中東情勢の緊迫化を背景にリスク回避の動きが強まる【クロージング】
2日の日経平均は大幅反落。843.21円安の37808.76円(出来高概算20億5000万株)で取引を終えた。中東情勢を巡る地政学リスクの高まりによるリスク回避の動きが強まった。大幅に反落して始まると、前場中盤には37892.27円まで水準を切り下げた。中東情勢の悪化が長期化することによる世界的なインフレ懸念再燃も警戒され、ヘッジファンドなどの短期筋による先物売りも相場を押し下げる要因につながった。心理的な節目の38000円を下回る局面では押し目を拾う動きもみられたが、海外メディアが「イスラエルが数日以内にイラン攻撃への対応を計画」と伝えたことから、大引けにかけて下げ幅を広げ37651.07円まで下押しした。
東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1400に迫り、全体の8割超を占めた。セクター別では、鉱業、石油石炭、鉄鋼など5業種が上昇。一方、空運、電気機器、銀行、保険など28業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、ダイキン<6367>、エーザイ<4523>、三井物<8031>、住友鉱<5713>、出光興産<5019>がしっかりだった半面、ファーストリテ<9983>、東エレク<8035>、アドバンテス<6857>、TDK<6762>、ソフトバンクG<9984>が軟調だった。
中東情勢の緊迫化が警戒され、前日の米国市場では主要株価指数が下落。東京市場にも目先のリスクを回避する動きが強まった。世界経済への悪影響を警戒する向きも多く、日経平均の下げ幅は一時1000円を超えた。一方、地政学リスクの高まりによって原油市況が上昇しており、資源株が上昇したほか、海上運賃の上昇への思惑から海運株が買われる場面もみられた。
中東情勢の緊迫化を背景に時間外取引で原油先物相場が2%近く上昇している。原油高や輸送コスト高などが警戒されるほか、中東での供給網の寸断なども警戒され、当面は中東情勢をにらみながら不安定な動きが続くことが想定される。日経平均は一時下値のめどとみられる200日線水準(37803円)をも下回ったため、目先は下値を模索する局面となりそうだ。
《CS》
提供:フィスコ