【村瀬智一が斬る!深層マーケット】日米金利動向を睨んでの展開に
日米金利動向を睨んでの展開に
●日米金利の動向に振られる状況が目立つ
今週の日経平均株価は、日米金利の動向に振られる状況が目立った。米国では国債入札で低調な結果が続いたほか、米連邦準備理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)を受けて、米長期金利が5月上旬以来の高水準を付けた。国内では日銀の金融政策正常化を巡る思惑が燻るなか、10年債利回りが約13年ぶりに1.10%に上昇。日経平均株価は5月30日に3日続落し、一時3万7617円まで急落する場面もみられた。週末31日は日米長期金利の上昇が一服するなかで反発し、後場中盤辺りからリバウンド基調を強め前日の急落分をほぼ埋めた。ただし、25日移動平均線水準までの戻りであり、自律反発の域は脱していないと考えられる。
米国では31日に4月の個人消費支出(PCE)の発表を控えているため、結果を受けた金利の動向が注目されよう。また、来週は5月のISM製造業・非製造業景気指数のほか、雇用統計の発表を控えており、それぞれの結果を受けた市場反応を見極めながらの相場展開が予想される。その翌週には米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀の金融政策決定会合を控えていることから、積極的には動きづらいだろう。もっとも、持ち高調整に伴う買い戻しのほか、アク抜け狙いの押し目買いが入る可能性もあり、全体としては底堅さが意識されそうだ。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆トーエネック <1946> [東証P]
中部電力グループの総合設備企業。5月30日引け後、9月30日を基準日とする1対5の株式分割の実施を発表。株価は流動性向上への期待から31日に14%を超す急騰を演じ、上値を抑えていた25日移動平均線に続き、75日線を突破してきており、3月27日に付けた年初来高値6200円を意識したトレンド形成が期待される。また、AI(人工知能)の普及による電力需給の逼迫が警戒されるなか、AI関連の一角として電力設備関連銘柄への関心も高まっている。
◆カプコン <9697> [東証P]
「バイオハザード」など有力コンテンツを擁するエンタテインメント企業。31日に25年に発売予定のシリーズ最新作「モンスターハンターワイルズ」の最新トレイラーを公開した。同作など主力タイトルの新作発売が今後の期待材料になるだろう。株価は5月上旬に上値を抑えてきた25日線を突破し、週末31日には75日線も上放れてきた。23年7月に付けた上場来高値の3289円を意識したトレンド形成に期待したい。
◆大崎電気工業 <6644> [東証P]
電力量計で国内首位。 スマートメーターは現行のメーターの検定有効期間が10年であるため、24年度から順次新たなメーターへの交換が始まる予定。経済産業省の次世代スマートメーター制度検討会では、再生可能エネルギーの導入拡大や災害へのレジリエンスの強化を進める上で電力DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の重要性を指摘し、次世代スマートメーターの貢献に期待を示している。新型への交換需要の今後の業績寄与が期待される。株価は5月23日に付けた年初来安値580円から切り返し、窓を空けて上昇。200日線を上抜き、4月の戻り高値734円と2月の年初来高値780円を奪回する展開に期待。
◆ジャストシステム <4686> [東証P]
学習・授業支援ソフト「ジャストスマイル」などのソフトウェア開発企業。5月14日に決算を発表。2025年3月期業績見通しは配当(年20円)を除いて開示しなかった(同社は期初予想については12年3月期以降、開示していない)。24年3月期の連結営業利益は前の期比10.5%減の170億円で着地。法人向け事業は堅調だったものの、個人向け事業の不振が響いた。25年3月期の配当計画は20円と前期と同額だが、業績復調による連続増配に期待したい。株価は2500円水準での底打ちから25日線を抜き、200日線突破が視野に入ってきた。
◆村田製作所 <6981> [東証P]
大手電子部品企業。ヨーロッパ最大のタイヤメーカーであるミシュランとタイヤ内蔵用 RFIDタグおよびRFIDタグのタイヤ組み込みに関するライセンス契約を締結した。これによりタイヤのオペレーション効率化、最適化に欠かせない、タイヤ内蔵用RFIDタグを全世界のタイヤメーカーへ提供することが可能になる。同社では25年1月以降の量産出荷を予定している。株価は足もとのリバウンドで上値抵抗ラインの75日線を突破。25日、75日線のゴールデンクロスが接近しており、上向きに転じた25日線に沿ったリバウンドが期待される。
(2024年5月31日 記)
株探ニュース