明日の株式相場に向けて=ソシオの踏み上げ相場が流れ変えるか
3連休明けとなった30日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比470円高の3万8405円と大幅続伸。前週末は反発したものの、引け後のソシオネクスト<6526>やアドバンテスト<6857>などの決算発表を受けて重苦しい空気が漂っていた。しかし、世界を見渡すとリスクオフとは決して言えない状況にある。アジア株市場では香港ハンセン指数や上海総合指数、シンガポールST指数などいずれも強い動きを継続、更に欧州でも英FTSE100が史上最高値を連日更新するなど、むしろ株高局面を満喫している。年初からの日本株の急騰パフォーマンスが際立ったが、4月はその裏返しで日本株が勢いを失う時間帯に移行した。であるならば、弱気相場は時の流れこそが何よりの特効薬で、再び浮揚力が働く場面が訪れる。今はその時をイメージして、じっくりとディスカウントされた銘柄の中から、リベンジできる候補を選りすぐっていく。これは投資家にとって好機にほかならないが、埋もれている金剛石を拾う作業は、決算発表期を通過してからでも十分に間に合う。
外国為替市場ではドル・円相場がトレーダー泣かせの激動となり、一時は1ドル=160円台に入る強烈な円安に遭遇したのだが、その後は政府・日銀の円買い介入思惑から一気に6円程度も円高方向へと切り返す波乱展開となった。「過去にあまり記憶がないマグニチュード8クラスの縦揺れで、かなりの数のFXトレーダーが退場級の痛手を被った」(ネット証券ストラテジスト)とも指摘される。
これまで介入を匂わせながらも音無しの構えを続け、市場関係者からは“(介入を)するする詐欺”などと揶揄されたが、当局サイドは明言を避けてはいるものの、ようやくにして伝家の宝刀を抜いたもようだ。ただ、円買い介入を行っても日銀の金融政策スタンスが変わらなければ、根本的な円売り圧力を拭い去ることはできない。実際問題、いったんは1ドル=154円台まで円高方向に“弾丸リバウンド”したものの、その後は再び156円台後半から157円をうかがう円安方向に押し戻される動きとなっており、これは、近いうちに改めて投機筋の円売り攻勢が再演される余地を残している。どうしてもハト派路線から飛び立つことのできない植田日銀総裁に対し、挑戦状が突き付けられたような状況が続く。
今週は、あす1日にFOMC後のパウエルFRB議長の記者会見で、利下げの一段の後ずれを確信させるようなコメントが発せられるのかどうかが焦点。現状は、利下げ開始時期が6月から7月に、更に9月にと、あっという間に後ろに押しやられているが、遂に年内利下げシナリオが消えるところまで来ている。極端な円安演出は、日米が同時に金利差縮小とは反対方向の政策路線に向かっていることが要因で、これは日銀のせいばかりではない。
個別株は 半導体関連が息を吹き返している。ソシオが前週末26日引け後に発表した24年3月期決算は営業63%増益で計画を大幅に上振れて着地したが、その反動もあって25年3月期の同利益は24%減益見通しとなった。上振れ着地で次期業績を保守的に出すのは、“極めてありがち”なパターン。ソシオの場合、特にその可能性が高いとの見立てで、貸株市場を調達した空売りターゲットとなっていた。ところが、PTSで存分に脅しをかけられた急落シナリオが、きょうの相場では真逆の方向にバイアスがかかった。寄り付きこそ投げ売りに買い戻しをぶつけられたものの、売り板は瞬間蒸発となり、その後はショート筋の自爆的な踏み上げ相場に移行した。売買代金はプライム市場第1位。きょうはソシオの動きが、その他の半導体関連にも活力を与えたといってよい。
とはいえ、今は基本的に決算発表跨ぎの銘柄は避けるべきである。半導体関連で決算発表通過後の銘柄としてマークしておきたいものでは、3月決算期でない銘柄で、オキサイド<6521>や巴工業<6309>などが挙げられる。また、前週末26日に好決算を発表し、急動意をみせているトクヤマ<4043>は押し目買い前提で狙える。PER9倍強で過去最高値は2007年2月につけた1万1500円と天井も高い。
あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントは見当たらないが、三井物産<8031>、双日<2768>など総合商社の決算発表が注目。海外ではFOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見にマーケットの関心が高い。また、4月のADP全米雇用リポート、4月の米ISM製造業景況感指数、3月の雇用動態調査(JOLTS求人件数)なども予定。米主要企業の決算発表ではクアルコム<QCOM>に耳目が集まる。
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2024年04月30日 17時18分
外国為替市場ではドル・円相場がトレーダー泣かせの激動となり、一時は1ドル=160円台に入る強烈な円安に遭遇したのだが、その後は政府・日銀の円買い介入思惑から一気に6円程度も円高方向へと切り返す波乱展開となった。「過去にあまり記憶がないマグニチュード8クラスの縦揺れで、かなりの数のFXトレーダーが退場級の痛手を被った」(ネット証券ストラテジスト)とも指摘される。
これまで介入を匂わせながらも音無しの構えを続け、市場関係者からは“(介入を)するする詐欺”などと揶揄されたが、当局サイドは明言を避けてはいるものの、ようやくにして伝家の宝刀を抜いたもようだ。ただ、円買い介入を行っても日銀の金融政策スタンスが変わらなければ、根本的な円売り圧力を拭い去ることはできない。実際問題、いったんは1ドル=154円台まで円高方向に“弾丸リバウンド”したものの、その後は再び156円台後半から157円をうかがう円安方向に押し戻される動きとなっており、これは、近いうちに改めて投機筋の円売り攻勢が再演される余地を残している。どうしてもハト派路線から飛び立つことのできない植田日銀総裁に対し、挑戦状が突き付けられたような状況が続く。
今週は、あす1日にFOMC後のパウエルFRB議長の記者会見で、利下げの一段の後ずれを確信させるようなコメントが発せられるのかどうかが焦点。現状は、利下げ開始時期が6月から7月に、更に9月にと、あっという間に後ろに押しやられているが、遂に年内利下げシナリオが消えるところまで来ている。極端な円安演出は、日米が同時に金利差縮小とは反対方向の政策路線に向かっていることが要因で、これは日銀のせいばかりではない。
個別株は 半導体関連が息を吹き返している。ソシオが前週末26日引け後に発表した24年3月期決算は営業63%増益で計画を大幅に上振れて着地したが、その反動もあって25年3月期の同利益は24%減益見通しとなった。上振れ着地で次期業績を保守的に出すのは、“極めてありがち”なパターン。ソシオの場合、特にその可能性が高いとの見立てで、貸株市場を調達した空売りターゲットとなっていた。ところが、PTSで存分に脅しをかけられた急落シナリオが、きょうの相場では真逆の方向にバイアスがかかった。寄り付きこそ投げ売りに買い戻しをぶつけられたものの、売り板は瞬間蒸発となり、その後はショート筋の自爆的な踏み上げ相場に移行した。売買代金はプライム市場第1位。きょうはソシオの動きが、その他の半導体関連にも活力を与えたといってよい。
とはいえ、今は基本的に決算発表跨ぎの銘柄は避けるべきである。半導体関連で決算発表通過後の銘柄としてマークしておきたいものでは、3月決算期でない銘柄で、オキサイド<6521>や巴工業<6309>などが挙げられる。また、前週末26日に好決算を発表し、急動意をみせているトクヤマ<4043>は押し目買い前提で狙える。PER9倍強で過去最高値は2007年2月につけた1万1500円と天井も高い。
あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントは見当たらないが、三井物産<8031>、双日<2768>など総合商社の決算発表が注目。海外ではFOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見にマーケットの関心が高い。また、4月のADP全米雇用リポート、4月の米ISM製造業景況感指数、3月の雇用動態調査(JOLTS求人件数)なども予定。米主要企業の決算発表ではクアルコム<QCOM>に耳目が集まる。
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2024年04月30日 17時18分