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3392 デリカフHD

東証S
501円
前日比
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
19.0 0.97 2.40
時価総額 82.0億円
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デリカフHD Research Memo(5):事業構造の変革とサプライチェーン構造の改革で収益性向上を目指す(1)


■第五次中期経営計画

4. 事業戦略
デリカフーズホールディングス<3392>は売上高1,000億円企業の実現に向けて、「事業構造の変革」と調達から販売までの「サプライチェーン構造の改革」に取り組み、またそれらを支える「R&D部門の強化」を図っていくことを基本戦略として打ち出した。

(1) 各種ポートフォリオの変革
経営基盤の拡充や収益性向上を目的として、事業ポートフォリオ、顧客ポートフォリオ、商品ポートフォリオをそれぞれ見直し、事業構造を変革していく。

a) 事業ポートフォリオ
同社の事業は従来、青果物事業(デリカフーズ(株)、デリカフーズ長崎(株)、楽彩(株))が主体でその補完として物流事業(エフエスロジスティックス(株))や研究開発・分析事業(デザイナーフーズ(株))を各子会社で展開してきたが、今後はそれぞれの子会社が独自の事業を展開できるように変革を進めていく。デリカフーズ長崎や楽彩ではミールキット事業やBtoC事業の育成に取り組み、エフエスロジスティックスではグループ外企業からの受託物流サービスを拡大していく。また、デザイナーフーズでは国内随一の野菜の栄養価データベースを活用したコンサルティングサービスや新商品の開発を強化していく。

特に、物流事業においては「物流2024年問題」によりトラックドライバー不足による運賃の値上げが進むなかで、採用力で競争優位性を発揮している同社にとっては、事業を拡大する好機になると見ている。エフエスロジスティックスは物流コスト上昇や物流サプライチェーンリスクを軽減するために2014年に設立された子会社で、事業を開始してからグループの青果物流の一端を担う子会社として段階的にサービスエリアを拡大してきた。2024年3月期末の保有車両台数は133台、従業員数は212人の規模で、事業拠点としては東京(本社)、西東京、神奈川、名古屋、大阪、福岡の6拠点を開設し、拠点間の幹線便や顧客先へのラストワンマイルのチルド配送を行っている。現在は、グループの物流のうち4割強を同社で担っていることになる。同社では4割強という水準がおおむね適正水準にあると考えているようで、今後は外部顧客向けの受託物流サービスを育成し、物流事業の収益拡大を目指す。外部顧客向けサービスとしては、ラストワンマイルのトラックの空きスペースを利用し、野菜以外の商品を一般的な運賃よりも安く顧客に配送する「平日おねうち便」や「資材おたすけ便」、拠点間の幹線便トラックを活用する「幹線あいのり便」などのサービスを行っている。

2024年3月期の物流事業の売上高は前期比13.9%増の4,303百万円、セグメント利益(経常利益)は同130.2%増の87百万円と過去最高を更新した。売上高については85.4%がグループ内取引で占められるが、外部顧客向け売上高も顧客数増加によって年々拡大しており、2024年3月期は同29.0%増の630百万円まで成長した。2020年3月期は63百万円だったので、4年間で10倍に成長したことになる。既存車両の空きを活用した外部顧客向け売上については追加コストがほとんどかからないため、売上増が利益増に直結する構造となっており、昨今の燃料費高騰や人件費上昇の影響を同サービスの拡大で吸収する格好となっている。

今後3年間の計画としては保有車両台数を30台以上増やすほか、顧客数も現状の15~20社からさらに拡大し、売上構成比で2024年3月期の8%から10%に引き上げていく。年平均成長率は12%となる見通しだ。外部顧客向けに関してはチルド物流に対応したトラックのため食品業界向けが中心になると見られるが、最近では午前中に配送を完了したトラックを使って、午後にレンタルサイクルの回収や外食メニューの回収を行う事例も出てきている。また、業務提携先企業との物流インフラの共有化も進めており、物流問題が深刻化するなかで成長余地は大きいと弊社では見ている。なお、トラックドライバーの採用については業界の中でも処遇条件が良いことから、問題なく採用できているようだ。

またBtoC事業についても、売上構成比を2024年3月期の4%から2027年3月期は5%に引き上げる。ミールキット事業の拡大に加えて、2024年4月に食品事業部を新設し、付加価値商品の開発販売を強化していく。契約農家から原材料を仕入れ、製造は外部企業に委託して商品販売していくことになる。BtoCだけでなく外食企業への販売を行う予定だ。

b) 顧客ポートフォリオの変革
顧客ポートフォリオについては、外食業界向けの売上構成比が2024年3月期の約75%から2027年3月期は約72%に低下し、中食・給食・小売業界向けが21%から22%に、BtoC向けが4%から5%に上昇する計画となっている。BtoC事業については楽彩ブランドにて展開しているミールキットや宅配用野菜BOXのほか、他社ブランドでのOEM販売を拡大していくことで2ケタ成長を目指す。国内のミールキット市場は年間1,600億円の規模があり、今後も生活スタイルの変化や高齢化社会の進展もあって安定成長が見込まれる市場だけに、今後も注力する方針だ。なお、2025年3月期より業態別売上高の区分を実際のビジネス形態に合わせて見直しており、2024年3月期実績についても新区分の構成比や名称で表示している。

同社では人流の変化や経済動向による変化の影響を受け難い顧客ポートフォリオへの変革を進めていくとともに、旺盛な需要に対して将来性や収益性、販売実績などを基に顧客の選択と集中を行い、取引口座数の適正化を図っていく。今回の中期経営計画においては、収益性向上施策の1つとして位置付けられる。

c) 商品ポートフォリオの変革
将来性・収益性・生産性を基に商品ポートフォリオの見直しを推進していく。より加工度の高い付加価値商品(加工野菜、加熱・冷凍野菜、ミールキット、スープ・調味液)の開発販売を強化していくことで、売上規模の拡大だけでなく収益性向上も目指す。冷凍野菜については名古屋事業所で製造ラインを構築しているほか、業務提携先で豊富な販売実績を持つエア・ウォーターからの仕入販売も行っていく予定だ。また、BtoC事業に加えて新規市場として海外向けの販路も長期保存が可能な冷凍商品を使って開拓していく。2023年後半にタイ向けに冷凍さつまいもを初めて出荷し一定の評価を受けており、今後も商品開発を強化する方針としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

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