ソフト99 Research Memo(10):中期経営計画は好発進で、高付加価値型の新製品・サービスの創出に注力(2)
■ソフト99コーポレーション<4464>の今後の見通し
(2) 経営数値目標
経営数値目標は、最終年度となる2026年3月期に売上高31,700百万円、営業利益3,780百万円、ROIC8.1%、ROA6.1%、ROE4.9%を掲げている。3年間の年平均成長率は売上高で1.7%、営業利益で5.1%と堅実な成長を見込んでおり、営業利益率は2023年3月期の10.8%から11.9%に引き上げていく。また、ROICやROE、ROAなど資本効率もそれぞれ向上させる計画だ。資本コストは5.5~6.0%を想定しており、ROICについては継続して資本コストを超過することを目指し、ROEについては4.9%と若干資本コストを下回る計画である。将来的には経営効率改善を伴う事業拡大によってROICで18.0%、ROEで8.0%の水準を目指し、「ステークホルダーからの正当な評価」、すなわちPBRで1倍以上の評価を得ることを目標としている。なお、これらはオーガニックの成長による目標値であり、これとは別にM&Aの実施も検討している。規模感としては売上高で40億円、営業利益で4億円程度となる。対象企業としては、海外事業の拡大に向けてシナジーが見込める企業のほか、デジタル活用ソリューション分野など既存事業とシナジーが見込める企業であれば幅広く検討する方針である。
事業セグメント別の計画と進捗状況は以下のとおり。
a) ファインケミカル事業
3年間の年平均成長率は売上高で2.0%増、営業利益で14.7%増を見込んでいたが、海外向け仕入商品の販売終了による影響が2025年3月期より出るため、売上高についてはややハードルが高くなったと見られる。また、営業利益についても初年度が計画を下振れたため、2025年3月期にどの程度、キャッチアップできるかがカギを握る。国内ではサービスによる付加価値提供の取り組みを強化しつつ、業務用コーティング施策と連動した製品開発を推進する。また、デジタル活用ソリューションの取り組みに加えて、新たな市場に対して同社製品が届いていない領域への進出を図る。
海外事業では、SNSを積極活用したプロモーションや、海外専売品のラインナップ強化に取り組むほか、未開拓地域であったアフリカや米国へ進出するため、現地生産も視野に入れた化学規制に対する調査や販路を確立していく。家庭用品販売ではメガネケア製品に次ぐ新たな柱を育成すべく、スポーツ用品や自転車等へと領域の拡大を図る。TPMS事業では既存顧客に対するメンテナンスサービスの強化に加えて、TPMSで得られる空気圧データを活用した運転管理サービスの推進により、提供価値の向上に取り組んでいく。
b) ポーラスマテリアル事業
3年間の年平均成長率は売上高で2.5%増、営業利益で7.3%減となる。設備投資と人員の増強によるコストアップを減益要因として想定しているが、既に初年度で営業利益が目標を超過しており、2025年3月期以降も半導体市場向けのけん引が予想されることから、中期目標は計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。また、アイオン及びアズテックのシナジーにより、医療分野の販売拡大にも注力しており今後の展開が注目される。生活資材分野に関しては、Webを活用したアプローチによる販売拡大と、新商品の開発を推進する。
c) サービス・不動産関連
3年間の年平均成長率は売上高で0.1%減、営業利益で9.9%減を見込む。2025年の大阪万博開催により温浴施設の来場者数増加が見込まれ、売上高はおおむね計画どおりに進捗するものと予想されるが、利益ベースでは飲食店モール開業に伴う減価償却費増やオープン当初のプロモーション費用等の状況により変動すると思われる。
自動車整備・鈑金事業では、美装向けサービスを強化すると同時に、エンドユーザー向けのサービス推進に取り組んでいく。自動車教習所事業では高齢者講習ビジネスやドローンライセンスの強化に加えて安全運転管理システムの提供に取り組み、売上増を目指す。生活用品企画販売事業では、生協向けの取引先や提案数の拡大に加えて、自社開発や生協以外のネット販売を強化する。
d) 設備投資計画
設備投資は3年間で50億円を計画しており、このうち2024年3月期で11億円を実施し、2025年3月期は18億円を計画している。事業セグメント別では、ファインケミカル事業が3年間で18億円を計画しており、主に新基幹システムの投資4億円、海外工場への投資約2億円となる。ポーラスマテリアル事業は20.5億円を計画しており、新工場への設備投資で6億円、生産設備更新・増強投資で12億円となる。サービス・不動産関連事業は11.5億円を計画しており、温浴施設で6.8億円(飲食店モール再開発を含む)のほか、既存の不動産施設の修繕・更新投資となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》
提供:フィスコ