貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
株価15分ディレイ → リアルタイムに変更

3407 旭化成

東証P
1,094.5円
前日比
+2.5
+0.23%
PTS
1,105.3円
22:34 12/04
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.8 0.86 3.29 6.49
時価総額 15,257億円
比較される銘柄
三菱ケミG, 
クラレ, 
三井化学

銘柄ニュース

戻る
 

テノックス Research Memo(2):杭工事と地盤改良工事の2つの工法を有する基礎工事のパイオニア


■会社概要

1. 会社概要
テノックス<1905>は、基礎工事に特化した建設事業及び建設資材の販売を行っている。また、子会社で海外建設事業や土木建築コンサルティング全般等事業も展開している。主力の建設事業では、戸建て住宅やマンション、学校、病院、商業施設、物流施設、工場、データセンターなど中低層建築物や、道路・鉄道の橋梁や盛土、上下水道施設、土留めなどの土木構造物を建設する際の杭工事や地盤改良工事といった基礎工事を請け負っている。杭工事と地盤改良工事の2つの工法を有する企業は極めて少なく、様々な地盤に対応する施工技術力と豊富なラインアップは同社の大きな強みと言える。基礎工事は施工への信頼が大きな前提となる。この業界でパイオニアとして専業を貫く同社は、長年培った経験やノウハウによって、中低層建築物向けに業界で広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法、施工品質を高める施工管理システムを開発するなど国内トップクラスの施工技術力を有しており、「テノックスブランド」として定評を得ている。こうした同社の技術力は高い信頼につながっている。


近年はM&Aや提携などを通じて事業領域を拡大
2. 沿革
同社は1970年に創業者の安田善次郎(やすだぜんじろう)氏によって設立され、旭化成工業(株)(現 旭化成<3407>)の代理店としてコンクリート杭の販売及び施工を開始した。1977年に既製杭の施工法(中掘り工法)で特許を取得し、1984年には現在も全国各地の地盤改良工事で使われているテノコラム工法の特許を取得した。こうした施工技術を背景に1980年代後半から1990年にかけて営業拠点網を全国に拡げた。1991年に日本証券業協会に株式を店頭登録した後は業容拡大期に入り、1995年にガンテツパイル工法を開発し技術審査証明を取得したほか、ATTコラム工法、TN-X工法、ピュアパイル工法などを開発し、各種認証を取得した。また、同年には(株)山本組を子会社化して(株)テノックス技研に改称したことに加え、1997年には(株)複合技術研究所を設立した。さらに、2015年にベトナムのホーチミン市にTENOX ASIA COMPANY LIMITEDを設立し、2018年にはベトナムでテノコラム工法の技術認証を取得するなど、海外での事業展開も本格化した。

近年はM&Aや提携などを通じて事業領域を拡大しており、創立50周年の2020年に杭引抜き工事などに強みを持つ(株)広島組をM&A、同年コンクリート杭の製造・販売・施工を行う日本ヒューム<5262>、2021年に同じくコンクリート杭メーカーで二酸化炭素固定化技術を持つ日本コンクリート工業<5269>と業務資本提携をした。2022年には静岡県を基盤に基礎工事を展開する大三島物産(株)を子会社化している。このようにM&Aや連携を進める一方で、新たな技術の開発も推進している。2024年3月末時点では、国内営業拠点として北海道から九州まで6営業所、3出張所を擁し、ほかに東京機材センター・試験研究室、関連子会社5社(うちベトナム1社)を持つ。ちなみに、社名の「TENOX」は、安田善次郎氏を慕って集まった設立当初の10名の青年が雄牛のように力強くまい進することを願い、10名の「TEN」と雄牛の「OX」を結び付けて名付けられた。


施工への信頼は基礎工事の大前提
3. 基礎工事とは
基礎工事とは、建築・土木構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える工事のことである。構造物は安定した地盤に直接建設するのが良いとされるが、軟らかい地盤の場合はその下方にある硬い地盤(支持層)で支えなければならず、「地盤と建物の条件に適した土台づくり=基礎工事」が必要とされる。日本は地震が多いうえ、人口の大半が河川下流の土砂が堆積した平野に集中しているため、基礎工事は特に重要視される。基礎工事は主に、支持層が浅い場合の直接基礎と支持層が深い場合の杭基礎に分けられる。そのほかにも軟弱地盤上での浮き基礎や液状化対策を兼用した基礎など、地盤の条件によって様々な工法がある。

このうち直接基礎は、支持層深度が1m以内と非常に浅い場合(または建築物が非常に軽い場合)に、基礎を地面に直接建てる工法である。直接基礎には地盤改良を併用する場合も含まれ、支持層深度が1?2mとやや浅い浅層改良と、2?10m程度のやや深い深層混合改良があり、いずれも原地盤に改良材などを混ぜ合わせながら硬い地盤に変えていく工法である。地盤改良は、基礎工事のみならず山留めや土壌汚染対策などにも採用される。

杭基礎は、支持層深度がおおむね10mより深い場合に用いられる工法である。杭工事は建築物の支え方で、杭の先端を硬い支持層に到達させて支える支持杭と、杭周面の地盤との摩擦力で支える摩擦杭に分けられる。また使用する基礎杭は、工場で製造され均一性や施工の容易さに特長のある既製杭と、工事現場で製造され杭径の大きさなどの調整が利きやすい場所打ち杭に分けられる。場所打ち杭は、高層ビルなど重い構造物や既製杭での施工が難しい特殊な地盤などに用いられる。既製杭は材料によって、靭性(大地震にねばれるしなやかさ)が高い鋼管杭と、プレストレスをかけた超高強度コンクリートにより高い支持力が得られるコンクリート杭に分けられる。鋼管杭は加工しやすいことから、鋼管の先端に羽根を取り付け支持力を高める工夫や、セメントと鋼管の長所を兼ね備えたハイブリッドな合成杭への利用なども可能である。

基礎工事の対象は、様々な地盤に建つ戸建て住宅から高層ビル、橋梁まで大小多岐にわたる建築・土木構造物となるため、基礎工事を行う企業も中小企業から大企業まで様々である。また、基礎工事は地中が目視できない分、施工への信頼が重要な前提条件となる。近年は大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、基礎工事への注目が増している。既述のとおり、杭工事と地盤改良工事の2つの工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな強みとなっている。また、施工品質を高めるため、施工管理システムの開発などを行っている点も特長的である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《HN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均