明日の株式相場に向けて=「日米の中銀イベント」は嵐を呼ぶか
きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比57円高の3万8525円と続伸。早いものできょうから実質8月相場入りとなり、夏相場も後半戦に突入した。きょうの朝方はリスク回避ムードが蔓延していたが、後場に入って外国為替市場で急速にドルが買い戻され円安方向に押し戻されたことを受け、225先物を絡めたショート筋の買い戻しが入り流れが変わった。ただし、TOPIXはマイナス圏で引けている。
30~31日の日程で行われる日銀金融政策決定会合とFOMCという2大イベントの結果を、固唾を飲んで見守るという時間軸で気勢を上げろというのも無理な話だが、ひとつ気になる点としては売りと買いの需給バランスである。ビッグイベント前の持ち高調整による下げは、既に十分過ぎるほどに全体相場に反映された。一方、下げたところで空売りの手仕舞いがあれば、もう少し直近の日経平均やTOPIXに浮揚力が働いてもいいはずだが、あまり具現化していない。この状況は、そもそも空売りが大きく載っていないという実態が推察され、日銀の金融政策決定会合がたとえ無風で通過しても、買い戻しによる目の覚めるような上昇転換は起こりにくいという見方もある。
現状で市場コンセンサスとして、まず国債買い入れ額については年6兆円規模から2~3年で半分の3兆円程度に減額するという観測だが、これに株式市場が過敏に反応することはなさそうだ。問題は利上げの有無で、仮に0.15%の引き上げであっても決定すれば、全般相場が波乱含みとなることは避けにくい。一方、今回利上げを行わず、次回以降の決定会合での政策方向性(利上げの可能性)についても具体的言及がない場合、これは明らかに株式市場にはポジティブだ。しかし、もう一つ日銀には選択肢があるという。
3つ目の選択肢は、日銀は前回(6月)の決定会合で、国債買い入れ減額について「今回(7月)の会合で実施を決めること」を決定したのと同様に、今回の会合では追加利上げを見送るけれど、9月19~20日に行われる次回会合では必ずやるという、いわば「利上げ実施宣言」を行うケース。利上げが時間の問題とすれば、どこかでアクションを起こさなければならないが、石橋を叩いて渡る植田日銀総裁のイメージにも見合うのが3つ目の選択肢で、この場合株式市場はどういった反応をみせるのか現状では予測がつかない。
きょうの銀行株が冴えなかったのは、アドバルーンが上がらず日銀の利上げ見送り観測が強まったことが背景にあるが、仮に利上げ実施宣言か、もしくはそれに近い内容であったら銀行株には追い風が再び吹く。半導体関連については日銀の政策というよりは、米半導体株の動向に左右される部分が大きいものの、銀行や保険株は日銀のスタンス次第で株価の方向性が決まるといっても過言ではない。
FOMCの方は今回の会合では政策変更なしでほぼ100%織り込み済み。問題は次回9月17~18日の会合でFRBが利下げを決めるかどうかだが、これは既に実施される可能性が高いという見方が支配的だ。であれば、今回のFOMCは何がポイントかといえば、それは年内の利下げの回数について、パウエルFRB議長が何かしらの“ヒント”を出すかどうかである。最大3回、つまり9月・11月・12月の3連チャンを見込む向きもいるが、これはさすがに示唆することはあり得ないとしても、データ次第で複数回の可能性があるかどうかをパウエル氏が示せば米国株市場には福音となる。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の結果発表と植田日銀総裁の記者会見に耳目が集まる。また、7月展望リポートも開示される。朝方取り引き開始前には6月の鉱工業生産速報値、6月の商業動態統計が発表され、午後取引時間中には6月の建機出荷、6月の自動車輸出実績、6月の住宅着工統計、7月の消費動向調査が開示される。夜間に発表される7月の為替介入実績も注目。なお、この日はIPOが1社予定されており、東証スタンダード市場にFaber Company<220A>が新規上場する。海外では7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、7月の中国非製造業PMI、4~6月期香港GDP、4~6月期台湾GDP、6月の豪小売売上高、7月の独失業率、7月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、ブラジル中銀の政策金利発表、7月のADP全米雇用リポート、4~6月期米雇用コスト指数、7月の米シカゴPMI、6月の米仮契約住宅販売指数など。また、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見に市場の関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
30~31日の日程で行われる日銀金融政策決定会合とFOMCという2大イベントの結果を、固唾を飲んで見守るという時間軸で気勢を上げろというのも無理な話だが、ひとつ気になる点としては売りと買いの需給バランスである。ビッグイベント前の持ち高調整による下げは、既に十分過ぎるほどに全体相場に反映された。一方、下げたところで空売りの手仕舞いがあれば、もう少し直近の日経平均やTOPIXに浮揚力が働いてもいいはずだが、あまり具現化していない。この状況は、そもそも空売りが大きく載っていないという実態が推察され、日銀の金融政策決定会合がたとえ無風で通過しても、買い戻しによる目の覚めるような上昇転換は起こりにくいという見方もある。
現状で市場コンセンサスとして、まず国債買い入れ額については年6兆円規模から2~3年で半分の3兆円程度に減額するという観測だが、これに株式市場が過敏に反応することはなさそうだ。問題は利上げの有無で、仮に0.15%の引き上げであっても決定すれば、全般相場が波乱含みとなることは避けにくい。一方、今回利上げを行わず、次回以降の決定会合での政策方向性(利上げの可能性)についても具体的言及がない場合、これは明らかに株式市場にはポジティブだ。しかし、もう一つ日銀には選択肢があるという。
3つ目の選択肢は、日銀は前回(6月)の決定会合で、国債買い入れ減額について「今回(7月)の会合で実施を決めること」を決定したのと同様に、今回の会合では追加利上げを見送るけれど、9月19~20日に行われる次回会合では必ずやるという、いわば「利上げ実施宣言」を行うケース。利上げが時間の問題とすれば、どこかでアクションを起こさなければならないが、石橋を叩いて渡る植田日銀総裁のイメージにも見合うのが3つ目の選択肢で、この場合株式市場はどういった反応をみせるのか現状では予測がつかない。
きょうの銀行株が冴えなかったのは、アドバルーンが上がらず日銀の利上げ見送り観測が強まったことが背景にあるが、仮に利上げ実施宣言か、もしくはそれに近い内容であったら銀行株には追い風が再び吹く。半導体関連については日銀の政策というよりは、米半導体株の動向に左右される部分が大きいものの、銀行や保険株は日銀のスタンス次第で株価の方向性が決まるといっても過言ではない。
FOMCの方は今回の会合では政策変更なしでほぼ100%織り込み済み。問題は次回9月17~18日の会合でFRBが利下げを決めるかどうかだが、これは既に実施される可能性が高いという見方が支配的だ。であれば、今回のFOMCは何がポイントかといえば、それは年内の利下げの回数について、パウエルFRB議長が何かしらの“ヒント”を出すかどうかである。最大3回、つまり9月・11月・12月の3連チャンを見込む向きもいるが、これはさすがに示唆することはあり得ないとしても、データ次第で複数回の可能性があるかどうかをパウエル氏が示せば米国株市場には福音となる。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の結果発表と植田日銀総裁の記者会見に耳目が集まる。また、7月展望リポートも開示される。朝方取り引き開始前には6月の鉱工業生産速報値、6月の商業動態統計が発表され、午後取引時間中には6月の建機出荷、6月の自動車輸出実績、6月の住宅着工統計、7月の消費動向調査が開示される。夜間に発表される7月の為替介入実績も注目。なお、この日はIPOが1社予定されており、東証スタンダード市場にFaber Company<220A>が新規上場する。海外では7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、7月の中国非製造業PMI、4~6月期香港GDP、4~6月期台湾GDP、6月の豪小売売上高、7月の独失業率、7月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、ブラジル中銀の政策金利発表、7月のADP全米雇用リポート、4~6月期米雇用コスト指数、7月の米シカゴPMI、6月の米仮契約住宅販売指数など。また、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見に市場の関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS