貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7912 大日本印刷

東証P
2,285.0円
前日比
-18.5
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PTS
2,246円
00:06 11/30
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100株
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時価総額 12,670億円
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「ブレインテック」最前線! 熾烈な開発競争を勝ち抜く精鋭株リスト <株探トップ特集>


―脳科学とITが融合する新技術領域に高まる関心、企業間の連携事例も相次ぐ―

 脳神経科学と最先端のテクノロジーを融合した「ブレインテック」分野における開発競争が熾烈を極めている。国内外で次々とスタートアップ企業が誕生し、新たな製品やサービスが登場しているほか、急成長が期待できる市場で将来の事業化を見据え、研究開発にまい進する上場企業も相次いでいる。関連銘柄は変貌を遂げるためのエネルギーを内包した状態にあると言えそうだ。

●「思考だけでチェス」で再び脚光

 米起業家のイーロン・マスク氏が設立した新興企業ニューラリンクは今年3月、脳に超小型デバイスを埋め込んだ四肢麻痺の男性被験者が、身体を動かすことなく「思考」だけでチェスをプレイするライブ動画を公開した。昨年5月に米食品医薬品局(FDA)が承認した臨床試験として、神経活動を検知したうえでデータを無線で送信する超小型デバイスを埋め込む手術が今年1月に行われた。被験者に認知機能の低下などはみられないという。

 ブレインテックの更なる進化に向けた一つのメルクマールといえる事例だが、スポットライトを浴びているのはニューラリンクだけではない。例えばアップル<AAPL>は、ワイヤレスイヤホン「AirPods」に関して脳波などの測定技術に関する同社の特許が米国で公開されたことが昨年7月に明らかとなり、今後の事業展開に注目が集まっている。イヤホンのような形で体外から脳波を測定する方式は、身体への負担が少ないため実用化に至った事例は多い。英ニューロヴァレンス社が開発した医療デバイスは、脳に微弱な電気信号を与えることで睡眠障害の改善を図るもので、昨秋にFDAの認可を取得した。

 ニューラリンクは、脳の神経信号を検出して機器を制御するブレイン・マシン・インターフェース(BMI)での応用例であるのに対し、ニューロヴァレンスのデバイスは電気信号などを通じて人体の神経機能の修正を図る「ニューロモジュレーション」の一例とされ、いずれも医療分野での貢献が期待されている。国際的にブレインテックに関するルールを整備する取り組みはまだ途上段階ではあるが、すでに海外では米国や中国などが国家的なプロジェクトとして、研究開発活動を支援する姿勢を鮮明にしている。日本においても、挑戦的な研究開発を推進するための内閣府の「ムーンショット型研究開発制度」で、ブレインテックに関連した研究目標が複数掲げられており、国家レベルでの開発競争は今後、一段と激化すると予想されている。

●KDDIやソニーGも研究開発に着手

 日本企業での研究開発例では、KDDI <9433> [東証P]が情報通信研究機構(NICT)と、ブレインテックを活用して精神状態の向上策を提案するAIの構築に向けた共同研究を展開している。また、ソニーグループ <6758> [東証P]は、機械学習や脳科学の知見を活用した「バイタルセンシング・情動推定」技術の開発に取り組み、エンターテインメントコンテンツの制作などへの応用を視野に入れる。

 大日本印刷 <7912> [東証P]は昨年7月、理化学研究所の理研ベンチャー制度をもとに創業したハコスコ(静岡県熱海市)の発行済み株式総数の51%を取得し、グループ会社化したと発表。ハコスコはVR(仮想現実)ゴーグルとともに、脳波測定を通じて集中度やリラックス度を可視化するデバイスやアプリを手掛けている。分析・計測機器の島津製作所 <7701> [東証P]は脳の機能を可視化する「脳機能イメージング(fNIRS)」で活用される機器を製品群に持ち、企業や学術機関での研究開発活動を支援している。

●協業加速のメディアS、積化成などをマーク

 株式市場でブレインテック関連と位置付けられる銘柄群のうち、代表格とみなされているのはメディアシーク <4824> [東証G]だ。システムコンサルティング事業を展開する同社はブレインテック事業に2016年から取り組み、医療やヘルスケア関連などでの成長を目指している。接骨院の支援事業を手掛けるアトラグループ <6029> [東証S]は昨年8月、メディアSとブレインテックを活用した施術の提供開始を発表。更に今年3月にはコスモ・バイオ <3386> [東証S]が、身体の不調を和らげることなどを目的とするメディアSのブレインテックトレーニングサービスについて、国内研究施設に向け提案販売すると発表するなど、協業先が拡大中だ。

 昨年9月には東和薬品 <4553> [東証P]が、NTTデータグループ <9613> [東証P]傘下のNTTデータ経営研究所と、イヤホン型脳波計の開発を手掛けるVIE(神奈川県鎌倉市)を交えた3社で、認知症の周辺症状を解決するためのDTx(デジタルセラピューティクス)の共同開発を始めると発表した。VIEは研究開発・組織体制の強化に向けた資金調達を進め、22年1月の総額1億8000万円の調達分には、AI CROSS <4476> [東証G]傘下でスタートアップ投資を行うAIX Tech Venturesと、しずおかフィナンシャルグループ <5831> [東証P]傘下の静岡銀行、フィンテック グローバル <8789> [東証S]などが参画。今年3月発表のシリーズA1ラウンドでの約3億円の資金調達には、東和薬品のほかに大塚ホールディングス <4578> [東証P]や大正製薬(東京都豊島区)、村田製作所 <6981> [東証P]、カヤック <3904> [東証G]などが出資企業に名を連ねている。

 積水化成品工業 <4228> [東証P]は今年1月、医療・ヘルスケア分野でのスタートアップ企業であるGhoonuts(京都市下京区)と、脳への電気刺激用電極の共同開発を始めると発表。生体電極用部材として利用されている高機能ゲル素材を手掛ける積化成は、脳卒中後の後遺症である失語症の患者に向けた治療機器の開発を目指すGhoonutsと、安全で効率的な電極の実用化に取り組む。

 脳波計を手掛ける日本光電 <6849> [東証P]も要マークだ。同社は大阪大学発の医療機器ベンチャーのJiMED(大阪府吹田市)とリコー <7752> [東証P]、村田製とともに、ワイヤレス体内埋込型BMIの共同開発を推進。研究成果の創出と中期的な収益押し上げ効果に期待が膨らむ。

 このほか、半導体商社のマクニカホールディングス <3132> [東証P]は21年に、脳科学分野における国内外の企業や学術機関との産学連携に向けた専門組織の設置を発表。CYBERDYNE <7779> [東証G]は、BMIを応用したリハビリ機器の開発を進める慶応義塾大学発のLIFESCAPES(東京都港区)への出資を22年に発表している。アース製薬 <4985> [東証P]はマーケティング素材を脳波の計測などで科学的に評価する手法と装置で特許を取得。入浴液「ウルモア」シリーズでのパッケージデザインに活用した実績を持ち、関連銘柄として位置付けられている。


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