【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算シーズン接近で個別対応にシフト
●トランプ大統領就任後に再動意をみせるか見極め
2025年相場は不安定な状況となった。日経平均株価は1月7日に4万0288円をつけた後は調整を強め、17日には一時3万8055円と、節目の3万8000円割れまであと一歩に迫った。20日にトランプ次期米大統領の就任式を控え、株式市場では「トランプ関税」が警戒されて積極的に押し目を拾う動きは限られた。
また、23-24日に開催される日銀の金融政策決定会合を巡って追加利上げの観測が高まり、為替市場では円相場が1ドル=155円台と円高に振れて推移している。加えて中国商務省が、米国製の非先端半導体に対し反ダンピング調査などを始めると発表。米国による半導体の輸出規制への対抗措置とみられ、米中対立の影響を懸念したアドバンテスト <6857> [東証P]など半導体株の不安定な値動きが、センチメントを冷ます形となっている。
NYダウや日経平均株価は昨年11月以来の水準まで調整しており、11月大統領選挙後の「トランプトレード」で上昇した分を帳消しにしてしまった。だが、水準としては仕切り直しに入りやすいタイミングであり、週明け20日のトランプ氏の大統領就任後に再動意をみせてくるかを見極めたい。
また、1月下旬からは国内企業の決算発表が本格化する。先回り的な動きは限られ、決算内容を確認しつつ個別対応に向かうことになりそうだ。日経平均株価はこれまで支持線として機能してきた52週移動平均線を下回ってきている。週足の一目均衡表では雲上限を割り込み、遅行スパンが下方シグナルを発生させつつあり、正念場を迎えることになる。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆グリーホールディングス <3632> [東証P]
傘下のゲーム・アニメ事業会社の再編を実施し、より質の高いライブサービスゲーム体験の提供とともに、強固な体制でのコンシューマゲーム事業の推進を目指す。昨年11月5日に発表した2025年6月期第1四半期(7-9月)の連結営業損益が1億3300万円の赤字(前年同期は12億2500万円の黒字)に転落したことが嫌気され、株価は11月11日安値の401円まで売られた。その後はリバウンドをみせ、足もとでは450円を挟んで保ち合いを継続。一目均衡表では雲上限での攻防をみせており、今後、遅行スパンが12月の高値期間を通過することで実線を上回り、上方シグナルを発生させてくる可能性が高まる。
◆明電舎 <6508> [東証P]
発変電設備、太陽光発電など社会インフラ、産業インフラ事業を展開。昨年10月28日に発表した2025年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業損益は19億0900万円の黒字(前年同期は23億6600万円の赤字)に転換した。電力インフラに係る積極的な投資などを背景に、重電製品・システムで旺盛な需要が継続。なお、電力会社や官公庁向けの各種電気設備などは、年度末に売上が集中する傾向がある。株価は昨年12月18日につけた4500円をピークに調整。25日線を割り込んだが、上向きで推移する75日線に支えられてリバウンドをみせてきた。一目均衡表では雲上限が支持線として機能している。
◆ファナック <6954> [東証P]
工作機械用のNC装置で世界トップ。昨年10月25日には今期2度目となる業績上方修正を発表。2025年3月期の連結営業利益を従来予想の1430億円から1508億円に引き上げ、6.3%増益見通しとなった。FA部門のほか、スマートフォン製造などで使う切削加工機を含むロボマシン部門が中国向けを中心に回復を見込む。株価は11月29日安値の3649円から切り返し、抵抗線として機能していた52週線を上放れ、昨年5月20日高値の4748円をピークとする調整トレンドラインを突破した。
◆アルペン <3028> [東証P]
大型の総合スポーツ用品店「スポーツデポ」などを全国展開。昨年11月7日に発表した2025年6月期第1四半期(7-9月)の連結営業損益は7億9400万円の黒字(前年同期は6億4400万円の赤字)に浮上した。同社は秋・冬シーズンのキャンプがレジャーとして定着する中、焚き火台やストーブなど暖を取るためのアイテムを充実させている。昨年末にはお座敷こたつスタイルを簡単に実現できる「こたつユニット」を発売し、冬キャンプの新定番を狙う。株価は昨年11月22日につけた1979円を直近安値に、リバウンド基調を継続している。
◆マツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]
全国47都道府県に3400店超の店舗網を持つドラッグストアグループ。1月8日にはSBIホールディングス <8473> [東証P]傘下のSBIインベストメントと共同で設立したCVCファンドを通じて、メンタルヘルス分野でセルフケアアプリや治療用アプリを提供するemol(東京都豊島区)に出資した。emolが有するメンタルヘルスの予防と治療の知見を新規事業創出に生かす。株価は下向きで推移する52週線に上値を抑えられているが、昨年11月21日につけた2022円を安値にリバウンド基調を継続しており、抵抗線突破による新たな展開に期待したい。
(2025年1月17日 記)
株探ニュース