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3445 RSテクノ

東証P
3,425円
前日比
-60
-1.72%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.9 1.47 1.02 17.84
時価総額 904億円
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RSテクノ Research Memo(9):3ヶ年計画では既存事業ベースで年率7.3%成長を目指す


■今後の見通し

2. 中期経営計画
RS Technologies<3445>は2026年12月期までの中期経営計画を発表した。既存事業によるベースプランの業績目標として、売上高64,100百万円、営業利益16,830百万円、経常利益18,230百万円、親会社株主に帰属する当期純利益8,800百万円を設定、3年間の年平均成長率は売上高で7.3%、営業利益で12.3%、経常利益で6.9%と着実な成長を目指す。また、今回初めてアップサイドプランを発表した。同プランはVRFB用電解液事業を展開するLEシステムの業績目標と今後のM&Aによる効果を上乗せした目標値で、2026年12月期に売上高131,100百万円、営業利益25,930百万円となる。M&Aの対象としては半導体業界に加えて、再生可能エネルギー業界にも事業領域を広げて検討する方針だ。

世界の半導体市場は、AI・データセンター関連や自動車向けが牽引し、2026年まで年率10%程度の成長が期待できることから、既存事業の業績目標については達成可能な水準と弊社では見ている。米中半導体摩擦が続くなか、中国半導体市場へのマイナス影響が懸念されるが、引き続き国策として半導体産業を育成する方針に変わりなく、また、同社が手掛けるプライムウェーハは先端分野ではなくレガシー分野を対象としており、最先端技術が求められる半導体製造装置の輸出規制によるマイナス影響は受けないと考えている。

なお、今回の中期経営計画では持分法適用関連会社で、2024年後半に12インチプライムウェーハの量産開始を予定しているSGRSについては織り込んでいない。12インチプライムウェーハについては徳州工場で月産5万枚からスタートする予定だが、当初はサンプル出荷から開始し、モニタウェーハやプライムウェーハの品質基準をクリアし、工場認定を取得する作業に時間を要するものと考えられる。このため、売上が本格的に計上されるのは2025年以降となりそうで、収益化の目途が立った段階で出資比率を引き上げ連結対象子会社とする予定にしている。

(1) ウェーハ再生事業
ウェーハ再生事業については、12インチ再生ウェーハの旺盛な需要に対応するため、日本及び台湾で能力増強を進めるほか、SGRSの徳州工場でも量産を開始し中国での需要を取り込む戦略である。このうち、国内と台湾を合わせた月産能力は2023年12月末の54万枚から2026年末は69万枚となり、年率8.5%成長となる。国内では12インチウェーハの新工場としてJASM(株)(TSMC子会社)の熊本第1工場が2024年内に稼働を開始する。また、Micron Technology<MU>の広島工場が2025年内に稼働開始するなど2024年以降合計9つの新工場プロジェクトが決まっている。これら新工場向けの需要に加えて、欧米市場での需要に対応することになる。台湾工場ではTSMC向けを中心に増産対応する計画だ。

また、SGRSの徳州工場でも2025年以降の2年間で60億円の設備投資を実施し、月産能力を2023年12月期末の5万枚から2026年12月期末には20万枚まで増強する。中国国内における12インチ再生ウェーハの新工場も17件程のプロジェクトが決まっており、これら需要に対応していく。

(2) プライムウェーハ事業
プライムウェーハ事業では、山東GRITEKの8インチの月産能力を2023年12月末時点で13万枚から段階的に引き上げ2026年12月期末には28万枚と2倍強に拡大する計画としている。3年間の累計設備投資額は80億円となる。現在、8インチの中国内での市場シェアは5%程度であり、シェア拡大による成長余地は大きい。将来的にはコスト競争力を生かして中国以外の市場への展開も視野に入れている。

一方、12インチプライムウェーハを手掛けるSGRSでは北京の研究開発棟に設置した月産1万枚規模のテストラインで、製品として販売できるレベルの品質基準をクリアしている。今後は徳州工場で段階的に能力増強を行い、2026年には月産21万枚まで増強していく。3年間の累計設備投資額は200億円となるが、このうちGRITEKが持分比率(約20%)と同等分の資金を負担することになる。

販売戦略としては、中国半導体メーカーをターゲットにボリュームゾーンである回路線幅28~40nm品の品質基準を確保し、販売を拡大する。まずは中国市場でトップシェアを目指し、次のステップとしてグローバル市場でのボリュームゾーンである14~20nm品の品質基準をクリアし、価格競争力を生かして海外の大手半導体メーカー向けに販売する戦略だ。ウェーハ再生事業の主要顧客先からは、品質基準の確保と安定供給体制さえ確立できれば価格メリットからプライムウェーハも購入したいとの意向を受けているため、体制が整いさえすればシェアを拡大する可能性は十分にあると弊社では見ている。同社は将来的に12インチプライムウェーハで30%の市場シェア獲得を目標に掲げている。

(3) 第3の収益柱として半導体製造装置用消耗部材を育成
同社は、ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業に続く第3の収益柱を育成するため、子会社のDG Technologiesで展開している半導体製造装置用向けの消耗部材に注力している。具体的には、ドライエッチング装置でシリコンウェーハを固定するための石英リングやシリコン電極などの消耗部材の売上拡大を目指す。

同消耗部材の年間市場規模は約1,500億円と同社では推計しており、当面の売上目標としてシェア10%(約150億円)を目指す。現在の売上規模は数十億円規模で収益性も低いが、将来的にはウェーハ再生事業と同等の30%台まで引き上げることを目標にしている。競合は国内、台湾、韓国、米国などに複数社あるが、品質や技術力では同等以上の水準にあると見られる。多品種少量生産となるため生産効率の低い点が課題で、自動化設備の導入や生産管理の強化等による生産性向上、材料調達コストの低減に取り組んでいる。営業面ではウェーハ再生事業の顧客に対してクロスセルを実施するとともに、大手ドライエッチング装置メーカー向けに純正品として納入することで販売シェアを拡大する戦略で、長期目標として世界シェア約3割、売上高450億円を目指す。石英ガラスの競合であるテクノクオーツ<5217>の事業規模は、2024年3月期の会社計画で売上高165億円、営業利益率で21%の水準となっており、DG Technologiesも売上規模が拡大すれば営業利益率で20%前後の水準まで引き上げることは可能と弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HH》

 提供:フィスコ

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