フォーシーズ Research Memo(4):2024年9月期第2四半期は増収増益。通販事業と卸売事業の売上拡大(1)
■業績動向
1. 2024年9月期第2四半期の業績概要
フォーシーズHD<3726>の2024年9月期第2四半期の連結業績は、売上高1,113百万円(前年同期比8.2%増)、営業損失67百万円(前年同期は104百万円の損失)、経常損失68百万円(同104百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失74百万円(同103百万円の損失)となった。各セグメントの営業スタイル特性に合わせた施策を推進した結果、通販事業は売上高・セグメント利益ともに予想どおりの進捗となり、卸売事業ではセグメント利益が予想を大きく上回り、安定的な黒字化に向けて収益性が向上した。リテール事業は店舗数の減少に伴い売上が減少したが、顧客囲い込み施策の強化によりこれを補った。また、コンサルティング事業では、事業の取捨選択により利益創出に努めた。各セグメントに共通する商品開発部門を含めた管理部門では、コンセプトにマッチした商品の開発スピードの向上や低原価のOEM商品の開発、同社の文化となっているコスト削減プロジェクトを継続した。
2. セグメント別概要
2024年9月期第2四半期の新商品については、「AROMA BLOOM」からボディケアカンパニーのファイテン(株)との共同企画商品「アロマブルーム メタックスアロマティックローション」、「FAVORINA」からビタミンCを配合した美容液「フェヴリナ ピュアCセラム」を販売した。原価率改善のため、OEM商品の開発に注力しており、開発した商品は通販事業、卸売事業、リテール事業それぞれで展開している。コスト削減の取り組みとしては、通販事業を中心に受注・配送・在庫の管理業務にRPAツール「BizRobo!」を導入した。これにより、自社EC及びモール出店の売上集計、在庫変動の随時反映など7つの業務を自動化し、課内の従業員1人当たりの時間外労働削減を進めた。
セグメント別の概要は以下のとおりである。
(1) 通販事業
売上高は528百万円(前年同期比35.9%増)、セグメント利益は89百万円(同16.4%減)となった。M&Aによりiiyを子会社化したことで、通販事業全体の売上高は前年同期を上回る結果となった。セグメント利益は前年同期比で減少したが、この要因は新規顧客獲得の強化に伴う広告宣伝費の増加によるもので、中長期的な売上増と安定的な黒字化に向けた先行投資だと弊社では見ている。コールセンターの電話オペレーターによる販売では、電話営業歴10年以上のベテランスタッフが、顧客のニーズや悩みに寄り添った対応を行うとともに、徹底的なマーケティングによる商品選定やDMの企画などを行っている。アロマ製品やiiyの商品販売も行っており顧客からの評価は高い。EC販売では、昨年からグループに加わったiiyの売上及び利益が全体に占める割合が高いことから、そのマーケティング手法をほかのブランドにも展開することで全体の売上高が伸長した。特に「AROMA BLOOM」は売上を前年同期比で大きく伸ばした。利益創出にはまだ大きな実績が出ていないため、SNSの活用や広告配信などを積極的に行い、ブランド認知向上とモール販売を強化する。
(2) 卸売事業
売上高は226百万円(前年同期比4.9%増)、セグメント利益は82百万円(同18.1%増)となった。国内卸では、YouTubeでのプロモーション活動やインバウンド顧客の回復により、売上は伸長傾向にある。2023年9月発売の「ピュアバブルローション」、2023年3月発売の「アミノネクリアウオッシュ」など、バラエティショップへの導入が着実に進んでいる。「FAVORINA」「FINE VISUAL」「AROMA BLOOM」ブランドは販路拡大を進めており、ふるさと納税返礼品の登録、SDGs経営の一環として、消費期限間近の商品販売も継続した。海外卸では、現在、東南アジアを中心に販路を拡大しており、前年同期より着実に売上を積み上げた。2022年7月?2023年7月まで中華人民共和国、中華人民共和国香港特別行政区及びアメリカ合衆国で“Cure”「ナチュラルアクアジェル」の販売ができない状況だったが、2023年8月より販売可能となったため、他商品と同様に同国での販売を強化した。
(3) リテール事業
売上高は334百万円(前年同期比14.5%減)、セグメント損失は17百万円(前年同期は42百万円の損失)となった。原価率改善のためにOEM商品の開発と販売強化を行った結果、セグメント損失は前年同期比より大きく改善した。2024年2月に発売したボディケアカンパニーのファイテンとの共同企画商品「アロマブルーム メタックスアロマティックローション」は、予想を上回る販売数で完売し、入荷待ちの状況となった。また、会員化施策として前期に導入したアプリ会員が7万人を突破、LINEアカウント登録者数も1年間で約3倍の6万人を超え、リピート率、客単価の向上につながった。その結果、原価率と客単価は前年同期比で大きく改善した。
(4) コンサルティング事業
売上高は24百万円(前年同期比27.6%減)、セグメント損失は9百万円(前年同期は12百万円の損失)となった。飲食店業界におけるHACCP浸透が進んでいない状況下で、顧客の工場新設・増設案件などに対し衛生コンサルティングの提案を行った。空間除菌デバイス「Devirus AC」については、感染症対策に悩む畜産業界への転用施策を推進した。鳥インフルエンザにおいては世界的な流行傾向にあるため、鶏舎内の噴霧として使用する施策で国内大手の鶏舎に導入を行った。今後はコンサルティング事業として再生エネルギー事業の参入等、事業の取捨選択を行い利益創出に努めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
《AS》
提供:フィスコ