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2471 エスプール

東証P
299円
前日比
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PTS
301円
20:21 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.9 2.96 3.34 31.95
時価総額 236億円
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エスプール Research Memo(4):期初計画を据え置き、過去最高業績を更新する見通し


■今後の見通し

1. 2023年11月期の業績見通し
エスプール<2471>の2023年11月期の連結業績は、売上高で前期比6.1%増の28,288百万円、営業利益で同17.1%増の3,620百万円、経常利益で同15.3%増の3,596百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同34.2%増の2,427百万円と期初計画を据え置き、過去最高業績を更新する見通しだ。人材ソリューション事業の低迷により売上高は下振れる可能性があるものの、収益柱となる障がい者雇用支援サービスが順調に拡大するほか、環境経営支援サービスや採用支援サービスなどその他のビジネスソリューション事業の好調でカバーし、利益面では達成可能と弊社では見ている。

(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前期比26.5%増の12,908百万円、営業利益は同24.4%増の3,635百万円を計画している。主要サービスの売上計画と主な取り組み方針は以下のとおり。

a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上高は前期比19.7%増の6,900百万円を計画している。内訳は、設備販売で同8.0%増の2,336百万円、運営管理収入で同35.0%増の4,058百万円、人材紹介料で同14.5%減の506百万円となる。運営管理収入の売上構成比上昇や減価償却費の増加等により、営業利益率は前期の約39%から約38%と若干低下するが、2ケタ増益を維持する見通しだ。第2四半期までの売上進捗率は47.4%だが、過去3年間の平均が約45%だったことからすると順調な進捗となっている。

下期の新規農園開設数は5施設(屋外3/屋内2)で、第3四半期に3施設、第4四半期に2施設を開設する。通期の設備販売区画数は前期比9.4%増の1,440区画(第3四半期215~265区画、第4四半期485~535区画)の見込みだが、第2四半期末で約400区画の受注残があり足元の引き合いも好調なことから、計画を上回る可能性も十分あると弊社では見ている。なお、同社は2024年11月期も9農園の開設を予定しており、うち7農園の場所の選定は終えている。

b) ロジスティクスアウトソーシングサービス
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は、EC通販発送代行業務を中心に前期比10.2%増の1,475百万円を計画している。第2四半期までの進捗率が50.4%で、2023年7月下旬には新物流センター(千葉県流山市、3,400坪、最大売上能力100百万円/月)が稼働することもあり計画を上回る可能性が高い。営業利益は新物流センターの立ち上げ負担もあって、前期並みの水準を想定している。なお、新物流センターの稼働によって既存センターを集約化し収益力の強化を図っていく戦略となっており、新物流センターがフル稼働した時点での年間売上能力は20億円となる。

c) 広域行政BPOサービス
広域行政BPOサービスの売上高は前期比108.9%増の1,900百万円と2倍増を計画しているが、第2四半期までの進捗率は34.3%と計画をやや下回る進捗となっている。BPOセンターの新規開設数も当初計画の13~15拠点から9拠点にとどまることから(下期は開設1、閉鎖1)、既存センターの業務量の動向次第では計画を下回る可能性もある。マイナンバー総点検関連の業務が発生するかどうかが鍵を握ると弊社では見ている。また、営業利益率は拠点開設費用の増加により前期の34%から26%に低下する計画だが、今後の売上動向や本部の営業リソース強化に向けた費用の動向次第となる。なお、収益性の高いオンライン窓口の情報端末数については、前期末の95台から300台を目指す方針に変わりない(第2四半期末120台)。

d) 環境経営支援サービス
環境経営支援サービスの売上高は前期比25.2%増の900百万円、営業利益で同70百万円程度の増益を計画している。第2四半期までの売上進捗率は44.0%だが、CDP回答支援の納品が第3四半期に集中することや受注動向からすると計画を上回る可能性が高い。営業利益についても第2四半期累計で74百万円の増益を達成しているため、上積みが期待される。東証プライム上場企業を中心に、環境対応など非財務情報の開示充実に取り組む企業が増加しており、受注拡大の追い風となっている。同社では新規顧客の獲得だけでなく、サービスメニューを拡充することで既存顧客へのクロスセル強化を推進している。

さらには、新たな取り組みとして地方自治体のゼロカーボンシティ構想の実現に向けたコンサルティングサービスも開始しており、今後の収益貢献が期待される。政府が推進する2050年の脱炭素化社会の実現に向けて、地方自治体レベルでもカーボンニュートラルへの取り組みが進められており、その計画の立案や実行支援サービスについて、ノウハウを持つブルードットグリーンが中心となって提供していく。既に2023年7月までに6つの自治体と連携協定を締結しており、2024年3月までに20以上の自治体との契約締結を目指している。また、環境省が公募する「令和5年度バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業」における事務局の運営も他2社※と共同で行うことが決まっており、今後の収益貢献が期待される。なお、自治体案件については規模によって受注額も異なるが、平均で10百万円前後(6ヶ月前後のプロジェクト)になると見られ、継続して業務を受注する可能性もあるようだ。

※デロイト トーマツ コンサルティング(合)、(一社)サステナブル経営推進機構の2社。


e) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前期比8.4%増の635百万円と2期ぶりの増収に転じる見通しだが、第2四半期までの進捗率が57.8%となっていることから、計画を大きく上回る可能性がある。今後もアルバイト・パートの求人数は回復基調が続く見通しで、コールセンターの稼働率上昇により、営業利益も50百万円の増益計画からさらに上振れするものと予想される。また、現場はまだ収益への影響は軽微なものの、Web面接代行サービスやAIによる自動応募受付サービスも潜在需要が大きいと見ており、今後の収益成長に貢献するサービスとして注目される。

(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前期比4.7%減の15,800百万円、営業利益は同2.9%減の1,620百万円を計画している。売上高の内訳は、コールセンター業務が同5.9%減の13,600百万円、販売支援業務が同4.8%増の1,300百万円、その他が同2.3%増の900百万円となる。

コールセンター業務については、新型コロナウイルス感染症関連のスポット案件の業務が縮小する一方で、下期以降はその他案件の獲得で売上高も上向く見通しを立てていたが、第2四半期までの進捗率は44.8%と計画を下回っており、足元の状況から勘案すると通期計画も下回る可能性が高い。ただ、マイナンバー総点検関連のコールセンター業務が新たに発生する可能性もあり、同案件を受注できれば第2四半期までの下振れ分を挽回できる可能性もある。一方、販売支援業務については、第2四半期までの進捗率が56.1%と強含みで推移しており、通期でも計画の上振れが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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