NANO MRNA---1Q共同研究によるパイプライン拡充を推進、受託型モデルを追加
NANO MRNA<4571>は9日、2025年3月期第1四半期(24年4月-6月)連結決算を発表した。売上高の計上はなし(前年同期は0.58億円の売上高)、営業損失が1.89億円(同3.04億円の損失)、経常損失が1.55億円(同2.85億円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が1.56億円(同2.85億円の損失)となった。
当第1四半期においては、これまでの協業型、創薬バイオベンチャー型の事業推進モデルに、受託型が新たなモデルとして加わった。これは、mRNA医薬品の開発を行いたい企業が増えつつある中、同社が持つmRNA創薬の経験とバリューチェーン(医薬品レベルでの製造や非臨床試験、IND申請パッケージの作成まで)を利用した質の高いmRNA医薬の開発候補品の提供への期待を受けたものである。同社は、引き続き、従来からの2つのモデルによりパイプラインを拡充し、創製した開発候補の製薬企業等へのライセンスアウトを進めていくとともに、新たな受託型モデルについても推進し、収益化を図っていくとしている。
mRNA医薬パイプラインについては、7つのパイプラインが進行中である。同社の変形性膝関節症に対するmRNA組織再生医薬は、感染症予防ワクチン以外ではmRNA医薬の創薬として国内初とも言えるものであり、これに続いて皮膚疾患及び千寿製薬との眼科疾患の組織再生領域での治療薬候補の研究も進んでいる。ワクチン領域では、花王<4452>との包括共同研究契約下において3つのパイプラインの研究開発を推進している。初期段階のパイプラインの推進及び新規課題の探索を進め、さらに既存パイプラインの研究開発推進などに取り組む。
mRNA医薬以外のパイプラインについて、脳腫瘍の中で最も悪性度が高い膠芽腫を対象とするTUG1 ASOの医師主導第I相臨床試験が2024年2月に開始され、順調に進捗している。NC-6100は公益財団法人がん研究会有明病院において、医師主導第I相臨床試験が実施されてきたが、その臨床成績について、第28回日本がん分子治療標的学会にて報告された。重篤な副作用は確認されず、安全性に大きな問題がなく、薬剤への暴露が動物試験結果よりも高い傾向が認められ、同社が保有するDDS技術YBCポリマーのヒトでの有用性が検証された。
2025年3月期通期の連結業績予想について、売上高が前期比62.0%減の0.51億円、営業損失が12.42億円、経常損失が11.92億円、親会社株主に帰属する当期純損失が12.06億円とする期初計画を据え置いている。
《SI》
提供:フィスコ