リソー教育 Research Memo(11):新規事業の拡大により年率1ケタ台後半の持続的成長を目指す(2)
■今後の見通し
(4) 教育特化ビル「こどもでぱーと」シリーズの展開
リソー教育<4714>は2020年9月にヒューリック、コナミスポーツとの3社で業務提携を締結し、今後、ヒューリックが首都圏で開発する教育特化ビル「こどもでぱーと」シリーズを展開することを発表した。同ビル内では、同社グループの「伸芽’Sクラブ託児・学童」「伸芽会」「TOMAS」「インターTOMAS」や、コナミスポーツの「運動塾」※等が入居し、乳幼児から高校生まで複数の教育サービスを同一拠点で提供可能となる。子どもを勉強と運動の両面でバランス良く育てたいというニーズは強く、好立地の場所で各種サービスを提供することでこれらのニーズを取り込んでいく。同社にとっては、乳幼児から顧客を囲い込むことで、顧客のLTV最大化とグループシナジーが発揮できる取り組みとして注目される。
※子ども向けを対象とした運動スクールで全国に140ヶ所以上展開している。
現在の進捗状況については、東京都城南エリアや横浜、千葉エリアなどで合計6件のプロジェクトが具体化しており、このうち2件の「(仮称)こどもでぱーと 中野」(東京都中野区)、「(仮称)こどもでぱーと たまプラーザ」(神奈川県横浜市)がいずれも新築物件で2025年春に開業予定となっている。
また、ヒューリックが2026年に渋谷に竣工予定の複合ビル「MITAKE Link Park」にも「こどもでぱーと」を展開することが決まっており、「伸芽会」「伸芽’Sクラブ託児・学童」を開設する計画となっている(伸芽会、TOMASは既存校が渋谷にあるため拡大リニューアルとなる)。ヒューリックでは、「こどもでぱーと」を2029年までに首都圏の主要駅をターゲットに20棟まで広げる構想を描いており、2026年以降も年間数棟のペースで開業していくことになる。同社にとっては、駅前好立地の物件を独力で探す必要がなく複数の教育サービスを同時に開校できるため、事業効率の観点からもメリットが大きく、2026年2月期以降の収益拡大に貢献する取り組みとして注目される。
(5) DX戦略の推進
同社は収益体質の強化と売上拡大を図るべく、2024年2月期からグループ全体のDX戦略推進に着手している。具体的な取り組みとしては、グループ各社で保有する顧客データベースの統合、講師が手書きで作成しているレポートを情報端末を用いて作成できるようにするためのシステム構築、顧客接点となるスマートフォンアプリの開発、教室・拠点間のネットワーク設備の増強など、2026年2月期までに697百万円を投入してDXを推進し、業務効率並びに顧客満足度の向上を図る。講師や教務社員がDXによって削減した事務作業時間を生徒や保護者へのフォローアップ、営業提案などの時間に振り向けることで、顧客満足度の向上につながるほか、ペーパーレス化によるコスト低減なども進められる。顧客データベースの統合については2027年に完成する予定で、完成後は重複機能の統一化による費用の効率化と、ブランド横断的アプローチによる囲い込み戦略が従来以上に進むものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《AS》
提供:フィスコ