【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─国策の追い風吹くコンテンツ・ゲーム関連に妙味
「国策の追い風吹くコンテンツ・ゲーム関連に妙味」
●業績面からは割安感、環境落ち着けば戻り試す展開も
3月の東京株式市場は、日米ともに景気の先行き懸念が台頭し上値の重い展開が予想される。一方、企業業績は堅調に推移しており、下値も限定的といえる。外部環境が落ち着けば、日経平均株価が戻りを試す展開となることも想定される。3万7000円を大きく下回る局面があれば、押し目買いの好機ともなりそうだ。
日経平均株価の予想レンジは3万6000円~3万8500円。
外部環境では米トランプ政権による関税政策やそれに伴うインフレ警戒感、さらには景気の腰折れ懸念も浮上している。日本では長期金利の急ピッチな上昇やそれに伴う円高傾向が上値を抑える要因となっている。
一方、企業業績は順調だ。25年3月期の日経平均株価の1株利益は第3四半期決算の発表直前は2480円程度だったが、直近では2520円前後まで上昇している。PER(株価収益率)は15倍台序盤まで低下しており、業績面からの割安感が強まっている。
注目スケジュールはいずれも米国で、3日にISM製造業景況指数、5日にISM非製造業景況指数、7日に雇用統計、12日に消費者物価指数(CPI)、13日に卸売物価指数(PPI)、17日に小売売上高、18日(~19日)に米連邦公開市場委員会(FOMC)などが予定されている。なお、9日に米株式市場の取引時間が夏時間に移行する。雇用統計やCPIなどには注意を払う必要がある。
日本では、14日に先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出、18日(~19日)に日銀金融政策決定会合、27日に3月期決算企業の配当権利付き最終日などがある。日米ともに金融政策の変更はないのがコンセンサスだが、今後の動向を占う上で、パウエルFRB議長、植田日銀総裁の会見での発言への関心が高い。特に日本ではタカ派委員の発言が株式や為替市場のかく乱要因になっているだけに関心も高い。
●配当・優待取りに加え、リユース、半導体関連などに注目
物色面ではまず、3月期決算企業の配当・優待取りの動きが中旬にかけて出ることが予想される。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]のメガバンクを軸に、利回りの高い商船三井 <9104> [東証P]、三菱商事 <8058> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]など、海運、商社、自動車に関心が集まりそう。利回りが高くPBRの低い主力株では日本製鉄 <5401> [東証P]、三菱ケミカルグループ <4188> [東証P]といった鉄鋼、化学などにも妙味がありそうだ。
また、関税や為替など外部環境に影響されにくい コンテンツ・ゲーム関連株は引き続き有望といえる。2024年6月に政府が「新たなクールジャパン戦略」を発表して以降、国策関連としての側面も有している。政府では2033年までに日本発のコンテンツの海外市場規模を20兆円規模とする目標を掲げている。ゲームではスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> [東証P]、カプコン <9697> [東証P]、コナミグループ <9766> [東証P]、任天堂 <7974> [東証P]、ソニーグループ <6758> [東証P]、コンテンツではサンリオ <8136> [東証P]、バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]など。
物価高による節約志向などでリユース(再利用)関連も有望といえそうだ。品質の高い日本のリユース品はインバウンド客にも評判が高い。洋服やバッグなどのファッションアイテムを扱う「2nd STREET(セカンドストリート)」を展開するゲオホールディングス <2681> [東証P]のほか、業界の老舗であるトレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]、ハードオフコーポレーション <2674> [東証P]、出張買い取りに強いBuySell Technologies <7685> [東証G]などが挙げられる。
米半導体大手エヌビディア<NVDA>の決算を受けて半導体関連株が波乱となっている。ただ、決算は順調と評価でき、利益率の今後の改善傾向も示されている。徐々に冷静さを取り戻すと想定する。また、エヌビディアは3月17日~21日に開発者会議である「GTC2025」を開催する予定。先端AI半導体「Blackwell(ブラックウェル)」の次期モデルの紹介なども予想される。テスターのアドバンテスト <6857> [東証P]、切削・切断・研磨装置のディスコ <6146> [東証P]、前工程装置の東京エレクトロン <8035> [東証P]、洗浄装置のSCREENホールディングス <7735> [東証P]などの動向もチェックしておきたい。
(2025年2月27日 記/次回は3月30日 配信予定)
株探ニュース