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2004 昭和産業

東証P
3,490円
前日比
+10
+0.29%
PTS
3,492円
13:23 05/09
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.7 0.94 2.29 2.75
時価総額 1,186億円
比較される銘柄
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決算発表予定日

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昭和産業 Research Memo(6):「ワンストップ型」の効率的営業体制で穀物ソリューションの進化を図る(2)


■昭和産業<2004>の今後の見通し

3. セグメント別重点施策
2024年3月期は、組織改編による効率的な営業体制により、販売数量回復を目指しながら適正価格での販売を実施する。さらに、新製品開発、新規市場参入への注力、機能性製品の販売強化を図ることで、249億円の増収、33億円の増益を計画。セグメント別では、売上高について、新セグメントの食品事業で234億円、飼料事業で15億円の増収を見込む。営業利益については、食品事業で36億円、飼料事業で2億円の増益を計画しているが、その他事業では、不動産賃貸料の減少により4億円の減益を見込んでいる。

なお、「マーケットイン型」の組織体制・事業管理体制への移行による事業管理の変更に伴い、従来の報告セグメントの製粉事業、油脂食品事業、糖質事業を「食品事業」に統合した。内訳は、「製粉」「製油」「糖質」のカテゴリに分かれる。製粉は小麦粉、プレミックス、パスタ、焼成パン、ふすまを扱う。製油は食用油、大豆たん白、冷凍食品を扱う。糖質は糖化製品、コーンスターチ、加工でん粉を扱う。パスタは製粉カテゴリに移行し、従来の家庭用については「製粉」「製油」カテゴリに分けた。

(1) 食品事業
売上高は2,940億円(前期比234億円増)、営業利益は75億円(同36億円増)を見込む。営業利益は、製粉事業で前期比2億円減益、製油事業で同13億円増益、糖質事業で同30億円増益、全社費用で同4億円減益を見込んでいる。

i) 製粉
小麦粉については、2023年4月に政府売渡価格が5.8%引き上げられたことに加え、エネルギー価格や物価の上昇によるコスト上昇も踏まえ、2023年6月納品分より業務用小麦の価格改定を行った。また、グループ会社を含めた5社7工場のそれぞれの特徴と強みを生かしながら、製品開発の連携、生産拠点の集約、物流の効率化など生産体制の最適化を図り、販売数量増加、収益性向上に取り組む計画だ。プレミックス・パスタについては、2022年6月に稼働した船橋プレミックス第2工場の強みを生かして業務用の小袋化及び小ロットへ対応するとともに、グループ連携による効率的な生産体制を構築し、生産強化を図る。さらに、組織改編によるワンストップ型の営業提案により、外食や中食業態への拡販、収益性向上をねらう。焼成パンでは、グループ4社を一体的に運営することで、ロス率の改善などの生産性向上並びに省エネ・省人化、管理間接部門の業務最適化などによりコスト削減を図り、収益改善を推進する。家庭用商品では、2022年12月に販売を開始したトルコ産の輸入(結束タイプ)パスタの拡売、結束パスタのラインナップ増強、輸出専用商品「天ぷら粉EX」を中心に輸出チャネルの強化、ECチャネルでの拡売に取り組む。また、「もう揚げない!!焼き天ぷらの素」の販売数量が、発売開始から8ヶ月間で計画の1.8倍と好調に推移しており、2023年4月は当初計画の4.4倍の売上となるなど、同社の製品開発力の強さは引き続き注目されると、弊社では考えている。

ii) 製油
収益の基盤となる大豆・菜種油については、新しい営業体制での販売数量の回復と適正な利益水準確保による収益性の回復を推進する。また、安定した収益構造を構築するため、ボーソー油脂及び辻製油(株)※との連携を強化する。これによりこめ油・コーン油などの油種の拡充・拡販や、テイクアウトしてもべたつかず食感が維持できる天ぷら油などの機能性油脂、プレミアム油脂、大豆皮粉末「まめふるブラン」(2023年2月上市)、「大豆Hi!芽」などの大豆たん白の強化により、他社との差別化を図る。冷凍食品については、グループの販路を生かした業務用・家庭用の販売強化、既存事業とのシナジーや同社の持つ原料・技術を最大限活用できる分野への進出により、市場競争力の向上と事業規模の拡大を計画する。家庭用商品については、ブランドコミュニケーションの強化による新規販売先の獲得や既存販売先への拡売提案の徹底により収益増をねらう。

※同社及び辻製油は2023年5月に製油事業についての資本業務提携を公表した。


iii) 糖質
同社では糖質事業の収益改善を最重要事項と位置付けており、引き続き厳しい事業環境にあるものの、ターゲットユーザーへの拡販、顧客ポートフォリオの見直し、適正な価格改定実施などにより販売の回復と収益の安定化を目指す。また、原料調達チャネルの多様化やグループ3社一体となった生産拠点の最適化により生産性向上や物流費削減を推進し、収益改善を図る。また、同社グループの強みである「粉末水あめ」「結晶ぶどう糖」、サンエイ糖化独自の「オリゴ糖酸」などのカテゴリーについては、競争優位が確保できる差別化戦略として、BtoBマーケティング機能を生かした提案型営業による拡販が見込まれると弊社では考えている。

(2) 飼料事業
売上高は610億円(前期比15億円増)、営業利益は5億円(同2億円増)を見込む。配合飼料については、鳥インフルエンザの影響が続くと見通しており、原価に見合った適正価格で販売を行うとともに、顧客(農場)の抱える様々な課題に対する解決策を提案することで拡販を計画している。鶏卵販売については、グループ会社である昭和鶏卵の預託農場への飼料販売、鶏卵生産及び販売と、一気通貫したレイヤー事業基盤を強化することにより生産性改善を図る。昭和産業グループ全体としてのシナジーを生かしたブランド卵の開発・販売なども強化し、収益の拡大を推進する計画だ。また、従来使用されていなかった新規原料、廃棄物を飼料用途として利用する未利用原料の飼料化への取り組みも強化していくとしており、既に廃棄されていた冷凍パン生地やうどんの端材などをリキッドフィードや乾燥飼料として再利用することを推進している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《SI》

 提供:フィスコ

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