明日の株式相場に向けて=エヌビディア株が暗示する曲がり角
週明け24日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比208円高の3万8804円と反発。前週末の欧州株市場で主要国の株価がほぼ全面安で嫌なムードが漂ったが、米国ではナスダック総合株価指数は安く引けたものの、NYダウが小幅高ながらしぶとくプラス圏で着地、リスクオフの流れを堰き止めた。これで東京市場も深押しのリスクが軽減され、更に為替市場では折からの円安が加速した。足もとの円安は政府・日銀にすれば頭を抱えるところだが、皮肉にも株式市場には依然として強い浮揚効果をもたらしている。特にきょうは先物絡みで円安にリンクさせたシステマチックな買いが観測された。引け際手仕舞い売りが出たとはいえ、「後場は望外の強調展開」(準大手証券ストラテジスト)だった。
しかし、油断はできない。米国ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が十字足を示現し5日移動平均線から下に放れた。このSOX指数と似通ったチャートを形成しているのが、破竹の快進撃を続けてきたエヌビディア<NVDA>である。世界的な 生成AI市場の拡大を背景に、同社がAIサーバー向けに独占供給するGPUが爆発的な需要を捉えていることは確かだが、株価は今見えている風景の先まで織り込んでしまっているのもおそらく事実であろう。
東京市場ではインターネットが本格普及期に突入する初動段階、1999~2000年当時にITバブル相場が形成されたが、弾けたあとの下げ足も早かった。一世を風靡する生成AIも似た要素がないとは言い切れない。エヌビディアの株価は今が天井とはいわないまでも、今期(25年1月期)が曲がり角になる可能性も念頭に置いておきたい。
とはいえ足もとではAI周辺株が強い。きょうはグローバルニッチトップ銘柄のトリケミカル研究所<4369>が大幅高に買われた。同社は先端半導体メモリー向け高誘電材料で抜群の商品競争力を持っている。GPUとセットでパッケージングされる「HBM(広帯域メモリー)向けでも需要を捉えている」(中堅証券アナリスト)という。このほか、直近22日付のトップ特集「好業績で異彩放つグローバルニッチ6銘柄」でも紹介された大同工業<6373>は強力な上昇トレンドを構築中。目先は短期急伸の反動もあり得るが、0.3倍近辺のPBRは長い目で見れば依然安過ぎる水準。このほかニッチトップ企業では、ボトリングシステムの澁谷工業<6340>、製パン機のレオン自動機<6272>。また、航空機逆噴射装置用カスケードでシェア独占の日機装<6376>の押し目にも着目。
一方、ここTDK<6762>の上げ足が際立つが、その株高の原動力となったのが 全固体電池の新素材開発で、エネルギー密度を従来比100倍に高め大容量化を実現させるというもの。全固体など次世代電池関連については、電気自動車(EV)需要の失速が報じられたこともあって最近はテーマ買いの動きが鳴りを潜めていたが、TDK効果でにわかに再脚光を浴びている。関連株で好チャートの銘柄はマークしておきたい。全固体電池の製造工程で必要となる造粒・コーティング装置で関連最右翼のフロイント産業<6312>や、全固体電池を次世代コア事業の一つに位置付ける三櫻工業<6584>などをマーク。
このほか、インフレ環境下で人手不足の問題が多方面で取り沙汰される。その際、採用される側の隙間時間をうまく活用できれば、就労機会が確保しやすくなるのは道理である。そうした現代社会ならではのニーズに着目したビジネスで、スキマバイトサービス(アプリ)を展開するタイミー<215A>が7月26日、東証グロース市場に新規上場する。時流に乗るビジネスモデルで人気化する公算が大きいが、同社株の公開を前に投資マネーの流れにも少なからず影響を及ぼす可能性が高い。関連株としてツナググループ・ホールディングス<6551>が動意含みだ。業績も絶好調で24年9月期は営業利益段階で前期比5割増の6億6200万円予想と連続で過去最高を大幅更新する見通しにある。
あすのスケジュールでは、5月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に20年物国債の入札が予定される。午後には4月の景気動向指数改定値、基調的なインフレ率を捕捉するための指標、5月の全国スーパー売上高、5月の外食売上高などが発表される。海外では、4月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、6月の米消費者信頼感指数などが注目されるほか、米2年物国債の入札が行われる。なお、ボウマンFRB理事の講演やクックFRB理事の講演が予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
しかし、油断はできない。米国ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が十字足を示現し5日移動平均線から下に放れた。このSOX指数と似通ったチャートを形成しているのが、破竹の快進撃を続けてきたエヌビディア<NVDA>である。世界的な 生成AI市場の拡大を背景に、同社がAIサーバー向けに独占供給するGPUが爆発的な需要を捉えていることは確かだが、株価は今見えている風景の先まで織り込んでしまっているのもおそらく事実であろう。
東京市場ではインターネットが本格普及期に突入する初動段階、1999~2000年当時にITバブル相場が形成されたが、弾けたあとの下げ足も早かった。一世を風靡する生成AIも似た要素がないとは言い切れない。エヌビディアの株価は今が天井とはいわないまでも、今期(25年1月期)が曲がり角になる可能性も念頭に置いておきたい。
とはいえ足もとではAI周辺株が強い。きょうはグローバルニッチトップ銘柄のトリケミカル研究所<4369>が大幅高に買われた。同社は先端半導体メモリー向け高誘電材料で抜群の商品競争力を持っている。GPUとセットでパッケージングされる「HBM(広帯域メモリー)向けでも需要を捉えている」(中堅証券アナリスト)という。このほか、直近22日付のトップ特集「好業績で異彩放つグローバルニッチ6銘柄」でも紹介された大同工業<6373>は強力な上昇トレンドを構築中。目先は短期急伸の反動もあり得るが、0.3倍近辺のPBRは長い目で見れば依然安過ぎる水準。このほかニッチトップ企業では、ボトリングシステムの澁谷工業<6340>、製パン機のレオン自動機<6272>。また、航空機逆噴射装置用カスケードでシェア独占の日機装<6376>の押し目にも着目。
一方、ここTDK<6762>の上げ足が際立つが、その株高の原動力となったのが 全固体電池の新素材開発で、エネルギー密度を従来比100倍に高め大容量化を実現させるというもの。全固体など次世代電池関連については、電気自動車(EV)需要の失速が報じられたこともあって最近はテーマ買いの動きが鳴りを潜めていたが、TDK効果でにわかに再脚光を浴びている。関連株で好チャートの銘柄はマークしておきたい。全固体電池の製造工程で必要となる造粒・コーティング装置で関連最右翼のフロイント産業<6312>や、全固体電池を次世代コア事業の一つに位置付ける三櫻工業<6584>などをマーク。
このほか、インフレ環境下で人手不足の問題が多方面で取り沙汰される。その際、採用される側の隙間時間をうまく活用できれば、就労機会が確保しやすくなるのは道理である。そうした現代社会ならではのニーズに着目したビジネスで、スキマバイトサービス(アプリ)を展開するタイミー<215A>が7月26日、東証グロース市場に新規上場する。時流に乗るビジネスモデルで人気化する公算が大きいが、同社株の公開を前に投資マネーの流れにも少なからず影響を及ぼす可能性が高い。関連株としてツナググループ・ホールディングス<6551>が動意含みだ。業績も絶好調で24年9月期は営業利益段階で前期比5割増の6億6200万円予想と連続で過去最高を大幅更新する見通しにある。
あすのスケジュールでは、5月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に20年物国債の入札が予定される。午後には4月の景気動向指数改定値、基調的なインフレ率を捕捉するための指標、5月の全国スーパー売上高、5月の外食売上高などが発表される。海外では、4月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、6月の米消費者信頼感指数などが注目されるほか、米2年物国債の入札が行われる。なお、ボウマンFRB理事の講演やクックFRB理事の講演が予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS