STIフードHD Research Memo(4):生産能力・拠点の課題解消に向けて関西工場を新設
■STIフードホールディングス<2932>の事業概要
2. 調達体制と生産体制
同社は、水産原材料をその時々の相場で複数の商社・問屋から広く調達することにより、必要なサイズ、必要な数量を安定して確保する仕組みを構築している。さらに同社の現地社員は、素材の検品や加工状況などに自ら立ち会って現物を確認することを原則としている。例えばチリでの養殖素材の調達では、同社子会社のSTI CHILE S.A.の担当者が、養殖水域の水質や養殖状況から、投与された抗生物質が残留していないことを示す分析証明まで、トレーサビリティ(製品・調達原材料の生産・流通過程を追跡可能にするための管理体制)の確認を徹底して行っている。
また、同社は、東北及び関東、東海、九州に生産拠点を有している。工場ごとに異なる得意分野・商品群を組み合わせることで、コンビニエンスストアが必要とする3温度帯(冷凍・冷蔵・常温)の食品や食材の生産を効率的に行っている。これらの工場は子会社が運営しており、主にコンビニエンスストア向けに焼魚、煮魚、カップサラダなど水産惣菜を手掛けているのが(株)STIフード、(株)STIデリカ、(株)STIエナック、(株)STIミヤギで、素材のおいしさを最大限に引き出すためチルド(冷蔵)温度帯で生産から出荷、販売までを一貫して行っている(一部工場では冷凍惣菜の生産・販売も行っている)。また、STIエナック、STIミヤギでは、おにぎりや弁当、パスタ、サラダなどに使用されるサーモンフレーク、イクラ、辛子明太子といった水産食材を、食材商社などを通じてデイリー惣菜メーカー向けに生産・販売しており、STIミヤギ、(株)STIサンヨーでは缶詰・レトルト製品等を生産している。なお、STIサンヨーではペットフードの生産・販売も行っている。同社は、北海道を除く全国のセブン-イレブンやベンダーに向けて、こうした子会社工場から商品を供給している。しかし現在、同社の生産能力を上回る勢いでチルド惣菜が伸びていること、北海道への配送ができないことなど、生産拠点網の最適化が課題となっており、課題解消に向けて関西新工場の建設を進めているところである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《EY》
提供:フィスコ