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5133 テリロジHD

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テリロジーHD Research Memo(8):2024年3月期は大幅増益で着地、大幅増収効果で円安影響を吸収


■テリロジーホールディングス<5133>の業績動向

1. 2024年3月期連結業績の概要
2024年3月期の連結業績は売上高が前期比21.2%増の6,881百万円、営業利益が同136.0%増の272百万円、経常利益が同211.8%増の396百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同305.8%増の188百万円だった。期初計画(2023年5月15日付公表値、売上高6,345百万円、営業利益240百万円、経常利益240百万円、親会社株主に帰属する当期純利益168百万円)を上回る大幅増収増益で着地した。なお受注高は同32.5%増の7,469百万円、期末受注残高は同31.8%増の2,439百万円となった。

売上面はセキュリティ部門とソリューションサービス部門が需要拡大、営業強化、一部製品の価格改定効果などで大幅増収だった。利益面は、為替の円安進行(平均為替レートは前期1米ドル=135.48円、当期144.57円で9.09円のドル高・円安)によって仕入コストが増加したほか、人的資本投資に伴って人件費などが増加したが、大幅増収効果で吸収した。売上総利益は前期比15.0%増加したが、売上総利益率は同1.8ポイント低下して33.3%となった。販管費は同7.5%増加したが、販管費比率は同3.7ポイント低下して29.4%となった。経常利益については為替予約によって為替差益が同78百万円増加(前期は5百万円、当期は83百万円)、及びデリバティブ評価損益が32百万円改善(前期は評価損2百万円、当期は評価益29百万円)したことが寄与した。この結果、営業利益率は同2.0ポイント上昇して4.0%、経常利益率は同3.6ポイント上昇して5.8%となった。なお特別損失に投資有価証券評価損44百万円を計上した。


セキュリティ部門とソリューションサービス部門が高成長
2. 部門別の動向
部門別の売上高(2023年3月期は組替後の数値)は、ネットワーク部門が前期比0.3%増の1,560百万円、セキュリティ部門が同39.5%増の3,005百万円、ソリューションサービス部門が同17.8%増の2,314百万円だった。

ネットワーク部門の売上高は横ばいだった。主力のIPアドレス管理サーバ製品「Infoblox」は、新モデルへのリプレース需要が一巡したものの、DNSセキュリティソリューションなどの提案活動に注力しておおむね堅調に推移した。DDoS攻撃対策ソリューション「Radware」は、世界中でサイバー攻撃が増加する状況を追い風に順調に推移した。また、安心・安全なネットワーク環境構築に向けて、クラウド型無線LANシステム案件も堅調に推移した。

セキュリティ部門はセキュリティニーズの高まりを背景に大幅増収となり、高成長を継続した。ネット上で発信・拡散される偽情報による世論操作などのリスクが高まっていることを背景に、CTIセキュリティサービスは、官公庁から大型案件を受注するなど堅調だった。電力系などの重要インフラや工場・ビル管理などの産業制御システム(OT/IoTシステム)のセキュリティ対策に強みを持つ「Nozomi Networks」は、国内電力会社や国内大手製造業などからの受注が増加して大幅増収だった。このほか、ネットワーク不正侵入防御セキュリティ製品「TippingPoint」や、ログ分析プラットフォーム「SumoLogic」も大幅に伸長した。大手金融機関のインターネットバンキングの不正利用対策としてワンタイムパスワードを採用した認証基盤システムを追加受注した。なお、サイバー脅威ハンディングソリューション「THXシリーズ」は、国内製造業向けの欧州連合(EU)一般データ保護規則「GDPR」対策長期保管案件に採用されて納品完了した。

ソリューションサービス部門は、同社グループ開発製品の伸長などで大幅増収となり、高成長を継続した。RPAツール「EzAvater」は、誰でも使えるという特徴と認知度の高まりにより、業界・業種・規模を問わず採用が拡大基調となっている。また、新たにリリースした同時接続フローティングロボットも導入台数増加に貢献した。多言語リアルタイム映像通訳サービス「みえる通訳」は、インバウンド需要の順調な回復により、公共交通機関や小売店に加えて人手不足が深刻な宿泊施設での導入も増加した。また、多言語コンタクトセンターを同社グループで運営していることを強みとして、会議通訳、電話通訳、翻訳等での利用や、BPO案件の引き合いも増加している。クラウド管理型マネージドVPNサービスは、クラウドPBX事業者などからの引き合いが増加した。IGLOOOが展開する訪日インバウンド関連のプロモーションは、インバウンドの増加に伴って大口案件の引き合い・受注が増加している。クレシードのシステム開発は、カスタマーサポート対応案件や基幹サーバリプレース案件など受注が好調に推移した。


財務面の健全性を維持
3. 財務の状況
財務面で見ると、2024年3月期末の資産合計は前期末比754百万円増加して6,898百万円となった。現金及び預金が432百万円減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が364百万円、前渡金が190百万円、のれんが273百万円、投資有価証券が223百万円それぞれ増加した。負債合計は同635百万円増加して4,334百万円となった。買掛金が144百万円、前受金が345百万円、未払法人税等が137百万円それぞれ増加した。有利子負債残高(長短借入金合計)は51百万円減少して369百万円となった。純資産合計は同119百万円増加して2,564百万円となった。主に利益剰余金が175百万円増加した。この結果、自己資本比率は同2.4ポイント低下して36.7%となった。自己資本比率が低下したが特に大きな変動項目は見当たらず、キャッシュ・フローにおいても特に懸念される点は見当たらない。財務面に配慮した規律ある企業価値向上戦略が推進されていると弊社では評価している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《HN》

 提供:フィスコ

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