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2483 翻訳センター

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翻訳センター Research Memo(3):翻訳事業で4分野に専門特化し業界ごとに異なるニーズに対応


■翻訳センター<2483>の事業概要

1. 翻訳・通訳事業の事業環境
国内の翻訳・通訳を合わせた市場規模は2,611億円(2016年、矢野経済研究所推計)、年率2~3%程度で着実に成長している。その中で翻訳のみの市場規模は2,000億円以上、グローバル化の流れのなかで安定成長をしている(ヒアリングベース)。産業翻訳が市場の大半を占め、医薬・金融・自動車、電機、エネルギー、IT通信、小売業などの国内企業のグローバル展開や外資系企業の日本進出が需要発生のドライバーである。また、外国人観光客はビジットジャパンの取り組み開始年には521万人(2003年)であったが、2016年に2,403万人に達している。訪日や在住の外国人によるインバウンド需要も増えており、企業や自治体の外国語対応も進むと想定される。産業翻訳ニーズの最近の特徴として「多言語化」「スピード化」「大型プロジェクト」が挙げられる。自動車、医薬品、IT業界などを始めとして、日本企業は成長機会を求めて海外展開を加速させており、翻訳会社としても高いレベルの対応力が求められる。

2. 翻訳事業
主力の翻訳事業は、(株)翻訳センター、連結子会社の(株)パナシア及びHC Language Solutions, Incが行っている。分野特化戦略を推進しており、「医薬」、「工業・ローカライゼーション」、「特許」、「金融・法務」の4分野ごとに組織が分かれ、専門化している。

(1) 顧客業界とサービス内容
「医薬分野」の顧客は国内外の製薬会社・医療機器会社であり、医薬品・医療機器の研究開発から承認申請、マーケティングまで、あらゆるステージで発生する文書の翻訳サービスを提供する。世界の大手製薬会社は外注する翻訳会社を絞る傾向にあり、プリファードベンダー(優先調達先)になれないと取引できない場合も増えている。同社では実績と知名度を背景に、世界のトップ製薬会社の8割以上と取引実績があり、大手製薬会社をターゲットに顧客常駐型サービスの拡大を推進している。

「工業・ローカライゼーション分野」は、自動車、電機、精密機械といった主要製造業から、エネルギー、情報・通信、IT、ゲームといった非製造業まで、幅広い産業領域を対象とする。取扱文書は、仕様書、取扱説明書、作業手順書、教育資料、Webサイトなど様々であり、1つのドキュメントから複数の言語に翻訳することも多い。

「特許分野」の顧客は特許事務所や企業の知的財産関連部署であり、主に特許出願用の明細書など特許関連文書の翻訳サービスを提供する。従来、特許事務所からの受注が中心であったが、近年、企業知財関連部署の売上比率が伸びており、約4割を占めるまでになった。業種としては電機、機械、化学、製薬やバイオなどであり、大手電機メーカー中心に受注が拡大している。

「金融・法務分野」の顧客は国内外の銀行・証券・保険会社、法律事務所及び企業の管理系部署である。金融関連では目論見書や運用報告書、法務関連では各種契約書、企業管理部署関連では決算短信や有価証券報告書、株主総会招集通知、アニュアルレポートなどのIR関連の開示資料が代表的な文書である。近年、企業の管理系部署との取引を拡大させている。

(2) 強み
同社の特長は、「組織化・システム化された営業機能・制作機能」である。これにより、要求の厳しい産業翻訳顧客に対して、バランスの良い価値(品質、スピード、コスト)を提供でき、かつ大規模プロジェクトや多言語案件にも機動的に対応できる。

営業機能に関しては、1)専門特化によるノウハウ蓄積、2)信頼されるコミュニケーション(顧客社内他部門への展開)、3)グループネットワークを活かしたサービスの提案、4) ICTによる登録者マッチングシステムなどが強みとなっている。

制作機能に関しては、1) 6,000人を超える翻訳・通訳登録者、2)翻訳支援ツール、3) 75以上の言語対応、4)専門特化した子会社(メディカルライティング、海外への特許出願支援等)などが強みとなっている。両機能は相互に影響し合い、好循環を生んでいる。これらの強みは、当然顧客満足にもつながっており、リピートオーダーが8割を超えるのもうなずける。

(3) セグメント別業績推移
翻訳事業全体では2017年3月期の売上高は7,035百万円(前期比308百万円増)、営業利益は516百万円(同44百万円増)と安定した成長をみせた。医薬分野では外資系製薬会社に加え国内製薬会社及びCRO(医薬品開発受託機関)からの案件獲得により売上高2,445百万円(同69百万円増)、工業・ローカライゼーション分野では、情報通信関連企業との取引好調に加え鉄鋼関連企業の大型案件受注により売上高2,020百万円(同103百万円増)、特許分野では企業の知財関連部署からの受注が好調であり売上高1,824百万円(同25百万円増)、金融・法務分野では、企業の管理系部署からの受注拡大及び銀行からの長期案件受注により売上高745百万円(同112百万円増)と、いずれの分野も増収となった。

3. コンベンション事業
コンベンション事業は連結子会社(株)アイ・エス・エスが行う事業であり、ここ数年の強化策が実り、2017年3月期に大きな成果が現れた。受注事例としては、第99回ライオンズクラブ国際大会(福岡)、第40回国際外科学会世界総会(京都)など。いずれも大規模なものであり、コンベンション開催のタイミングには、通訳ニーズや翻訳ニーズも同時に発生するために、グループのシナジーが期待できる。2017年3月期の売上高は1,107百万円(前期比557百万円増)、営業利益は140百万円(同104百万円増)と、売上が倍増した。

4. 派遣事業
派遣事業は連結子会社(株)アイ・エス・エスが行う事業であり、語学スキルの高い人材を派遣する。昨今は金融関連企業やITサービス関連企業からの求人が堅調に推移している。2015年3月に人材紹介事業を行う(株)アイ・エス・エス・コンサルティングを売却したために売上高は2016年3月期に減少したが、むしろ収益性は改善した。2017年3月期の売上高は900百万円(前期比19百万円増)、営業利益は48百万円(同5百万円増)となった。

5. 通訳事業
通訳事業は連結子会社(株)アイ・エス・エスが行う事業であり、国際会議やIRカンファレンス、展示会、各種イベントなどでの通訳業務を請け負う。医薬品関連企業や金融関連企業からの依頼が堅調に推移している。2017年3月期は外資通信機器メーカーからの大型案件を受注したことにより、売上高は783百万円(前期比151百万円増)、営業利益は26百万円(同24百万円増)と増収増益となった。

6. 語学教育事業
語学教育事業は連結子会社(株)アイ・エス・エス・インスティテュートが行う事業であり、通訳者・翻訳者を育成する講座を開講している。例年安定した業績を続けてきたが、2017年3月期はWebサイトのリニューアルや管理システムへの投資が重なり、売上高は210百万円(前期比3百万円減)、営業損失は9百万円(同24百万円減)と減収かつ損失計上となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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