プロパスト Research Memo(5):少額の改修工事で効果的に付加価値高める
■プロパスト<3236>のバリューアップ事業
1. 事業概要
バリューアップ事業は、1年程度の短期プロジェクトである。首都圏エリアを中心に中古の収益ビル等を購入し、外観や設備が経年劣化した不動産に対して、外壁洗浄、軒天井塗装、鉄部塗装、屋上防水、植栽交換等によって効率的にリニューアル工事を行い、既存の建物の付加価値を高めたうえで、1棟当たり500~1,000百万円で再販する。最近では、ほぼ新築の物件を購入し、リーシング(不動産の賃貸を支援すること)をしたうえで売却するケースもある。売却先は主に国内外の富裕層である。少額の改修工事で効果的に付加価値を高めることで、短期間での売却及び資金回収を図る事業であるため、市場変動リスクが小さい。同事業では年間10棟前後のペースで売却している。
バリューアップ事業の2024年5月期の実績は、賃貸開発事業の好調を受けて抑制したことで、売上高は2,320百万円(前期比66.0%減)、営業利益は350百万円(同63.1%減)と減収減益にとどまった。売上高は会社全体の10.0%、営業利益は8.1%に縮小している。ただ、付加価値が見込める物件の仕入及び売却を続けていることから、営業利益率は15.1%に上昇している。
2. 特長
同社にはゼネコン出身者も多く、ノウハウに長けた人材が多い。特に、クリーニング、植栽、外光などの共用部分に対する改修工事により効果的に付加価値を高めることで、資産価値の向上につなげている。
3. 実績例
最近の実績例は、以下のとおりである。
(1) 吾妻橋3プロジェクト(東京都墨田区)(4. バリューアップ事例を参照<Before→After>)
(2) 広尾2プロジェクト(東京都渋谷区)
(3) 北大塚3プロジェクト(東京都豊島区)
(4) 高田馬場3プロジェクト(東京都新宿区)
(5) 大原プロジェクト(東京都世田谷区)
(6) 豪徳寺プロジェクト(東京都世田谷区)
(7) 東麻布2プロジェクト(東京都港区)
(8) 天神町プロジェクト(東京都新宿区)
(9) 上大崎プロジェクト(東京都品川区)
(10) 下丸子プロジェクト(東京都大田区)
(11) 八雲2プロジェクト(東京都目黒区)
(12) 日本橋箱崎町2プロジェクト(東京都中央区)
(13) 山吹町2プロジェクト(東京都新宿区)
(14) 西巣鴨3プロジェクト(東京都豊島区)
(15) 小山2プロジェクト(東京都品川区)
(16) 浅草橋8プロジェクト(東京都台東区)
(17) 千駄ヶ谷8プロジェクト(東京都渋谷区)
(18) 代々木7プロジェクト(東京都渋谷区)
(19) 新蒲田プロジェクト(東京都大田区)
(20) 中里プロジェクト(東京都北区)
(21) 中野2プロジェクト(東京都中野区)
(22) 東馬込2プロジェクト(東京都大田区)
(23) 大塚4プロジェクト(東京都文京区)
(24) 猿江プロジェクト(東京都江東区)
(25) 高田馬場4プロジェクト(東京都新宿区)
4. バリューアップ事例
バリューアップの具体的事例として、吾妻橋3プロジェクト(東京都墨田区)では、同社が物件を購入した時点で屋上の経年劣化が目立っていたが、既存の防水層を撤去し、下地を調整して塩化ビニールシートを施工することで、ビルの資産価値を高めた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
《SO》
提供:フィスコ