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7561 ハークスレイ

東証S
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ハークスレイ Research Memo(4):食品加工・製造分野に積極投資し業績拡大を目指すとともに、株主還元も強化


■中期経営目標

ハークスレイ<7561>は、2025年3月期?2028年3月期の4ヶ年の中期経営目標を策定した。これまで以上に積極的な成長投資を実行することにより事業領域を拡大し、事業の成長と収益拡大により企業価値を高めて持続的成長を目指す。成長投資は、物流・食品加工事業を中心に178億円(M&A120億円、設備投資58億円)規模の投資を見込んでおり、食品製造、冷凍食品製造、菓子製造、農産物・水産物・畜産物の生産や加工業などの同社事業とのシナジーによるM&Aに積極投資する。経営目標は、2028年3月期にROE8.3%(2024年3月期比1.4ポイント上昇)、年間配当金35.0円、DOE2.1%、売上高720億円(同54.1%増)、EBITDA56億円(同47.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25億円(同56.3%増)としている。業績の拡大とともに株主還元の充実を目指す内容となっている。

1. 長期構想
同社は、「食」の領域で生産者と消費者をつなぐインテグレーションを推進している。一例として、川下である小売の現場は深刻な人手不足により自前で総菜を作ることが困難になりつつあり、傘下のアサヒL&Cではカミッサリー事業の受注拡大が引き続き見込まれる。また、農産品の価格は天候などの影響で乱高下しやすいが、同社では生産者との年間契約によって安定的な調達を可能にしており、生産者側も安心して規模の拡大や合理化に取り組んでいる。同社は川下(中食店舗、スーパーなどの顧客)/川中(製造、物流など)/川上(農業、漁業、畜産業界との良好な関係)のすべてのサプライチェーンとかかわりがあり、今後もサプライチェーンの結びつきを強化するのが基本構想である。同社のM&A対象となる食関連企業に向け、経営安定化のためのプラットフォームになろうとしている。優れた設備や人材がありながら単独では苦戦している年商50?100億円前後の企業は国内に多くある。仕入れの高騰や販路開拓など課題は各企業様々であるが、同社のプラットフォームに参画すれば弱点を補強し、強みを最大限に生かす経営が可能となると同社は考えている。実際に、これまで大型のM&Aを積み重ねてきた同社へM&A仲介会社をはじめ銀行・証券会社から多くの情報提供が寄せられているという。

同社は、中期経営目標の2028年3月期の売上高目標720億円の達成は最低限達成しなければならない目標と考えている。例えば、年商50億円規模の企業を年間2社取得すると毎年100億円の増収となり、3期で300億円の増収となる。この300億円だけで中期経営目標の定量目標値と2024年3月期実績とのギャップ(253億円)は埋まってしまう計算となるためだ。もちろん、各事業ともオーガニックにも成長する。長期的には、創業50周年にあたる2030年3月期に売上高3,000億円程度まで持っていきたいという意向もある。同社の業容が拡大していけば、年商200?500億円規模の企業の取得案件が持ち込まれる可能性もある。また、食文化が日本と近いベトナムやフィリピンなどアジアの企業との連携も視野に入れている。

2. 成長投資戦略
同社は、成長投資による経営基盤の強化(足場固め)による利益拡大を基本戦略としており、中期経営目標期間の4期において178億円を成長投資に投入する計画である。原資は、営業活動によるキャッシュ・フロー154億円(4期合計)と手元資金46億円の合計200億円からまかなうとしている。弊社では、同社は収益力が向上し財務体質が強化されており、借入余力もあるため原資に懸念はなく、同社の構想や基準に合致する投資先が見つかるかが、目標達成のカギであると考えている。グループインする企業が増えるにつれ対象とするM&Aの情報提供も多くなり、目標達成の確度は高まっていくと思われる。

3. 株主還元策
中期経営目標の始動と並行して新たな配当方針を2024年6月に発表した。安定的な配当の継続を基本方針とし、将来に向けた成長投資に利益を配分するとともに、株主への利益還元重視の姿勢をより明確にするため、1株当たり当期純利益の伸長に合わせて「前年を下回らない増配を目指す」としている。中期経営目標では最終年度の2028年3月期に年間配当35.0円とする目標を掲げており、毎年2.0円から3.0円前後の増配ペースが期待できる。自己株式の取得については、資本水準や株式市場の環境に加え、ROEや1株当たり当期純利益が伸長する効果を総合的に勘案し、機動的に実施するとしている。

なお、2024年3月期の配当金は好調な増益を背景に、年間配当24.0円(前期比6.0円増配)、DOE(株主資本配当率)は1.8%となった。2025年3月期は、年間配当26.0円(同2.0円増配)、DOE1.9%を予想している。

4. 資本コストを意識した経営
同社は現状を分析・評価したうえで今後の企業価値向上に向け、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取組み方針」を2024年6月に策定した。2022年3月期以降は事業構造変革により順調に業績が回復し、営業活動によるキャッシュ・フローも大幅改善しているものの、2024年3月期末はPBR0.72倍、PER10.88倍と改善余地があり、成長性や収益性、株主還元など株式市場において十分な理解が得られていないことへの対策である。2024年3月期のROEは6.9%であり、PBR1倍割れの分岐点と言われる8%を下回っている。このことからROEのさらなる向上が重要であること、その一因として総資産回転率が近年は0.7(回転)前後と低位で推移しており、資産効率改善が重要であると認識している。

今後の取り組みとして、以下の3点を強化を掲げた。
1) 収益性の向上と資産の効率化
2) 資本政策、株主還元
3) IR活動の強化

1) 収益性の向上と資産の効率化は、2028年3月期にROE8.3%(2024年3月期比1.4ポイント上昇)、EBITDA56億円(同47.4%増)、EPS134.5円(同54.8%増)と収益性を高める目標を掲げた。また、4期で120億円を投じる積極的なM&Aによる事業構造(ポートフォリオ)変革による収益性の向上や資産の効率化(総資産回転率の向上)、ノンアセットビジネスの推進などに取り組む。店舗アセット&ソリューション事業における具体的アクションとしては、販売用不動産の在庫回転日数短縮、店舗リース取引店舗数向上によるストック収入増加、特定技能外国人他人材紹介事業、店舗運営事業者へのコンサルティングの成長などが該当する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SO》

 提供:フィスコ

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