APAMAN Research Memo(1):次世代基幹システムの本格稼働でDXを加速し、生産性向上を図る
■要約
APAMAN<8889>は、賃貸斡旋で国内最大級の「アパマンショップ」を直営・FCで展開し、賃貸管理・斡旋業務(Platform事業)やFC店から得られるシステム利用料・広告収入等(Technology事業)を収益源としている。賃貸管理や借上社宅、FCから得られるロイヤリティなどストックビジネスが売上総利益の約7割を占める。持分法適用関連会社としてシステムソフト<7527>※1、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン<6085>※2がある。
※1 同社と子会社のApaman Network(株)の出資を合算した出資比率は2024年3月末時点で24.2%。
※2 2021年10月に第三者割当増資をApaman Networkが引き受け、持分法適用関連会社となった。2024年3月末時点の出資比率は23.7%。
1. 2024年9月期第2四半期累計業績の概要
2024年9月期第2四半期累計(2023年10月~2024年3月)の連結業績は、売上高で前年同期比1.7%減の22,497百万円、営業利益で同32.4%減の612百万円となった。売上高は賃貸管理戸数が前年同期比2.7%減の88,246戸と減少したことに加えてサブリース契約比率が低下したこと、自社管理物件の斡旋件数が増加したことにより若干の減収となった。ただ、注力分野である借上社宅事業については提携社数の拡大もあって同43%増と順調に成長している。営業利益は次世代基幹システム(以下、「次世代AOS」)※の稼働開始による減価償却費の増加(138百万円増)や各種キャンペーンの実施、並びに貸倒引当金67百万円を計上したことにより減益となった。なお、同社はCSRの観点からウクライナ人道支援に係る費用や能登半島地震に関連する災害支援費用で合計109百万円を拠出し、特別損失として計上した。
※物件掲載から検索、接客まで1台の端末でこなせる賃貸斡旋システム「Apamanshop Operating System」(2006年開発)の次世代版。
2. 2024年9月期の業績見通し
2024年9月期の業績は、売上高で前期比0.5%増の46,000百万円、営業利益で同2.8%増の2,100百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの進捗率は売上高で48.9%、営業利益で39.2%と低進捗となっているが、第2四半期累計の減益要因となった各種キャンペーン費用の減少や貸倒引当金の影響がなくなること、DX推進による生産性向上で吸収できる見通しだ。なお、「次世代AOS」は前年からテスト稼働を続けてきたが、2024年6月から直営店の一部より導入を開始し、FC店には年末までに全店導入を完了する予定となっている。同システムの本格稼働に伴いDXによる生産性向上がさらに進むと見られ、2025年9月期以降にその効果が顕在化するものと期待される。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、賃貸管理事業における収益向上と管理戸数の獲得、借上社宅事業の拡大に取り組む方針だ。このうち、借上社宅事業については潜在市場が大きく、今後も提携社数を拡大することで年率40%超の成長を目指す。また、新たに店舗等のテナント物件検索サイト「店舗ネットワーク」を運営するTEMPO NETWORK(株)を子会社化した。売上規模はまだ小さく業績への影響は軽微だが、賃貸住宅に加えて店舗等テナント物件の取り組みも強化していくものと見られ、今後の動向が注目される。財務戦略としては保有資産の圧縮とキャッシュ・フロー経営に取り組み、将来的に実質無借金経営を目指す。また、株主還元については安定配当を継続する方針で、2024年9月期の1株当たり配当金も前期と同額の20.0円を予定している。
■Key Points
・2024年9月期第2四半期累計業績は減収減益となるも借上社宅事業は40%超の成長
・2024年9月期業績は期初計画を据え置き、4期連続の増収増益を目指す
・賃貸管理の収益向上と管理戸数の積み上げ、借上社宅事業の拡大による着実な成長と財務基盤強化に取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》
提供:フィスコ