リソー教育 Research Memo(10):新規事業の拡大により年率1ケタ台後半の持続的成長を目指す(1)
■今後の見通し
2. 中期経営計画
(1) 市場環境認識と主な取り組み
リソー教育<4714>は2025年2月期からスタートする3カ年の中期経営計画を発表した。市場環境としては、少子化が続くなかで同社が主力エリアとする首都圏においては子どもの数も堅調に推移し、また公教育サービスへの不安感から私立小学校及び中学校を受験するため進学塾への通塾ニーズも堅調に推移する一方で、学習塾業界における生徒獲得競争も続き業界再編の動きが加速すると見ている。
こうした環境下において今後も収益成長を継続していくための主な取り組みとして、生徒数拡大施策、出店エリアの見直し及び校舎のスクラップ&ビルド、異業種との提携による新規事業の育成、DX戦略などを推進する。生徒数拡大施策としては、顧客満足度の向上(生徒・保護者との密なコミュニケーション)による退会率の抑制と、難関校への合格実績を拡大するための優秀な講師や社員の確保・育成に取り組む。
(2) 経営数値目標
業績目標としては2027年2月期に売上高38,260百万円、営業利益3,360百万円、経常利益3,360百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円を掲げた。3年間の年平均成長率は売上高で5.9%、営業利益で9.1%となる。営業利益率は2024年2月期の8.0%に対して2027年2月期は8.8%まで引き上げていく。講師・正社員の処遇向上による人件費の増加や物価上昇が見込まれる一方で、広告宣伝費をはじめとした諸経費の最適化やDX推進による業務効率の向上で吸収していく。また、ROEについては14.5%と2024年2月期の19.1%から水準はやや低下するものの、引き続き10%以上を維持する方針だ。
(3) 事業別の見通し
a) 学習塾事業
学習塾事業の売上成長率は年率7%程度を計画している。校舎展開については首都圏で年間3~5校ペースで新規開校し、手狭となった教室については増床または移転リニューアルを実施していく。「インターTOMAS」や「メディックTOMAS」については「TOMAS」「インターTOMAS」が進出しているエリアで、需要が見込めると判断すれば開校する。校舎数の拡大に加えて既存校における顧客サービスの徹底により、退会率を抑制していくことで生徒数の拡大を図る。また、新規生徒の募集については紙媒体の広告をWeb広告に切り替えるなど費用対効果を鑑みながら効率的に進め、生徒数の増加につなげていく考えだ。
b) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業の売上成長率は年率1ケタ台前半の水準を計画している。家庭教師派遣の「名門会」については、大都市圏への集中展開と校舎のスクラップ&ビルドを推進する。一方、「TOMEIKAI」は地方の少子化進行を背景に生徒や学生アルバイト講師の獲得が難しくなってきていることから新規開校は行わず、既存校の収益改善に取り組む。
こうしたなかでも双方向型オンライン授業「名門会Online」の生徒獲得を強化することで、2026年2月期から増収基調への復帰を目指す。同サービスはコロナ禍以降にスタートしたサービスで、生徒数も2024年2月時点で約180人と同事業全体の6%弱と小さいが、地方や海外からでもオンラインで社会人プロ講師や東大生など難関大学の現役大学生講師の完全個別指導を受講できる点が評価され順調に生徒数を伸ばしており、今後の売上成長をけん引していく可能性がある。
c) 幼児教育事業
幼児教育事業については提携戦略の推進により年率5%前後の売上成長を目指す。「伸芽会」「伸芽’Sクラブ学童」「伸芽’Sクラブ託児」をそれぞれ年間1校ペースで開校する計画となっている(伸芽’Sクラブ学童にはコナミスポーツ 伸芽’Sアカデミーも含む)」。これら新規校やリニューアル校で生徒獲得のための営業を強化するほか、既存生の退会率を抑制するため生徒・保護者とのコミュニケーション強化並びに計画的な個別面談を実施していく。
d) 学校内個別指導事業
学校内個別指導事業については、年率10%の売上成長を目指す。学校の進学実績向上に貢献するサービスとして、また教師の長時間労働問題の解消に寄与するサービスとして認知度が高まるなか、私立の中高一貫校を中心に全国の私立学校から多く問い合わせが入っており、年間10校ペースで導入校数を増やしながら高成長を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《AS》
提供:フィスコ