田部井美彦氏【日経平均は最高値圏を邁進するか、夏相場の行方は】 <相場観特集>
―米国はトランプトレード突入も、高値警戒感も根強い―
3連休明けとなった16日の東京株式市場で日経平均株価は反発。15日のNYダウが約2ヵ月ぶりに最高値を更新したことが追い風となった。特に、米国ではトランプ前大統領に対する銃撃事件が発生したことで、同氏の支持率が上がり米大統領選に勝利するとの観測が浮上。株価も上昇を続ける「トランプトレード」への期待が強まった。東京市場も日経平均株価は最高値圏で強含んでいるが、夏相場の行方はどうなるのか。内藤証券の田部井美彦氏に聞いた。
●「8月上旬にかけ4万2500円前後の最高値に上昇も」
田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)
トランプ前大統領の銃撃事件の発生で同氏の支持率が上がり、大きな情勢の変化がなければ11月の米大統領選は、「ほぼトラ(ほぼトランプ氏の勝利で決まり)」の様相も呈し始めている。ただ当面の相場は、基本的には各種イベントなどスケジュールを注視する展開となることが予想される。
米国では4~6月期の決算発表が本格化しているが、足もとの景況感や受注の伸びが評価される格好で半導体関連株などを中心に堅調な相場が続くことが期待できる。半導体業界を取り巻く環境は、2024年後半からは需要も好調で売り上げも伸びる状況となりそうだ。
東京市場では、日経平均株価は前週末12日に1000円超の下落を演じたが、逆に買いやすくなったとも言え、堅調な値動きが期待できそうだ。6月下旬以降、日経平均株価は最高値更新へ急上昇したが、この背景には「米国の利下げ期待が膨らみ、7月の利下げもあり得る状況となったこと」「日本では一方的な円安に歯止めがかかり、物価上昇懸念が後退し景況感の改善が期待できること」などが挙げられるだろう。今後、8月上旬にかけ日経平均株価は11日につけたザラ場ベースの最高値(4万2426円)の更新も期待できるとみている。ただ、その後は調整局面に入ると予想している。こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは4万1000~4万2500円前後を見込んでいる。
個別銘柄では、半導体関連で栗田工業 <6370> [東証P]やレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]などに注目している。また、スマートフォンやパソコンにAIを搭載する流れが強まることで、村田製作所 <6981> [東証P]やイビデン <4062> [東証P]といった電子部品株も注目されそうだ。更に三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]や三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]など銀行株、三菱商事 <8058> [東証P]や三井物産 <8031> [東証P]など商社株にも投資妙味が膨らみそうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。
株探ニュース