【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ バフェット視点で妙味株を探る!
「バフェット視点で妙味株を探る!」
●奈落の底の東京市場を救った助け船
ボラティリティ(株価変動率)の大きな日々が続く。日経平均株価は7月12日から下落相場に転じたが、下落のスピード、幅、率ともに大きく、8月5日には歴代1位の4451円の下落幅を記録したほど。下落率も12.4%に達し、正直驚いたが、それに対して上昇幅が3217円と過去最大となったのが翌6日だった。上昇率は10.2%で、前日の下落率には及ばなかったものの、かなりの上昇となったことはご承知の通りだ。
こんなにボラティリティが大きくては正直ついていけないが、こうした時には無理をしてついていくこともない。いま大事なことは、7月11日の史上最高値4万2426円を頂点に、翌日から下げに転じ、8月に入ると暴落を開始した東京市場が、ともかく止まってくれること。私は高値から15%程度の下げなら問題なしと見ていたが、それをあっさり突破して26%超もの下落率となったのだから、正直ショックだった。
今年の3月末までなら大きく下げた場合、日銀によるETF買いがあった。それは急落場面では、明らかに「救命艇」の役割を果たしてくれていた。そのため、日経平均株価が下げても、「日銀のETF買いがあるから」と安心することができたし、実際株価は下げても今回のようなことになることはなかった。
しかし、4月以降は日銀の「助け船(ETF買い)」は望めないため、20%を超す下落に肝を冷やしたのだが、日銀は別の形で「救命艇」を出してくれたといえる。今回の下落は、そもそも植田日銀総裁の「タカ派」発言に端を発したもの。日銀金融政策決定会合で0.25%の追加利上げを決めたところまでは特に問題はなかったのだが、会合後の記者会見で総裁は「今後も金融緩和の度合いを調整していくことになる」と、さらなる利上げをする考えを表明した。
市場はこれに驚き、円相場の急騰もあって、暴落してしまったわけだが、ここで「救命艇」を出してくれたのが、日銀の内田副総裁だった。北海道函館市での講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べた。これがなければ、東京市場もわれわれ投資家もまだ奈落の底でもがき苦しんでいただろう。だが、それは回避されたので、ここはウォーレン・バフェット視点で銘柄を探し、投資をすればよい。
●「神銘柄」の花王のほか、生損保などを注視
バフェット氏の投資法は、煎じ詰めると、
(1)歴史が古くブランド力の高い企業。
(2)コンスタントに入金があり、収益好調な企業。
(3)設備投資が少なくてすむ企業。
(4)市場が暴落し、それらが安くなるときに仕込む。
以上になるので、該当する企業を探すと、まずは花王 <4452> [東証P]がある。花王は増配記録を伸ばすのに苦労しているのではないかとみていたのだが、8日に発表した24年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結営業利益は前年同期比2.2倍の579億3900万円で、通期の同利益予想も1300億円から1400億円に引き上げられていた。得意とするトイレタリーやケミカルが好調だったとのこと。株価は配当狙いの投資家達にとって「神銘柄」(35期連続増配)でもあるので続伸が見込める。
同じく衛生用品を扱うユニ・チャーム <8113> [東証P]も、6日発表の24年12月期第2四半期累計(1-6月)決算では、売上高が前年同期比7.4%増の4877億円、コア営業利益が24.4%増の730億9900万円と好調。株価は回復に転じているものの、まださほど上がっていないので魅力的だ。
損保や生保なども安定的な収入が見込める事業なので、損保では東京海上ホールディングス <8766> がある。自動車保険が好調な上に、大量保有している政策保有株を順次売却していく方針であり、それが利益計上されることで収益増が見込める点も株価の支援材料になるだろう。
生保ではライフネット生命保険 <7157> [東証G]になる。テレビを見ていると、この会社のCMを何回も目にする。CM効果もあって加入者は次第に増加、保険料の積み上げにより、上場来続いていた赤字も23年3月期で終了、黒字転換を果たした。今期はさらに収益が伸びる見通しのため、株価も回復方向で推移すると見てよい。
バフェット氏といえば、5大商社株を忘れてはなるまい。5社のうち有望度が最も高いと私が考えるのは伊藤忠商事 <8001> [東証P]なので同社株を。
最後に、バフェット視点を離れた銘柄を。松風 <7979> [東証P]だ。人工歯、研磨材など歯科材料に強く、ネイル分野でも高いブランド力を持っているため、株価がこのまま失速してしまうとは考えられない。
2024年8月9日 記
株探ニュース