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8905 イオンモール

東証P
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TKP Research Memo(7):2025年2月期は需要回復継続による新規出店・既存施設増床等で大幅な増収増益に


■業績見通し

1. 2025年2月期の連結業績予想
2025年2月期の連結業績予想についてティーケーピー<3479>は、売上高を前期比23.1%増の45,000百万円、営業利益を同59.5%増の7,350百万円、経常利益を同66.0%増の7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)を同26.9%減の5,100百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。なお、最終利益だけが減益となるのは、前期における一過性要因(税効果会計の影響)のはく落によるものである。

売上高は、貸会議室及び懇親会、宿泊需要が総じて回復・拡大基調にあるなかで、引き続き新規出店・既存施設の増床推進や懇親会需要への対応、インバウンド需要の取り込みなどが増収に寄与する。特に、「料飲」や付加価値の高いイベントプロデュースの強化等を通じた「坪当たり売上高」の伸びが収益の底上げをけん引する想定のようだ。

損益面でも、事業拡大に向けた体制づくりへの先行費用(新規出店や採用活動、人員増など)が想定されるものの、増収や収益力の強化により大幅な増益を実現し、営業利益率も16.3%(前期は12.6%)に大きく改善する。特に、懇親会需要の拡大とともに外注費負担が重荷となっていた「料飲」(ケータリング事業)についても、内製化の本格稼働により損益改善に大きく貢献する見込みだ。

2. 事業戦略方針
2025年2月期(中期経営計画2年目)の営業利益72億円の必達、及び2026年2月期(同3年目)の営業利益100億円(計画では94億円)への到達に向けた重点施策として、(1) フレキシブルスペース事業、(2) ホテル・宿泊研修事業、(3) イベントプロデュース事業、(4) インバウンドMICE、(5) 政策投資・事業提携などに取り組む方針である。

(1) フレキシブルスペース事業
東京・大阪のビジネス地区を中心に新規出店・既存施設の増床推進を継続する方針であり、既に公表されている象徴的なものとして、東京駅・品川駅・羽田空港へのアクセス良好な「田町」エリアにおいて、駅直結ビルへの新規出店が決定している※。

※TKP田町駅カンファレンスセンター(2024年10月1日出店予定)。


(2) ホテル・宿泊研修事業
1) 既存ブランドの拡充、2) 新業態の宿泊事業への展開に取り組む。1) については、11棟目となるアパホテル「アパホテル〈大分駅前〉(仮称)」の建設を進め、2025年10月に開業予定である。2) については、TKP初のPark-PFI※1事業「上人ヶ浜公園整備運営事業」が2024年5月に着工し、2025年春の開業を目指している。また、TKP初となるショッピングモールへの出店も進めており、トレーラーハウス型宿泊施設「TKPコテージホテル(仮称)」の新設・運営開始に向けてイオンモール<8905>と契約締結した。イオンモール羽生「nONIWA(ノニワ)」※2内で2025年4月より運営開始予定である。

※1 都市公園の魅力と利便性の向上を図るために、公園の整備を行う民間の事業者を公募し選定する制度。
※2 屋外で広場一体型となった新コンセプトの商業施設


(3) イベントプロデュース事業
スペースの販売から、スペースでのコンテンツを提供する企業への進化に取り組む。人的資本経営を支援する独自の研修プログラム設計・展開といった同社が強みとする領域に加え、社外向けの商品発表・展示会、セミナー・カンファレンスといったエンターテインメント性の高いコミュニケーションイベントのプロデュースも強化していく。

(4) インバウンドMICE
アジア各国で需要が高まるインバウンドMICEの誘致に向けた活動にも取り組む。誘致先を東アジアから東南アジア、南アジアへと段階的に広げ、アジア全域にまで拡張していく考えであり、現地旅行代理店との連携強化(代理店内デスクの設置、現地事務所の開設)や、各国での現地商談会への出店・商談強化を図っていく。既述のとおり、既にインド・ネパールからの採用を開始しているのは、まさにインバウンドMICEを意識した取り組みとも言える。

(5) 政策投資・事業提携
潤沢な手元資金を成長投資へ集中投下する方針であり、既存事業領域の拡張、周辺事業への展開に向けて、300億円以上の「事業投資枠」を活用していく。

3. 弊社の注目点
弊社でも、外部要因(貸会議室及び懇親会需要の回復、インバウンド需要の拡大など)、並びに内部要因(新規出店や増床、料飲内製化の進展など)を勘案すれば、同社の業績予想の前提には十分に合理性があると評価している。注目すべきは、1) 新規出店や増床によるスペース確保に向けた進捗や2) 料飲内製化による収益性の改善のスピードのほか、3) 事業投資枠を活用した成長投資の動きなどである。特に、3) については、規模や領域、目的など、様々な選択肢が考えられ、それによって足元業績や今後の方向性にも大きな影響を及ぼす可能性がある。いずれにしても、同社が目指している中期経営計画最終年度(2026年2月期)の営業利益100億円への到達に向けて、いかに利益を積み上げていくのか、その道筋を注意深くフォローする必要があろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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