アイリック Research Memo(3):保険販売事業、ソリューション事業、システム事業を展開
■アイリックコーポレーション<7325>の事業概要
1. セグメント区分
セグメントは保険販売事業、ソリューション事業及びシステム事業に区分されている。保険販売事業は、「保険IQシステム」を活用した日本初の来店型保険ショップ「保険クリニック」の直営店運営及び法人営業を展開している。ソリューション事業は、保険代理店・銀行・保険会社向け「ASシステム」シリーズや「AS-BOX」の開発・販売(AS部門)、及び「保険クリニック」のFC事業(FC部門)を展開している。システム事業は、インフォディオが「スマートOCR」の開発・販売などを展開している。
「保険クリニック」は「保険IQシステム」を活用して最良の顧客サービスを提供している。「保険IQシステム」とは、生命保険の保障内容などを図示したシートにまとめることで、保険商品の検索・絞り込み・比較を可能にした自社開発のシステムである。「カンタンすぎる」「わかりやすすぎる」保険選びを追求している。スタッフの提案力、取扱商品の充実度、契約手続き、アフターフォローなどで高い評価を得ており、「保険IQシステム」を活用した同社の強み・競合優位性を示している。
なお「保険クリニック」は2023年1月に、福利厚生サービス大手の「Perk」(運営元:ウォンテッドリー<3991>)、「WELBOX」(同:(株)イーウェル)、「福利厚生倶楽部」(同:(株)リロクラブ)、「ライフサポートクラブ」(同:リソルライフサポート(株))との提携を開始した。以前より提携中の「ベネフィット・ステーション」(同:ベネフィット・ワン<2412>)と合わせて、延べ約2,790万人以上に特典付きで「保険クリニック」を利用できる仕組みを整えている。また(一社)生命保険協会が2022年4月より開始した「業務品質評価運営」において、「乗合代理店業務品質調査」の基本項目をすべて達成する代理店として2023年2月に認定された。
保険販売事業は「保険クリニック」直営店運営と法人営業
2. 保険販売事業
保険販売事業は「保険クリニック」直営店部門と法人営業部門・RM部門で構成されている。収益の柱はいずれも、代理店業務委託契約を締結している保険会社の保険商品販売に伴って、当該保険会社から得られる「保険手数料」収入である。「保険IQシステム」を活用した独自のサービスで、高い契約継続率と高い顧客満足度を獲得している。法人営業部門は法人及び富裕層をサポートすべく、保険の有効活用に関する提案や保険販売等を行う訪問型営業を展開している。2023年10月には、新潟県を中心に13店舗の保険ショップと全国12支社の訪問販売型チャネルを有する子会社のLAが加わった。
なお2022年 6月に、未来創造弁護士法人と「保険クリニック」契約者向け無料法律相談サービス「ミラリーガル」を、及びmederi(株)とオンラインピル診療サービス「mederi Pill」を「保険クリニック」の生活応援アプリ会員限定で提供するサービスをそれぞれ開始した。2024年1月には(株)MFSと提携し、同年2月より「保険クリニック」直営店において住宅ローン比較サービス「モゲチェック」のサービス案内を開始した。
ソリューション事業はAS部門とFC部門
3. ソリューション事業
ソリューション事業は、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして「ASシリーズ」を開発・販売するAS部門と、「保険クリニック」をFC展開するFC部門で構成されている。
AS部門は、保険代理店・銀行・保険会社等に対して「ASシステム」「AS-BOX」を提供している。「ASシステム」は生命保険の現状把握・検索提案システムで、「保険IQシステム」を汎用化したシステムである。「AS-BOX」は保険申込ナビゲーションシステムで、「保険IQシステム」または「ASシステム」の機能のうち既契約の証券分析機能が搭載されていない簡易版システムである。なお2023年5月には「AS-BOX」が、(株)hokanが提供する保険代理店向け顧客・契約管理クラウドサービス「hokan」とAPI連携を開始した。2024年3月には「ASシステム」のオプションとして「法人証券分析機能」の提供を開始した。
収益は、「ASシリーズ」導入ID数に基づいたシステム利用料(初期登録料、サブスクリプション方式の月額利用料)、保険販売コンサルティング売上、金融機関向け「スマートOCR」売上、その他ソリューション売上などである。
金融機関等における各種システムの導入は拡大基調である。2023年以降の導入事例としては、同年1月にゼクシィ保険ショップが「AS-BOX」を導入した。同年4月には第一生命保険(株)へ生命保険証券分析機能のOEM提供を開始した。2024年1月には同社、(株)ドコモ・インシュアランス(旧 (株)エヌ・ティ・ティ・イフ)、ジェイアイ傷害火災保険(株)の3社共同開発で「スマートOCR」を活用した「IF-InsurTech(R)火災保険AIスキャンサービス」が、ドコモ・インシュアランスの「火災保険詳細見積もり」へ導入された。同年2月には「保険IQシステム」「ASシステム」「AS-BOX」においてエヌエヌ生命保険(株)とAPI連携を開始した。
銀行における2023年以降の導入事例としては、2023年4月に阿波銀行<8388>、同年6月に滋賀銀行<8366>、同年7月に四国銀行<8387>、フィデアホールディングス<8713>傘下の(株)荘内銀行及び(株)北都銀行、同年10月に西日本フィナンシャルホールディングス<7189>、(株)西日本シティ銀行、富山銀行<8365>、ひろぎんホールディングス<7337>の(株)広島銀行、あいちフィナンシャルグループ<7389>の(株)愛知銀行、スルガ銀行<8358>がそれぞれ「ASシステム」を導入し、銀行での導入は39行となった。また2024年2月には、難しい保険を簡単に教えてくれる保険ロボアドバイザー「SMARTロボアドLITE」を、ふくおかフィナンシャルグループ<8354>傘下の3銀行((株)福岡銀行、(株)熊本銀行、(株)十八親和銀行)へOEM提供した。
FC部門は、全国の「保険クリニック」FC店に対して「保険IQシステム」を提供している。さらに教育・研修、情報提供、店舗運営ノウハウ、プロモーション等のサポートを行い、直営店と同等のサービスを展開している。収益はシステムやサポート利用に対する初期登録料・基本料金、ロイヤリティ、共同募集に伴う保険手数料、その他サービスに伴う売上等である。2022年4月には、丸紅<8002>の子会社で携帯電話販売代理店(ショップ運営)大手のMXモバイリング(株)が「保険クリニック」コトエ流山おおたかの森店をオープンした。今後も店舗拡大を視野に入れた協業を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《HH》
提供:フィスコ