跳ねる増配銘柄は、期初予想に難あり!?
株探プレミアム・リポート
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「跳ねる増配銘柄」に、とことんこだわる。その戦略で成果を手にしてきたのが、「株探プレミアム」で紹介したノリノリさん(ハンドルネーム)だ。
その勝ち技を紹介した記事「狙うは『これから増配』、でも重視するのは『配当』より『跳ねる』」には、超人気!のマークが付く。
このマークは公開初日に「8時間」と「3日間」の2つの人気ランキングで、同時にトップ10入りするような強い“閲読モメンタム”の記事に付与している。
ノリノリさんの手法に対する投資家の関心の高さを認識した株探編集部「投資家取材班」は、「跳ねる増配銘柄」には、どのような特徴があるのかを探った。
過去の跳ねた増配銘柄の例から、業種や市場区分、配当ガイダンスや株価水準、総還元性向などとの関連性を分析した。それらについて見ていこう。
■超人気!が付いた例
23年3月期から25年3月期で、累計958社が該当
まず「跳ねる」の定義については、株価が下落基調だったのが、上昇に転じた銘柄とし、騰落率についてはTOPIX(東証株価指数)を基準にした。
言い換えると、TOPIXをアンダーパフォームしていた状況からアウトパフォームに転じた銘柄だ。反転上昇を条件としたのは、増配がカタリスト(きっかけ)になった可能性があるからだ。
「増配」については、分割併合調整済みの実質ベースとした。
分析の対象は東証上場の3月期決算の銘柄(外国会社・プロ市場を除く)。
計測期間は2023年3月期~25年3月期の3期とした。
この期間を設定したのは、東京証券取引所が2023年春に上場企業に求めた「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(いわゆるPBR1倍割れ解消の施策)の方針が浸透する直前の期も含めて傾向を見るためだ。
株価反転は、今期のガイダンスが初公開となる通期決算の発表日を基準に、下落から上昇トレンドに変化したかを見た。具体的には、
・「決算発表日の株価÷12カ月前の株価」が▲リターン(対TOPIX)、
・「決算発表の51週後の株価÷決算発表日の株価」が+リターン(同)
とした。これらを条件に抽出したところ、
23年3月期は355社、
24年は194社、
25年は409社、
――の累計958社になった。
対TOPIXで+20%の上昇となったのは、全体の4割に
反転後の上昇率の分布を示したのが、以下の表だ。数字は全体に占める銘柄の割合だ。
割合が最大なのは「10%未満」、逆の最小は「50%以上」と、上昇率が高くなるほど小さくなっている。ただし、20%を基準に分けてみると、TOPIXを20%以上アウトパフォームしたのは4割ほどになる。
■反転上昇増配銘柄の決算日から51週後の上昇率の動向
注:3期合計の値
3月末を基準にTOPIXの年間騰落率を振り返ると、25年3月末は対年同月比で▲4%、24年は同+38%、23年は同3%だった。
過去3年の実績からは、TOPIXを20%以上アウトパフォームする割合が約4割になる「跳ねる増配銘柄」に注目する価値はあるといえるだろう。
業種、時価総額、株価水準、期初予想の配当、前期の総還元性向に注目
では、「跳ねる増配銘柄」には、どのような特徴があるのか。この958社を『株探』および『QUICK』のデータで分析した。今回は、ノリノリさんの戦略を参考にして、次の5つの項目で探った。
① 業種、
② 期初時点の時価総額、
③ 同時点の株価水準、
④ 同時点の予想配当、
⑤ 前期の総還元性向の水準、
なお市場区分については、プライム市場が58%、スタンダード市場が39%、グロース市場が3%でプライムとスタンダードが主体となっていた。
足元の3月期決算銘柄の構成割合は順に50%、42%、8%となり、投資家の注目が集まりやすいプライム銘柄の割合が高くなる傾向が見て取れる。
株価上昇率が高いグループの特徴は
上記に示した①~⑤の状況を、まず株価上昇率の高かった銘柄を確認した。
決算期別に上昇率を10分位に分け、トップの10分位では上位3銘柄、次の9分位では上位10銘柄――を示している。
総じて言うと、表中にハイライトした以下の特徴が見て取れた。
■25年3月期(時価総額・PER・PBR・配当利回りは期初の4月末時点)
◎10分位
◎9分位
注:全体は409社。PERは株価収益率、PBRは株価純資産倍率の略。期初配当予想は前期実績との比較
時価総額・PER・PBR・配当利回りは24年4月末時点
■24年3月期
◎10分位
◎9分位
注:全体は194社。時価総額・PER・PBR・配当利回りは23年4月末時点
■23年3月期
◎10分位
注:「無配・未定」は前の期が無配で、期初予想が未定の場合
◎9分位
注:全体は355社。時価総額・PER・PBR・配当利回りは22年4月末時点
全体の傾向が示す「反転上昇の増配銘柄」の特徴は
上昇率が高いグループの特徴を確認したうえで、累計の958社について、上記に示した①~⑤を見ていく。①業種については決算期別、②~⑤は3期の合計で表した。
①業種~「情報・通信」「卸売」の数が多く、騰落率も強め
958社の業種の特徴を決算期別に見たのが、以下の3つの表だ。「情報・通信」「卸売」に属する銘柄の割合が高く、リターン(対TOPIX)も高水準ないし健闘していることがわかる。
■増配上昇銘柄のセクターと株価騰落率の動向(25年3月期)
出所:QUICK。注:平均騰落率は増配銘柄、指数騰落率は東証業種別株価指数。
対指数は平均騰落率から指数騰落率を引いた値
■増配上昇銘柄のセクターと株価騰落率の動向(24年3月期)
■増配上昇銘柄のセクターと株価騰落率の動向(23年3月期)
「情報・通信」「卸売」の業種が多いのは、東証上場の3月期決算銘柄の構成割合の傾向に影響されている面がある。
参考までに足元の約2200社で見ると、最多の業種は「情報・通信(割合は10.7%)、次にサービス(同10.1%)、そして3位が卸売(同9.0%)となっている。
業種以外での特徴は?
これから②期初時点での時価総額、③同時点の株価水準、④同時点の予想配当、⑤前期の総還元性向の水準――について見ていく。
表は、各項目の中で、株価上昇率20%以上の割合が大きい順に並べている。
②時価総額~中小型と超大型では、割合がやや高め
時価総額では「100億~500億円未満」が44%とトップで、小型株効果が見て取れる。
ただし、1兆円以上も42%で、ここ数年に日本株で見られてきた「大型バリュー株」優位の影響を受けた可能性がある。
■期初当時の時価総額別に見た株価上昇率が20%以上の割合
注:太字は銘柄数が最多のグループ。以下同
③株価水準~「――」が強い
割合が7割を超えるのは、PERが「5倍未満」そして配当利回りでは「――」、つまり未定や無配のグループになっている。
超割安株の割合が高くなるのは想定しやすいが、配当利回りが「――」なのは、期初時点で「未定」ないし「無配」予想のグループで、これらのグループの割合が高くなるのは、次の④からも確認できる。
なお、PBRについては、「1.25倍~2倍未満」が48%でトップだが、5位の「3倍以上」のグループでも42%となっている。
■期初当時のPERとPBR、配当利回り別に見た株価上昇率が20%以上の割合
④期初予想の配当動向
前期実績と比較した期初予想の配当の動向を参考にしたのは、ノリノリさんが注視していたことを踏まえたものだ。結果は、期初時点で「無配・未定」が7割を超えてトップとなった。
なお、下の表の「無配・未定」と4位の「未定」との違いは前期の配当の有無で、前者は無配、後者は有配(配当実施)になる。
また、「無配・未定」と5位の「復配」および9位の「前期維持」との違いは、「復配」は期初時点では復配を公表、「前期維持」は前期に配当を実施している点で異なる。
「無配・未定」グループで+20%以上銘柄の割合が大きくなるのは、期初時点で「無配」「減配」の可能性もある中で、「増配」がよりポジティブに捉えられた可能性が高い。
■「期初配当予想」と株価上昇率が20%以上の割合
注:状況に示した数字は「期初予想配当÷前期配当」
⑤前期の総還元性向~こちらも「――」がトップ
前期の総還元性向の水準では、「――」がトップとなった。前期に配当・自社株買いの株主還元のない銘柄は、復配が株価上昇に効いた可能性がある。
次に多いのが「0~25%未満」。前期時点では、還元が低水準の銘柄は、やはり増配が投資家に好印象を与えた可能性がある。
今期(26年3月期)の反転上昇の候補は
見てきた3期の傾向から、今期(26年3月期)の反転上昇候補を探った。
抽出条件は
① 市場区分: プライム市場・スタンダード市場
② 株価: 決算発表日の株価÷12カ月前時点の株価が対TOPIXでマイナス
③ 期初の配当予想: 「無配・未定」「未定」「減配」「復配」「100%以上」
④ 時価総額: 「100億~1000億円未満」
⑤ PER: 「――」「20倍未満」
⑥ PBR: 1.25~2倍未満
――とした。該当したのは25銘柄。次ページに、そのリストを掲載している。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
...
~「超人気!」ノリノリさんの戦略を参考に探索
筆者/真弓重孝=『株探』編集部・編集統括プロデューサー
ビジネス誌、マネー誌などを経て、2018年4月にみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)に入社。現在に至る。
ビジネス誌、マネー誌などを経て、2018年4月にみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)に入社。現在に至る。
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| この記事を読んで分かること |
| 1. 直近3期に反転上昇(対TOPIX)した増配銘柄の特徴 |
| 2. +20%以上のアクティブリターン銘柄の項目別割合 |
| 3. 過去3期の経験則から今期の反転上昇期待が高い候補 |
「跳ねる増配銘柄」に、とことんこだわる。その戦略で成果を手にしてきたのが、「株探プレミアム」で紹介したノリノリさん(ハンドルネーム)だ。
その勝ち技を紹介した記事「狙うは『これから増配』、でも重視するのは『配当』より『跳ねる』」には、超人気!のマークが付く。
このマークは公開初日に「8時間」と「3日間」の2つの人気ランキングで、同時にトップ10入りするような強い“閲読モメンタム”の記事に付与している。
ノリノリさんの手法に対する投資家の関心の高さを認識した株探編集部「投資家取材班」は、「跳ねる増配銘柄」には、どのような特徴があるのかを探った。
過去の跳ねた増配銘柄の例から、業種や市場区分、配当ガイダンスや株価水準、総還元性向などとの関連性を分析した。それらについて見ていこう。
■超人気!が付いた例
23年3月期から25年3月期で、累計958社が該当
まず「跳ねる」の定義については、株価が下落基調だったのが、上昇に転じた銘柄とし、騰落率についてはTOPIX(東証株価指数)を基準にした。
言い換えると、TOPIXをアンダーパフォームしていた状況からアウトパフォームに転じた銘柄だ。反転上昇を条件としたのは、増配がカタリスト(きっかけ)になった可能性があるからだ。
「増配」については、分割併合調整済みの実質ベースとした。
分析の対象は東証上場の3月期決算の銘柄(外国会社・プロ市場を除く)。
計測期間は2023年3月期~25年3月期の3期とした。
この期間を設定したのは、東京証券取引所が2023年春に上場企業に求めた「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(いわゆるPBR1倍割れ解消の施策)の方針が浸透する直前の期も含めて傾向を見るためだ。
株価反転は、今期のガイダンスが初公開となる通期決算の発表日を基準に、下落から上昇トレンドに変化したかを見た。具体的には、
・「決算発表日の株価÷12カ月前の株価」が▲リターン(対TOPIX)、
・「決算発表の51週後の株価÷決算発表日の株価」が+リターン(同)
とした。これらを条件に抽出したところ、
23年3月期は355社、
24年は194社、
25年は409社、
――の累計958社になった。
対TOPIXで+20%の上昇となったのは、全体の4割に
反転後の上昇率の分布を示したのが、以下の表だ。数字は全体に占める銘柄の割合だ。
割合が最大なのは「10%未満」、逆の最小は「50%以上」と、上昇率が高くなるほど小さくなっている。ただし、20%を基準に分けてみると、TOPIXを20%以上アウトパフォームしたのは4割ほどになる。
■反転上昇増配銘柄の決算日から51週後の上昇率の動向
| 順位 | 上昇率 | 割合 |
| 1位 | 10%未満 | 34% |
| 2位 | 10~20%未 | 25% |
| 3位 | 20~30%未 | 16% |
| 4位 | 30~50%未 | 14% |
| 5位 | 50%以上 | 11% |
3月末を基準にTOPIXの年間騰落率を振り返ると、25年3月末は対年同月比で▲4%、24年は同+38%、23年は同3%だった。
過去3年の実績からは、TOPIXを20%以上アウトパフォームする割合が約4割になる「跳ねる増配銘柄」に注目する価値はあるといえるだろう。
業種、時価総額、株価水準、期初予想の配当、前期の総還元性向に注目
では、「跳ねる増配銘柄」には、どのような特徴があるのか。この958社を『株探』および『QUICK』のデータで分析した。今回は、ノリノリさんの戦略を参考にして、次の5つの項目で探った。
① 業種、
② 期初時点の時価総額、
③ 同時点の株価水準、
④ 同時点の予想配当、
⑤ 前期の総還元性向の水準、
なお市場区分については、プライム市場が58%、スタンダード市場が39%、グロース市場が3%でプライムとスタンダードが主体となっていた。
足元の3月期決算銘柄の構成割合は順に50%、42%、8%となり、投資家の注目が集まりやすいプライム銘柄の割合が高くなる傾向が見て取れる。
株価上昇率が高いグループの特徴は
上記に示した①~⑤の状況を、まず株価上昇率の高かった銘柄を確認した。
決算期別に上昇率を10分位に分け、トップの10分位では上位3銘柄、次の9分位では上位10銘柄――を示している。
総じて言うと、表中にハイライトした以下の特徴が見て取れた。
業種: 「情報・通信」と「卸売」が多い
期初時点の時価総額: 500億円未満がやや多い
同PER: 10倍前後以下ないし「――」が目立つ
期初の配当計画の動向: 「前期維持」「未定」が多い
前期の総還元性向の水準: 水準にバラツキ
期初時点の時価総額: 500億円未満がやや多い
同PER: 10倍前後以下ないし「――」が目立つ
期初の配当計画の動向: 「前期維持」「未定」が多い
前期の総還元性向の水準: 水準にバラツキ
■25年3月期(時価総額・PER・PBR・配当利回りは期初の4月末時点)
◎10分位
| 順位 | 銘柄名 <コード> | 業種 | 51週後 上昇率 | 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 期初配当 予想 | 前期の 総還元 性向 |
| 1位 | IHI <7013> | 機械 | 194% | 5858億円 | ―― | 1.8倍 | 2.6% | 前期維持 | ―― |
| 2位 | DeNA <2432> | サービス | 139% | 1949億円 | ―― | 0.9倍 | 1.3% | 未定 | ―― |
| 3位 | 中外鉱 <1491> | 非鉄金属 | 127% | 93億円 | 20.5倍 | 1.3倍 | 3.1% | 未定 | 66% |
◎9分位
| 順位 | 銘柄名 <コード> | 業種 | 51週後 上昇率 | 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 期初配当 予想 | 前期の 総還元 性向 |
| 1位 | ノジマ <7419> | 小売業 | 44% | 1934億円 | 6.8倍 | 1.1倍 | 1.6% | 9% | 26% |
| 2位 | アカツキ <3932> | 情報・通信 | 43% | 335億円 | 11.1倍 | 1.0倍 | 3.5% | 未定 | 429% |
| 3位 | 旭情報 <9799> | 情報・通信 | 42% | 111億円 | 11.1倍 | 1.0倍 | 3.3% | 前期維持 | 41% |
| 4位 | オーベクス <3583> | 繊維 | 42% | 32億円 | 7.3倍 | 0.5倍 | 2.0% | 25% | 13% |
| 5位 | NRI <4307> | 情報・通信 | 41% | 2兆2274億円 | 25.1倍 | 5.5倍 | 1.5% | 9% | 124% |
| 6位 | 大成建 <1801> | 建設 | 41% | 1兆0666億円 | 26.5倍 | 1.2倍 | 2.3% | 前期維持 | 110% |
| 7位 | カカクコム <2371> | サービス | 41% | 3615億円 | 20.6倍 | 7.5倍 | 2.5% | 9% | 51% |
| 8位 | サイバトラスト <4498> | 情報・通信 | 40% | 156億円 | 18.1倍 | 2.6倍 | 0.9% | 前期維持 | 27% |
| 9位 | システナ <2317> | 情報・通信 | 40% | 1186億円 | 14.1倍 | 2.9倍 | 3.8% | 20% | 54% |
| 10位 | 東汽船 <9193> | 倉庫・運輸 | 39% | 67億円 | 9.9倍 | 0.3倍 | 3.0% | 前期維持 | 35% |
時価総額・PER・PBR・配当利回りは24年4月末時点
■24年3月期
◎10分位
| 順位 | 銘柄名 <コード> | 業種 | 51週後 上昇率 | 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 期初配当 予想 | 前期の 総還元 性向 |
| 1位 | ゼネテック <4492> | 情報・通信 | 315% | 25億円 | 399.9倍 | 1.4倍 | 1.6% | 150% | 161% |
| 2位 | オプティマス <9268> | 卸売業 | 213% | 148億円 | 5.4倍 | 0.8倍 | 5.8% | 4% | 32% |
| 3位 | サクラKCS <4761> | 情報・通信 | 186% | 92億円 | 14.6倍 | 0.5倍 | 1.7% | 前期維持 | 27% |
◎9分位
| 順位 | 銘柄名 <コード> | 業種 | 51週後 上昇率 | 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 期初配当 予想 | 前期の 総還元 性向 |
| 1位 | 日山村硝 <5210> | ガラス・土石 | 58% | 79億円 | ―― | 0.2倍 | ―― | 復配 | ―― |
| 2位 | 明電舎 <6508> | 電気機器 | 57% | 837億円 | 11.1倍 | 0.9倍 | 2.7% | 未定 | 32% |
| 3位 | アイザワ証G <8708> | 証券・商品 | 57% | 333億円 | ―― | 0.5倍 | ―― | 未定 | |
| 4位 | トヨタ <7203> | 輸送用 機器 | 56% | 30兆2969億円 | 10.7倍 | 0.9倍 | 2.9% | 未定 | 51% |
| 5位 | 日本酸素 <4091> | 化学 | 55% | 1兆0567億円 | 15.5倍 | 1.5倍 | 1.5% | 5% | 23% |
| 6位 | 日テレHD <9404> | 情報・通信 | 54% | 3221億円 | 9.4倍 | 0.4倍 | 3.0% | 前期維持 | 28% |
| 7位 | 出光興産 <5019> | 石油・石炭 | 52% | 8584億円 | 3.8倍 | 0.5倍 | 4.2% | 前期維持 | 19% |
| 8位 | リクルートHD <6098> | サービス | 52% | 6兆4854億円 | 22.3倍 | 3.8倍 | 0.6% | 5% | 69% |
| 9位 | ケンコーマヨ <2915> | 食料品 | 52% | 205億円 | 63.6倍 | 0.5倍 | 1.4% | 47% | 97% |
| 10位 | 豊田織機 <6201> | 輸送用 機器 | 48% | 2兆5578億円 | 12.5倍 | 0.6倍 | 2.5% | 5% | 31% |
■23年3月期
◎10分位
| 順位 | 銘柄名 <コード> | 業種 | 51週後 上昇率 | 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 期初配当 予想 | 前期の 総還元 性向 |
| 1位 | AMI <3773> | 情報・通信 | 231% | 103億円 | 22.9倍 | 0.9倍 | ―― | 無配・未定 | ―― |
| 2位 | 広済堂HD <7868> | その他 製品 | 217% | 229億円 | 13.5倍 | 0.8倍 | ―― | 復配 | 15% |
| 3位 | スターティアHD <3393> | 卸売 | 158% | 58億円 | 9.9倍 | 1.3倍 | 2.5% | ▲14% | 149% |
◎9分位
| 順位 | 銘柄名 <コード> | 業種 | 51週後 上昇率 | 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 期初配当 予想 | 前期の 総還元 性向 |
| 1位 | 日食品 <2892> | 食料品 | 55% | 116億円 | 9.9倍 | 0.4倍 | 3.6% | ▲35% | 34% |
| 2位 | ブロドマイン <7343> | 保険 | 54% | 37億円 | 10.3倍 | 1.2倍 | 2.3% | 13% | 52% |
| 3位 | 第一実 <8059> | 卸売 | 53% | 417億円 | 8.4倍 | 0.7倍 | 3.5% | ▲24% | 41% |
| 4位 | 三晃金 <1972> | 建設 | 51% | 103億円 | 5.9倍 | 0.5倍 | 5.0% | 前期維持 | 30% |
| 5位 | NOK <7240> | 輸送用 機器 | 50% | 1924億円 | 9.4倍 | 0.4倍 | 4.5% | ▲17% | 130% |
| 6位 | 北越メタル <5446> | 鉄鋼 | 50% | 39億円 | ―― | 0.2倍 | 0.6% | 未定 | 32% |
| 7位 | ミズノ <8022> | その他 製品 | 49% | 569億円 | 8.4倍 | 0.5倍 | 2.8% | 前期維持 | 18% |
| 8位 | トピー <7231> | 輸送用 機器 | 49% | 249億円 | 47.5倍 | 0.2倍 | 1.9% | 250% | 35% |
| 9位 | 日産東HD <8291> | 小売 | 48% | 147億円 | 7.3倍 | 0.3倍 | 3.6% | 25% | 30% |
| 10位 | ダイワボHD <3107> | 卸売 | 48% | 1629億円 | 9.9倍 | 1.3倍 | 3.5% | 前期維持 | 47% |
全体の傾向が示す「反転上昇の増配銘柄」の特徴は
上昇率が高いグループの特徴を確認したうえで、累計の958社について、上記に示した①~⑤を見ていく。①業種については決算期別、②~⑤は3期の合計で表した。
①業種~「情報・通信」「卸売」の数が多く、騰落率も強め
958社の業種の特徴を決算期別に見たのが、以下の3つの表だ。「情報・通信」「卸売」に属する銘柄の割合が高く、リターン(対TOPIX)も高水準ないし健闘していることがわかる。
■増配上昇銘柄のセクターと株価騰落率の動向(25年3月期)
| 順位 | セクター | 割合 | 平均騰落率 | 指数騰落率 | 対指数 |
| 1位 | 情報・通信 | 17% | 24% | 14% | 10% |
| 2位 | サービス | 11% | 31% | ▲8% | 40% |
| 3位 | 卸売業 | 11% | 18% | 7% | 11% |
| 4位 | 化学 | 7% | 14% | ▲11% | 25% |
| 5位 | 建設 | 6% | 24% | ▲12% | 36% |
| 6位 | 小売業 | 6% | 17% | ▲16% | 34% |
| 7位 | 食料品 | 5% | 11% | 3% | 8% |
| 7位 | 機械 | 5% | 28% | ▲4% | 32% |
| 9位 | 電気機器 | 5% | 23% | ▲5% | 28% |
| 10位 | 不動産 | 3% | 11% | ▲7% | 18% |
| 10位 | その他製品 | 3% | 20% | ▲6% | 27% |
| 10位 | 陸運業 | 3% | 21% | ▲16% | 37% |
対指数は平均騰落率から指数騰落率を引いた値
■増配上昇銘柄のセクターと株価騰落率の動向(24年3月期)
| 順位 | セクター | 割合 | 平均騰落率 | 指数騰落率 | 対指数 |
| 1位 | 化学 | 9% | 17% | 29% | ▲13% |
| 2位 | 建設 | 8% | 25% | 57% | ▲32% |
| 3位 | 情報・通信 | 8% | 48% | 19% | 28% |
| 3位 | 電気機器 | 8% | 35% | 41% | ▲6% |
| 5位 | 輸送用機器 | 7% | 29% | 35% | ▲6% |
| 5位 | 証券・商品先物 | 7% | 47% | 62% | ▲15% |
| 7位 | 卸売業 | 7% | 34% | 18% | 16% |
| 8位 | 食料品 | 6% | 13% | 36% | ▲23% |
| 9位 | 機械 | 5% | 21% | 25% | ▲4% |
| 10位 | 銀行業 | 5% | 26% | 25% | 1% |
■増配上昇銘柄のセクターと株価騰落率の動向(23年3月期)
| 順位 | セクター | 割合 | 平均騰落率 | 指数騰落率 | 対指数 |
| 1位 | 卸売業 | 13% | 26% | ▲1% | 26% |
| 2位 | 機械 | 12% | 26% | 8% | 18% |
| 3位 | 情報・通信 | 10% | 25% | 18% | 7% |
| 4位 | 電気機器 | 9% | 28% | 12% | 16% |
| 5位 | 輸送用機器 | 7% | 24% | 7% | 17% |
| 6位 | 化学 | 6% | 22% | ▲7% | 29% |
| 6位 | 建設 | 6% | 20% | ▲2% | 23% |
| 8位 | サービス | 5% | 28% | ▲6% | 34% |
| 9位 | 金属製品 | 4% | 12% | 5% | 7% |
| 10位 | 鉄鋼 | 4% | 39% | 9% | 30% |
「情報・通信」「卸売」の業種が多いのは、東証上場の3月期決算銘柄の構成割合の傾向に影響されている面がある。
参考までに足元の約2200社で見ると、最多の業種は「情報・通信(割合は10.7%)、次にサービス(同10.1%)、そして3位が卸売(同9.0%)となっている。
業種以外での特徴は?
これから②期初時点での時価総額、③同時点の株価水準、④同時点の予想配当、⑤前期の総還元性向の水準――について見ていく。
表は、各項目の中で、株価上昇率20%以上の割合が大きい順に並べている。
②時価総額~中小型と超大型では、割合がやや高め
時価総額では「100億~500億円未満」が44%とトップで、小型株効果が見て取れる。
ただし、1兆円以上も42%で、ここ数年に日本株で見られてきた「大型バリュー株」優位の影響を受けた可能性がある。
■期初当時の時価総額別に見た株価上昇率が20%以上の割合
| 順位 | 時価総額 | 割合 |
| 1位 | 100億~500億円未 | 44% |
| 2位 | 500億~1000億円未 | 42% |
| 3位 | 1兆円以上 | 42% |
| 4位 | 100億円未 | 41% |
| 5位 | 1000億~3000億円未 | 39% |
| 6位 | 5000億~1兆円未 | 33% |
| 7位 | 3000億~5000億円未 | 30% |
③株価水準~「――」が強い
割合が7割を超えるのは、PERが「5倍未満」そして配当利回りでは「――」、つまり未定や無配のグループになっている。
超割安株の割合が高くなるのは想定しやすいが、配当利回りが「――」なのは、期初時点で「未定」ないし「無配」予想のグループで、これらのグループの割合が高くなるのは、次の④からも確認できる。
なお、PBRについては、「1.25倍~2倍未満」が48%でトップだが、5位の「3倍以上」のグループでも42%となっている。
■期初当時のPERとPBR、配当利回り別に見た株価上昇率が20%以上の割合
| 順位 | PER | 割合 | 順位 | PBR | 割合 | 順位 | 配当利回り | 割合 |
| 1位 | 5倍未満 | 71% | 1位 | 1.5~2倍未 | 48% | 1位 | ―― | 73% |
| 2位 | ―― | 51% | 2位 | 1.25~1.5倍未 | 46% | 2位 | 5%以上 | 61% |
| 3位 | 50倍以上 | 50% | 3位 | 2~3倍未 | 45% | 3位 | 0.5%未満 | 55% |
| 4位 | 5~10倍未 | 45% | 4位 | 0.5倍未 | 44% | 4位 | 1~2%未 | 45% |
| 5位 | 20~30倍未 | 41% | 5位 | 3倍以上 | 42% | 5位 | 0.5以上1未満 | 43% |
| 6位 | 30~50倍未 | 37% | 6位 | 0.5~1倍未 | 39% | 6位 | 4~5%未 | 40% |
| 7位 | 10~15倍未 | 37% | 7位 | 1~1.25倍未 | 28% | 7位 | 3~4%未 | 38% |
| 8位 | 15~20倍未 | 33% | 8位 | 2~3%未 | 37% | |||
④期初予想の配当動向
前期実績と比較した期初予想の配当の動向を参考にしたのは、ノリノリさんが注視していたことを踏まえたものだ。結果は、期初時点で「無配・未定」が7割を超えてトップとなった。
なお、下の表の「無配・未定」と4位の「未定」との違いは前期の配当の有無で、前者は無配、後者は有配(配当実施)になる。
また、「無配・未定」と5位の「復配」および9位の「前期維持」との違いは、「復配」は期初時点では復配を公表、「前期維持」は前期に配当を実施している点で異なる。
「無配・未定」グループで+20%以上銘柄の割合が大きくなるのは、期初時点で「無配」「減配」の可能性もある中で、「増配」がよりポジティブに捉えられた可能性が高い。
■「期初配当予想」と株価上昇率が20%以上の割合
| 順位 | 状況 | 割合 |
| 1位 | 無配・未定 | 73% |
| 2位 | 100%以上 | 56% |
| 3位 | 減配 | 53% |
| 4位 | 未定 | 51% |
| 5位 | 復配 | 50% |
| 6位 | 20~30%未 | 44% |
| 7位 | 30~50%未 | 43% |
| 8位 | 50~100%未 | 39% |
| 9位 | 前期維持 | 38% |
| 10位 | 0~10%未 | 36% |
| 11位 | 10~20%未 | 35% |
⑤前期の総還元性向~こちらも「――」がトップ
前期の総還元性向の水準では、「――」がトップとなった。前期に配当・自社株買いの株主還元のない銘柄は、復配が株価上昇に効いた可能性がある。
次に多いのが「0~25%未満」。前期時点では、還元が低水準の銘柄は、やはり増配が投資家に好印象を与えた可能性がある。
| 順位 | 総還元性向 | 割合 |
| 1位 | ―― | 48% |
| 2位 | 0~25%未満 | 46% |
| 3位 | 100%以上 | 41% |
| 4位 | 50~100未満 | 39% |
| 5位 | 25~50%未 | 39% |
今期(26年3月期)の反転上昇の候補は
見てきた3期の傾向から、今期(26年3月期)の反転上昇候補を探った。
抽出条件は
① 市場区分: プライム市場・スタンダード市場
② 株価: 決算発表日の株価÷12カ月前時点の株価が対TOPIXでマイナス
③ 期初の配当予想: 「無配・未定」「未定」「減配」「復配」「100%以上」
④ 時価総額: 「100億~1000億円未満」
⑤ PER: 「――」「20倍未満」
⑥ PBR: 1.25~2倍未満
――とした。該当したのは25銘柄。次ページに、そのリストを掲載している。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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