高市トレードを巻き戻す動き【クロージング】
30日の日経平均は大幅反落。1910.01円安の37919.55円(出来高概算26億株)で取引を終えた。自民党総裁選で石破茂氏が逆転で新総裁に選出された。先週は日銀の金融政策に否定的であった高市氏が1回目の投票で1位だったことから為替市場では円安が進行し、日経平均は大幅に上昇した。ただし、決選投票で敗れたことで、高市氏期待で買われていた持ち高が一気に剥がれる形になった。急落して始まった後は下げ渋る動きもみられたが、円相場が1ドル=141円台と円高に振れて推移するなか、日経平均は後場終盤にかけて、一時37797.91円まで下押しした。
東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1500を超え、全体の9割超を占めた。セクター別では、銀行を除く32業種が下落し、輸送用機器、不動産、証券商品先物、電気ガスの下落が目立っていた。指数インパクトの大きいところでは、ニトリHD<9843>、ニチレイ<2871>、千葉銀<8331>、しずおかFG<5831>がしっかりだった半面、東エレク<8035>、ファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>、アドバンテス<6857>、TDK<6762>が軟調だった。
石破新政権の政策運営に対する先行き不透明感が売りに拍車をかける形になったが、基本的には、高市トレードを巻き戻す動きである。先週末には結果判明後に円高が進み、日経225先物はナイトセッションで開始直後に下落幅は2000円を超えていた。ただ、日経平均が心理的な節目の38000円を下回ると、押し目を拾う動きもみられており、需給整理一巡後の下げ止まりを見極めたいところであろう。
石破氏は総裁選後に出演したテレビ番組で、「金融緩和の方向性は維持していかなければならない」などとの見解を示しており、きょうの株安・円高の反応は行き過ぎといった見方もあり、一時的なものとどまる可能性がある。10月1日召集の臨時国会で首相に指名された後、直ちに組閣を行う見通しなうえ、4日に所信表明演説に臨み、7日からの各党代表質問を経て、9日に衆議院を解散、総選挙は15日公示、27日投開票の日程を軸に最終調整に入ったとの報道もあり、「解散総選挙は買い」とのアノマリーがあるだけに、押し目買いスタンスで臨みたいところだ。
《CS》
提供:フィスコ