イチネンHD Research Memo(2):自動車リース関連を主力とした7事業で構成(1)
■事業概要
1. 主な事業内容
イチネンホールディングス<9619>の事業セグメントは、自動車リース関連、ケミカル、パーキング、機械工具販売、合成樹脂、農業関連(2024年3月期から新セグメントとして切り出し)、その他に分けられている。各セグメントの2024年3月期の売上高は、自動車リース関連58,673百万円(内部売上高消去前の構成比42.1%)、ケミカル11,918百万円(同8.6%)、パーキング7,497百万円(同5.4%)、機械工具販売36,189百万円(同26.0%)、合成樹脂17,330百万円(同12.4%)、農業関連5,673百万円(同4.1%)、その他2,075百万円(同1.4%)となっている。
(1) 自動車リース関連事業
各サブセグメントの詳細売上高は開示されていないが、部門売上高に占める大体の比率は、オートリースが約74%、メンテナンスが約21%、燃料販売が約4%、残りがその他となっている。
a) オートリース
トヨタレンタリースやオリックス<8591>などと同様に、自動車のリースを行う事業である。競合は多いが、同社の特色は比較的大型車(4トン以上)の取り扱いが少ないことである。またメンテナンス部門を有していることから、メンテナンス付きで受注する場合も多い。リースは一度受注すると数年間継続することから、比較的安定した部門である。
b) 自動車メンテナンス受託
全国約8,800の自動車整備工場と提携し、他のリース会社からのメンテナンス契約を受託するもの。この部門に計上される売上高は他社から受託したものだけで、自社リースに付随したメンテナンス分はオートリース売上高に含まれる。また「フォークリフトメンテナンス」などの独自サービスも行っている。今後の課題として、次世代自動車(HV、EVなど)の整備ネットワークも進めている。
c) 車両販売
リース満了車両や法人車両などを買い取り、中古車販売を行う事業である。販売について現状は国内オートオークションでの売却が中心となっている。今後は、収益増強のため2016年10月に設立したICHINEN AUTOS (N.Z.) LIMITEDを中心に販売方法の多様化を図っていく。その一環として、2022年12月にはICHINEN AUTOS (N.Z.)が、オークランド市で輸入車両検査業務(コンプライアンスセンター業務)を行っているEAGLE AUTO SERVICES JAPAN LIMITEDを子会社化した。
d) 燃料販売
石油元売各社から発行されるガソリンスタンド(GS)用の給油カードを主に販売する事業である。車両1台に対して1枚のカードが発行されるが、販売先は必ずしも同社のリース先とは限らない。ガソリンの販売価格は同社が決定し、全国一律価格で提供される。顧客にとっては、全国の支店や事業所等において同一価格で利用できるうえ一括で支払いが可能となるため、業務効率の改善につながるメリットがある。なお同社の売上高として計上されているのは、末端販売金額から仕入金額を差引いた分である。
e) 車体修理管理サービス
主に鈑金修理の斡旋を行う事業である。損害保険会社出身のアジャスター(損害査定士)と呼ばれる社員が、顧客からの修理依頼に基づいて適正価格の見積もりを行い、全国各地の鈑金工場と交渉を行う。引取手数料無料・代車の無料手配・修理箇所の永久保証などのサービスを付加し他社との差別化を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
《HN》
提供:フィスコ