類)がある。なかでも、GE医薬品調剤体制加算や地域支援体制加算については各薬局の取り組み状況で点数も変わる差別化ポイントとなる。調剤報酬改定は隔年で実施され、2022年4月の改定において調剤基本料は、薬局経営の効率性を踏まえた設定の変更、GE医薬品調剤体制加算は調剤数量割合の基準の引き上げと評価方法、地域支援体制加算は地域医療への貢献に係る体制や実績に応じた評価体系が見直され、改定で示された基準をクリアして加算点を取得すべく各調剤薬局店舗が取り組みを進めている。

2024年3月期第2四半期累計の加算点別の取得店舗数の状況を見ると、調剤基本料については取得店舗の構成比率に大きな変化は見られなかった。一方、GE医薬品の取扱い比率(数量ベース)については、最大加点となる30点取得店舗の比率が2022年9月時点の27.9%から2023年9月時点には39.0%と大きく上昇するなど、技術料単価においてプラスに寄与した。グループ全体のGE医薬品の取扱い比率でも2022年9月時点の84.7%から2023年9月時点では86.1%と上昇傾向が続いており、厚生労働省が目標としている8割の水準を継続して超過した。後発医薬品の供給不足が続くなかでも、国の方針に沿ってグループ全体で取り組みに注力してきた効果が出ているものと考えられる。

地域支援体制加算については、経過措置が2023年3月で終了※したことに伴い2023年3月期に47点または39点を取得していた店舗が39点または17点に引き下げられ、調剤技術料単価のマイナス要因となった。47点を取得していた店舗の構成比は2023年3月時点の28.6%から2023年9月時点では0.7%と大幅に低下し、39点取得店舗が同6.2%から15.3%、17点取得店舗が同15.0%から34.5%となった。同社は経過措置の終了に対応すべく、取得店舗0点の店舗の構成比を2023年3月時点の50.1%から2024年3月には25%と半減させることで、経過措置終了によるマイナス影響を相殺する方針であったが、薬剤師の配置などのコントロールが上手くいかず、2023年9月時点で49.6%と計画から遅延した格好となった。店舗ごとの処方箋応需枚数を一定と仮定すると、1店舗当たりの地域支援体制加算点数は2022年9月時点の18.8点から2023年9月時点では12.2点に低下した計算となる。1点当たり10円のため66円の処方箋単価低下要因となり、これに処方箋応需枚数を掛け合わせたものが経過措置終了による減益要因と見ることができる。このため、期末にかけて加算点取得店舗数をどの程度増やせるかが重要となってくる。0点店舗の比率を25%程度まで引き下げられれば、店舗当たり平均加算点数は前年同期並みの水準まで戻ることが想定される。

※2022年4月の調剤報酬改定によって「調剤基本料1」(42点)から新設された「調剤基本料3のハ」(同一グループで処方箋受付回数が月40万回超または同一グループの保険薬局数が300以上、調剤基本料32点)に移行した店舗については、経過措置として2023年3月まで従来と同様、「調剤基本料1」の店舗とみなし、在宅調剤業務の回数や時間外、夜間・休日業務への対応状況などによって39点または47点を取得できたが、2023年4月以降は「調剤基本料3のハ」店舗の基準となる17点または39点で算定されることとなった。また、2023年4月から12月までの特例措置としてGE医薬品調剤体制加算対象店舗のうち、一定条件を満たした場合に地域支援体制加算に1点または3点を上乗せした点数で算定できることになっている。


3. 出退店とM&Aの状況
2023年9月末の店舗数は905店舗となり、前期末比で13店舗増となった。自力出店で13店舗、M&Aによる取得で2店舗、売店2店舗の合計17店舗を出店し、4店舗を閉店した。前年同期は自力出店で9店舗、M&Aによる取得で1店舗、売店1店舗の合計11店舗の出店、8店舗の退店だった。自力出店については順調に進んでいる一方で、M&Aについては下期に複数案件を見込んでいるようで、前期と同様に下期に店舗数が伸びる計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

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