明日の株式相場に向けて=コモディティ高騰のビッグウェーブに乗る
きょう(9日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比426円高の3万9773円と大幅続伸。前日の米国株市場は模様眺めムードに支配され、プラス圏とマイナス圏の狭間で方向感なくもみ合った。日本時間あす(10日)の夜9時半に発表される3月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、売りも買いも一方向にポジションを傾けにくいタイミングにあり、NYダウ、ナスダック総合株価指数いずれも狭い路地を千鳥足でフラフラ進むような曖昧な地合いに終始した。
結局ダウは小幅安で引け、ナスダック指数の方はわずかながらプラス圏で着地したのだが、いずれも前の日の終値と大差なく、双六でいえば一回休みのような日だった。東京市場も米株市場の地合いを引き継いで前場は気迷いムードで、日経平均は買い優勢ながら上値の重い展開だった。ところが、後場に入ると先物に買いスイッチが入り、日経平均はこれに連動して一貫して水準を切り上げる強調地合いへと変わった。先物効果の典型でこの日の高値で取引を終えている。400円を超える上昇となったが、4月第1週とは打って変わり、第2週は前半の2営業日合計で780円あまりの上昇。これはちょうど前週末5日の急落分を帳消にした格好となる。
FRBによる6月利下げの可能性が遠のいたことを米株市場は既にかなり織り込んではいるものの、それでもやはり3月CPIの結果は気になるところ。ここを通過しないことには、見切り発車で実需買いを入れるのはなかなか難しく、これは米国株市場だけではなく東京市場でも同じことがいえる。エネルギー・食品を除いたコア指数は鈍化傾向が見込まれているが、これが想定通りであれば波乱相場への懸念は杞憂となるが果たしてどうか。今週は週末のオプションSQ算出を含め後半の値動きがカギを握る。
なお、10日は米CPIだけではなく日米首脳会談というビッグイベントがある。岸田文雄首相の国賓待遇での渡米は、株式市場ではあまり注目度が高くないようだが、日米関係の緊密化という点では、米系ファンドなど海外資金の一段の日本上陸にもつながる話でポジティブと捉えてよい。岸田首相に議会演説の場が用意されたこともプラスに評価する市場関係者は多いようだ。バイデン米政権にすれば、国賓待遇の裏側で日本に対して米国への貢献度を高める方向で圧力をかけるような意味合いが無きにしも非ずだが、としても株式市場の見地から今回の日米首脳会談がマイナスに働くことは考えにくい。
もっとも、11月の米大統領選まで半年あまりの時点で「ほぼトラ」などと揶揄されるなか、バイデン政権との“蜜月もどき”のツケがトランプ再選となった時に回ってくる可能性も否定できない。「岸田首相は参勤交代のような服属儀礼とならないように存在感を示してほしい」(中堅証券ストラテジスト)というのもうなずける。
前日はWTI原油価格こそ上昇一服となったが、最高値圏を行く金市況をはじめ銀や銅などの市況も上げ足に弾みがついた状態で、経済のインフレモードが改めて意識される状況にある。ただし、株式市場ではインフレを警戒する一方でコモディティ価格の上昇そのものがテーマ買いの材料となってきている。住友金属鉱山<5713>、松田産業<7456>が順調に上値指向にあるほか、直近取り上げた千代田化工建設<6366>も足もとで急速人気化した。このほか、きょうは長い上ヒゲをつけた形となったが、アサカ理研<5724>や黒谷<3168>なども急騰パフォーマンスを演じマーケットの視線を集めた。ここからマークしておきたい銘柄としては、相対的に出遅れている貴金属リサイクルや精錬を手掛けるAREホールディングス<5857>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に3月の貸出・預金動向と3月の企業物価指数が開示。午後取引時間中には2月の特定サービス産業動態統計が発表される。また、岸田文雄首相が訪米し日米首脳会談が行われる。このほか、セブン&アイ・ホールディングス<3382>、エービーシー・マート<2670>が決算発表の予定。海外ではニュージーランド中銀、タイ中銀、カナダ中銀が政策金利を発表するほか、韓国総選挙の投開票。このほか、3月の米消費者物価指数(CPI)、2月の米卸売在庫・売上高、3月の米財政収支、FOMC議事要旨(3月開催分)、米10年物国債の入札など。また、韓国、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシア市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
結局ダウは小幅安で引け、ナスダック指数の方はわずかながらプラス圏で着地したのだが、いずれも前の日の終値と大差なく、双六でいえば一回休みのような日だった。東京市場も米株市場の地合いを引き継いで前場は気迷いムードで、日経平均は買い優勢ながら上値の重い展開だった。ところが、後場に入ると先物に買いスイッチが入り、日経平均はこれに連動して一貫して水準を切り上げる強調地合いへと変わった。先物効果の典型でこの日の高値で取引を終えている。400円を超える上昇となったが、4月第1週とは打って変わり、第2週は前半の2営業日合計で780円あまりの上昇。これはちょうど前週末5日の急落分を帳消にした格好となる。
FRBによる6月利下げの可能性が遠のいたことを米株市場は既にかなり織り込んではいるものの、それでもやはり3月CPIの結果は気になるところ。ここを通過しないことには、見切り発車で実需買いを入れるのはなかなか難しく、これは米国株市場だけではなく東京市場でも同じことがいえる。エネルギー・食品を除いたコア指数は鈍化傾向が見込まれているが、これが想定通りであれば波乱相場への懸念は杞憂となるが果たしてどうか。今週は週末のオプションSQ算出を含め後半の値動きがカギを握る。
なお、10日は米CPIだけではなく日米首脳会談というビッグイベントがある。岸田文雄首相の国賓待遇での渡米は、株式市場ではあまり注目度が高くないようだが、日米関係の緊密化という点では、米系ファンドなど海外資金の一段の日本上陸にもつながる話でポジティブと捉えてよい。岸田首相に議会演説の場が用意されたこともプラスに評価する市場関係者は多いようだ。バイデン米政権にすれば、国賓待遇の裏側で日本に対して米国への貢献度を高める方向で圧力をかけるような意味合いが無きにしも非ずだが、としても株式市場の見地から今回の日米首脳会談がマイナスに働くことは考えにくい。
もっとも、11月の米大統領選まで半年あまりの時点で「ほぼトラ」などと揶揄されるなか、バイデン政権との“蜜月もどき”のツケがトランプ再選となった時に回ってくる可能性も否定できない。「岸田首相は参勤交代のような服属儀礼とならないように存在感を示してほしい」(中堅証券ストラテジスト)というのもうなずける。
前日はWTI原油価格こそ上昇一服となったが、最高値圏を行く金市況をはじめ銀や銅などの市況も上げ足に弾みがついた状態で、経済のインフレモードが改めて意識される状況にある。ただし、株式市場ではインフレを警戒する一方でコモディティ価格の上昇そのものがテーマ買いの材料となってきている。住友金属鉱山<5713>、松田産業<7456>が順調に上値指向にあるほか、直近取り上げた千代田化工建設<6366>も足もとで急速人気化した。このほか、きょうは長い上ヒゲをつけた形となったが、アサカ理研<5724>や黒谷<3168>なども急騰パフォーマンスを演じマーケットの視線を集めた。ここからマークしておきたい銘柄としては、相対的に出遅れている貴金属リサイクルや精錬を手掛けるAREホールディングス<5857>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に3月の貸出・預金動向と3月の企業物価指数が開示。午後取引時間中には2月の特定サービス産業動態統計が発表される。また、岸田文雄首相が訪米し日米首脳会談が行われる。このほか、セブン&アイ・ホールディングス<3382>、エービーシー・マート<2670>が決算発表の予定。海外ではニュージーランド中銀、タイ中銀、カナダ中銀が政策金利を発表するほか、韓国総選挙の投開票。このほか、3月の米消費者物価指数(CPI)、2月の米卸売在庫・売上高、3月の米財政収支、FOMC議事要旨(3月開催分)、米10年物国債の入札など。また、韓国、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシア市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS