アドバンスクリエイト---2Qの配当予想の変更はなし、通期は会社計画の業績予想、配当予想の変更はない見通し
アドバンスクリエイト<8798>は14日、2024年9月期第2四半期(23年10月-24年3月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比22.5%減の50.05億円、営業利益が同55.0%減の3.43億円、経常利益が同50.1%減の3.32億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同55.4%減の1.44億円となった。第2四半期末の配当予想は1株当たり17.5円と変更はない。
各セグメントの概況は以下の通りである。
保険代理店事業の売上高は前年同期比27.4%減の36.73億円、営業損失は1.23億円(前年同期は3.23億円の利益)となった。直営コンサルティングプラザ(支店)においては保険販売方針を見直し、より総合的な保険提案を行うよう教育を進めている。一方で、本教育には一定の浸透の時間が必要であることから、一時的に支店での獲得契約数が落ち込んでいる。また、コールセンター部門においても、より保険検討意欲が高い顧客に対してアポイントを獲得する体制を敷いた結果、協業支店に対する配信アポイント数が減少している。そのため、協業での獲得契約数も伸び悩んだ。
ASP事業の売上高は前年同期比16.1%増の1.46億円、営業利益は同8.9%増の0.53億円となった。乗合保険代理店等へのACPの新規販売が堅調に推移した。
メディア事業の売上高は前年同期比37.1%減の11.54億円、営業利益は同39.1%減の2.49億円となった。保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への広告出稿が好調だった前年同期に比べ伸び悩んだ。
メディアレップ事業の売上高は前年同期比35.6%減の4.26億円、営業利益は同42.3%減の0.64億円となった。前年同期に比べ受注が伸び悩んだ。
再保険事業の売上高は前年同期比7.3%増の5.84億円、営業利益は0.72億円(前年同期は1.33億円の損失)となった。新型コロナウイルス感染症の分類移行に伴い再保険金支払いが一巡した。
第2四半期決算は減収減益となったものの、2024年9月期通期の業績予想については、売上高が前期比18.0%増の120.00億円、営業利益が17.00億円、経常利益が15.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が9.00億円とする期初計画を据え置いている。期末配当についても1株当たり17.5円と変更はない見通し。
同社は社内に開発部門を擁する「インシュアテック企業」として、引き続き高収益性をめざしている。同社の強みは大きく3つにまとめることができる。第1に、保険専門のソフトウェアの開発を内製化していることである。専業保険代理店でありながら100名以上のIT人財(エンジニア、デザイナーなど)を擁し、国内最大級の保険選びサイト「保険市場」の改善等を日々行っているほか、経営陣・営業現場と直結したシステム開発部隊により前述した顧客管理システムなどのアジャイル開発を実現しており、保険代理店業界のなかで最も先進的なインシュアテック企業と言える。第2に、「保険市場」を通じた集客だけでなく先進テクノロジーを積極的に取り入れた独自のマーケティング手法を確立することで、費用対効果の高いWebプロモーション施策を実践できていることである。ここ数年はSNS広告やAI、アバターなどICTを活用した顧客対応の仕組みを業界でいち早く取り入れ、アポイント件数や契約件数の増加につなげている。第3に、環境変化にスピーディーに対応できる企業文化を醸成していることである。たとえば、コロナ禍によって2020年3月以降対面での営業が一時的に制限された際に、いち早く社内の若手エンジニア等が保険相談に特化したオンラインビデオ通話システムを開発し、収益の早期回復につなげた。こうした環境変化への迅速な対応力は、企業文化・創業精神に基づいて人財育成を実施してきた成果とも言える。また、非管理職員への自己投資支援手当など、社員の自己研鑽を促す体制を整備していることも一因であろう。同社の最大の強みは、保険選びサイト「保険市場」が保険契約の見込み顧客獲得ツールとして大きな集客力を持っていることであり、これは第1~3の強みを融合して実現したものである。「保険市場」のコンテンツや機能を日々拡充することにより、アクセス件数や資料請求及び問い合わせ件数を増やし、保険商品の契約件数増加につなげているほか、費用対効果の高いWebプロモーション施策の実施や営業の生産性向上に取り組むことで高い収益性を実現していると言えよう。
《SI》
提供:フィスコ