米国株式市場見通し:楽観ムード強く主要3指数がそろって高値更新の可能性も
来週の米国株は、中東情勢という地政学的リスクは重しとなるが、強い雇用情勢を背景としたソフトランディング期待が株価を押し上げそうだ。非農業部門雇用者数の増加幅、失業率、平均時給のどこを切り取っても強い内容だったことから、金融市場は、長期金利上昇、ドル高、株高と「良い処取り」の地合いとなっている。中東情勢の緊迫化が続いているため、週末のVIX指数は19.21ポイントと大幅な低下とはならなかったが、節目の20ポイントは割り込んでおり、楽観ムードはVIX指数以上に強そうだ。雇用に対する警戒感が払しょくされたことから、良好な投資家心理を背景に、終値ベースで史上最高値を更新したNYダウは強い動きが続くだろう。S&P500の史上最高値更新も時間の問題か。
金利上昇は重しだが、上値がやや重いエヌビディアの動き次第では、ナスダックも7月10日の史上最高値を上抜く可能性は十分ある。主要3指数がそろって史上最高値を更新する雰囲気は、9月雇用統計によって一気に醸成されたと考える。
一方、10日に発表される9月の消費者物価指数(CPI)や、週末の大手金融機関の決算発表は意識しておきたい。ソフトランディング期待が強まっていることから、CPIなどが水を差す結果となれば、反動はより大きくなろう。なお、先の話となるが、11月FOMC前の11月1日に発表される10月雇用統計は、ボーイングのストライキや大型ハリケーン「ヘリーン」の影響を受け、一時的に数字は悪くなるとの見方だ。10月雇用統計の結果次第では、11月FOMCの利下げ幅が大きく変わる可能性もあることには注意しておきたい。
経済指標では、8日に8月貿易収支、9日に8月卸売在庫(確報値)、週次原油在庫、9月FOMC議事録、10日に9月消費者物価指数、週次新規失業保険申請件数、11日に9月生産者物価指数、10月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。
主要企業決算は、7日にダックホーン、8日ペプシコ、10日にデルタ航空、ドミノ・ピザ、11日にバンク・オブ・NY・メロン、ブラックロック、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、ファスナルなどが予定されている。
《FA》
提供:フィスコ