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2471 エスプール

東証P
328円
前日比
-5
-1.50%
PTS
327円
17:18 05/10
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.2 3.25 3.05 60.26
時価総額 259億円
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エスプール Research Memo(2):ビジネスソリューション事業と人材ソリューション事業を展開(1)


■事業概要

エスプール<2471>の事業セグメントは、ビジネスソリューション事業と人材ソリューション事業の2つに区分されている。2022年11月期の事業セグメント別構成比で見ると、売上高は人材ソリューション事業が61.9%と過半を占めているが、セグメント利益は逆にビジネスソリューション事業が63.6%と過半を占めている。付加価値の高い障がい者雇用支援サービスの成長が続いているためで、中期的に見てもビジネスソリューション事業の構成比は上昇傾向が続くものと見込まれる。セグメント別の事業内容は以下のとおり。

1. ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業は、障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、採用支援サービス、広域行政BPOサービス、環境経営支援サービス、セールスサポートサービスなどを子会社で展開しているほか、本体でプロフェッショナル人材サービスやその他新規事業の開発等を行っている。2022年11月期の売上構成比で見ると、障がい者雇用支援サービスが56.5%と過半を占めており、次いでロジスティクスアウトソーシングが13.1%、広域行政BPOサービスが8.9%、環境経営支援サービスが7.0%となっており、新規事業となる広域行政BPOサービスや環境経営支援サービスが2021年11月期から大きく上昇したことが特徴だ。また、利益構成で見ると障がい者雇用支援サービスが同事業セグメントの約76%を占める主力事業となっており、環境経営支援サービスや広域行政BPOサービスがそれぞれ10%強程度と続いている。

(1) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスは、子会社の(株)エスプールプラスで展開している。同社が賃借した土地や建物内で養液栽培施設を構築し、「わーくはぴねす農園」として企業に貸し出すとともに(栽培設備は販売)、同農園に従事する障がい者(主に知的障がい者)やその管理者を企業に紹介することで収入を得るビジネスモデルとなる。2010年の事業開始以降、2022年11月までに首都圏及び愛知県、大阪府で合計37農園を開設しており、契約企業512社に対して3,105人の障がい者雇用を創出している。従来、農園は屋外のみであったが、2020年8月に屋内型農園「Plus東京板橋」(東京都板橋区)を開設したのを皮切りに、都市部では屋内型農園での展開も進めている(2022年11月末で7園)。また、自治体と連携協定を締結して農園を開設するケースもある(同11園)。自治体と連携することによって、候補用地の確保や就業を希望する障がい者の募集活動が効率的に進むといったメリットがある。

同サービスの売上高は、契約時に得られる農園の設備販売収入(養液栽培設備の販売)のほか、農園管理収入や就業する障がい者及び管理者の人材紹介料で構成されている。基本的なビジネスモデルは、賃借した約3千坪の土地にビニルハウス農園を構築し、150~180区画程度に分割して契約企業に対して区画ごとに栽培設備を販売するとともに、農園で就業する障がい者と管理者の人材紹介を行い、また、月々の運営管理料を得るフロー型とストック型を組み合わせたハイブリッド型である。6区画(障がい者3人、管理者1人)を1パッケージとして販売しており、栽培設備は約150万円/区画(屋内型の場合は約180万円)、障がい者の紹介料は軽度と重度で異なるが、平均で約60万円、管理者は約50万円となっている。このため、6区画販売すれば約1,100万円の売上となる。また、運営管理料は立地によって異なるが、月額で4~5万円/区画(屋内型は6.5万円/区画)で設定している。栽培設備販売と紹介料に関してはフロー売上となるが、運営管理料はストック売上として毎月得られることになり、安定収益源となる。

仮に期初に1農園(150区画)を販売した場合、当年度の売上高としては、栽培設備販売で225百万円、人材紹介料で50百万円、管理収入で81百万円、合計で356百万円となる。一方で、設備投資額は約2.5億円(ビニルハウス、車両等。減価償却期間は4~14年)となる。販売初年度はフロー売上が計上されるため利益率が高くなるが、2年目以降はフロー売上がなくなり、減価償却費や維持費用が残るため利益率が低下することになる。2022年11月期の営業利益率は約39%の水準だが、ストック売上だけで見ると15~20%程度と見られる。

就業者の定着率は約92%(就職後1年間)と一般企業に就職するよりも高く、同社サービスの長所の1つとなっている。就業者が安心して働ける環境を整備しており、顧客企業からの評価も高い。解約は2022年11月期に5社発生したが、いずれも顧客事由(新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)での業績不振、経営体制の変更等)となっている。解約で空いた区画については、栽培設備の状態が良好な場合は定価からディスカウントして新規顧客企業に再販しているが、人材紹介については解約先企業で就労していた人員をそのまま新規顧客企業に引き継ぐことから紹介料は徴収していない。利益面への影響については、栽培設備を再販することによる利益貢献度が上回るため、解約後の区画を再販するケースのほうが利益率はやや高くなるようだ。

(2) ロジスティクスアウトソーシングサービス
子会社の(株)エスプールロジスティクスで展開するロジスティクスアウトソーシングサービスでは、主にEC事業者向けの商品発送代行業務と、卸売業者や物流業者などの物流センターにおいて業務の全部または一部分を請け負う運営代行業務の2つの事業を行っている。2022年11月期の売上構成比ではEC通販発送代行業務が約91%を占めている。同業務の拠点は、つくばセンター(茨城県つくば市、2013年9月開設、1,100坪)と品川センター(東京都港区、2018年2月開設、2,200坪)、浦安センター(2021年12月開設、800坪)の3拠点となっており、比較的小物の商材を品川センターで、アパレルやアクセサリーなど少量多品種の商材をつくばセンターで取り扱っている。

(3) 採用支援サービス
子会社の(株)エスプールリンクで展開する採用支援サービスでは、外食業界や小売・宅配業界向けを中心にアルバイト・パート等の応募受付から面接設定までを代行するサービス「OMUSUBI(オムスビ)」を提供している。2017年10月から(株)ツナグ・ソリューションズ(現 ツナググループ・ホールディングス<6551>)と業務提携しており、主に求人募集代行業務をツナグ・ソリューションズが行い、同社がコールセンターによる応募受付代行サービスを担当している。

アルバイト面接などに関わるプロセスを代行し、成果報酬型(面接設定件数×料金)とすることで、顧客企業は従来よりも求人広告費の削減と採用効率の向上が可能となる。応募受付件数は月平均5万件を超えており、これを同社のコールセンター5拠点(北海道1拠点、青森県1拠点、宮崎県2拠点、徳島県1拠点)で対応している。成果報酬額としては、1件の面接設定で1千円前後となる。このため、オペレーター人員が同じであれば面接設定件数が増加した分だけ利益も増えることになる。そのほか、Web面接代行サービスも行っており、売上高の1割程度を占めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YI》

 提供:フィスコ

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