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2485 ティア

東証S
456円
前日比
+6
+1.33%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.0 1.32 4.39 230
時価総額 103億円
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決算発表予定日

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ティア Research Memo(8):マルチブランド戦略でシェア拡大とTLD事業の育成、M&Aの早期実現へ(1)


■ティア<2485>の今後の見通し

3. 中期経営計画
2023年9月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、スローガンとして「ティアを超える新生ティア!!」を掲げ、2025年9月期の業績目標を売上高15,690百万円、営業利益1,230百万円、経常利益1,205百万円、親会社株主に帰属する当期純利益785百万円とした。前提となる葬儀件数は年率4%台の伸びを見込んでいる。既存店については横ばいとし、新店効果による増加分で拡大していく計画だが、実際には既存店も伸びており上振れする可能性は十分ある。一方、葬儀単価についてはコロナ感染が小康状態のままで推移するとの前提で、2023年9月期の847千円からほぼ横ばい水準とした。

事業費用の見通しについては、2023年9月期業績計画の前提を基準に、2024年9月期以降は既存店の経費を同額水準とし、新店稼働に伴う経費増加と新卒採用計画、TDL建設に伴う費用増、広告宣伝費の増額などを織り込んだ。2024年9月期までは成長基盤を構築する期間と位置付け、先行投資を実施するため利益率が若干低下するが、2025年9月期以降に利益成長が加速する計画だ。なお、今回の業績計画のなかには今後の成長が期待されるTLD事業の寄与は織り込んでいない。TLD事業の収益目標や事業戦略など詳細については、2023年9月期決算と合わせて発表されるものと思われるが、今後3年程度で全体業績へのインパクトが出てくるような事業規模まで育成したい考えのようだ。

業績目標を達成するための重点施策について、以下の4点に取り組んでいく方針だ。

(1) 直営・FC会館の計画的な出店と既存会館の持続的な成長
出店計画について、直営店についてはドミナント戦略に基づき年間7~8店舗の出店とリロケーション・閉店2店舗を行い、2025年9月期末で104店舗を計画している。中核エリアとなる中部地区では多様な出店フォーマットによる出店を継続し(年間5~6店舗)、営業力強化により地域内シェアの拡大を進めていく。

関東地区や関西地区は年間1店舗ペースで出店する。関東では埼玉県下で越谷市、川口市に2店舗を出店し、いずれも稼働率は高水準を維持しており、2022年9月には千葉県下にも1店舗を出店した。また、2023年夏頃に越谷市に1店舗出店する計画となっている。一方、東京都下で進めてきた葬儀相談サロンについては、現在出店している9店舗の収益力向上を優先に取り組んでいく。2022年9月期の売上規模は9店舗で約3億円と葬儀会館1店舗分を上回る規模まで成長しており、利益も本社経費負担を除いたベースでは黒字化しているが、さらなる出店を進めていくには人的リソースの拡充が必要であり、その体制を整えてから出店を再開する。一方、関西地区では大阪府下で3店舗を出店し(1店舗出店済み)、事業基盤を拡大する方針だ。

FC事業においては業務支援体制の整備や人財育成などFC本部の機能を強化し、新規加盟企業の開拓を推進していく。FC店舗については年間6~8店舗ペースで増加を見込み、2025年9月期末で78店舗を計画している。FCの新規加盟については2023年9月期に2社が新たに加盟し、2023年4月までに各1店舗を出店した(静岡県、岐阜県)。さらに、期末までに1社が加わる見通しだ。

(2) 中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施とマーケティング力の向上
中核エリアでのシェア向上にこだわった営業戦略やブランド戦略をDXも活用しながら積極的に展開していく。同社は名古屋市内の斎場シェアを約26%まで拡大し、当面の目標として30%を目指している。従来のペースでいけば、3~4年後には達成できる見通しだ。また、その他の愛知県下でもシェアを拡大していくほか、三重県の一部エリアにも直営店舗を増やし始めており、シェアを拡大していく計画となっている。

営業戦略としては、価格訴求力を高めたテレビCMや中吊り広告、折込チラシとWeb広告専用サイトのコンテンツを拡充、連携させることで葬儀受注の獲得導線を強化すると同時に、コンタクトセンターのオペレーション体制強化により、葬儀受注率のさらなる向上を図っていく。また、潜在顧客の取りこぼしをなくすため、会員の状況に合わせた最適なアプローチやスムーズな会館案内、最適なタイミングでのアフターフォロー(法要等の案内)等をコンタクトセンターで一括して行うための「顧客情報一元管理システム」を導入、稼働を開始しており、今後の業務効率向上が期待される。

ブランド戦略ではWebマーケティングの強化によって、インターネットからの会員獲得や葬儀受注獲得を推進するほかPR・IR活動の継続的な実施による日本全国を対象とした認知度向上を図っていく。とりわけ競争が激化している低価格帯の需要(一日葬・火葬式)を取り込むため、新ブランドとなる「ティアシンプル」を2023年4月に立ち上げ、中部地区でのプロモーションを開始している。直近、低価格帯では新興の葬儀社との競争が激化していたが、同ブランドを立ち上げ対抗していくことにしている。

また、DX戦略を推進すべく新たにDX・SXデザイン事業本部を立ち上げた。同事業本部ではDXデザイン室でDX戦略、SDGsデザイン室でSDGs関連、マーケティングデザイン室でマーケティングなどの企画を行う。具体的な取り組みとして、2022年10月にYouTube公式チャンネルを開設し、様々な情報を発信しているほか、「ティアの会」会報誌もデジタル化した。DXによってティア会員に向けた接点を増やしていくことで、葬儀の受注だけでなく葬儀以外の周辺サービスとなるTLD事業の成長を促進し、顧客LTVの最大化と収益源の多様化を図っていく戦略だ。なお、同事業本部は2023年9月に開設するTDLに設置する予定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

 提供:フィスコ

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