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4845 スカラ

東証P
461円
前日比
+3
+0.66%
PTS
456円
22:30 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
23.5 2.02 3.47 3.75
時価総額 81.9億円

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スカラ Research Memo(8):共創型の新規プロジェクトが徐々に成果を見せ始める(2)


■スカラ<4845>の業績動向

(2) 人材・教育事業
人材・教育事業の売上収益は前年同期比7.8%増の874百万円、営業利益は同18.2%減の86百万円、Non-GAAP指標での全社費用配賦前営業利益では同14.3%減の115百万円と増収減益となった。このうち、アスリートプランニングによる採用支援サービス事業の売上収益は同5.6%増の487百万円、営業利益は同11.1%減の126百万円となった。売上収益は、就職活動の早期化に伴う企業からの採用イベントの出展ニーズが高まったことで増加した(イベント開催数は同4回増の39回、出展企業数は同63社増の659社)。一方、利益面では新規事業となる中途転職支援事業や学生向けキャリア教育事業の先行投資負担(主に人件費増)により減益となった。これら新規事業については既存事業のネットワークやノウハウを活用できるため、早期の収益化が可能と同社では見ている。中途転職支援事業については既にスタートしており、将来的には新卒就活支援サービスと同規模の売上水準を目指している。一方、学生向けキャリア教育事業には独自でサービス提供するか教育コンテンツのみ教育関連企業に提供していくか検討中で、その方針が固まり次第スタートすることになる。

一方、保育・教育サービス事業などを展開するその他子会社の売上収益は同10.8%増の387百万円、営業損失は39百万円(前年同期は36百万円の損失)となった。2023年4月に開設した幼保園「Universal Kids品川」(直営)や「Universal Kids バンコク」(他社運営でプログラムの提供のみ)、英語学習に特化した学童「Global Education Center」が売上に貢献したほか、ブロンコス20もプロバスケットボールチーム「さいたまブロンコス」のファンクラブサイトをオープンし、順調に会員数が増加した。ただ、利益面では新規拠点の立ち上げ負担やバスケットボールチームの運営コスト増により若干の損失が続いた。

(3) EC事業
スカラプレイスによるEC事業の売上収益は前年同期比10.0%増の1,138百万円、営業利益は同8.3%増の147百万円、Non-GAPP指標での全社費用配賦前営業利益は同6.7%増の179百万円と増収増益が続き、過去最高を更新した。トレーディングカードの市場規模が年々拡大するなかで、SEOをはじめとしたデジタルマーケティング施策やUI/UXの改善によるユーザビリティの向上に取り組んだほか、2023年5月にリリースしたAndroidアプリの会員数が順調に増加したこと、同年9月にWebサイト「カードショップ - 遊々亭 -」のフルリニューアルを実施したことなどが奏功し、売上収益の増加につながった。2023年12月末の会員数は同23.5%増の26.5万人、在庫高は同32.0%増の323百万円、12月の月間PV数は同22.0%増の9,138千PV、UU数は同39.1%増の655千UUとKPIも順調に推移している。ただ、第2四半期だけで見ると売上収益は同1.0%増の556百万円、営業利益は同11.1%減の63百万円とブレーキがかかっており、第3四半期以降の動向は注視しておく必要がある。

(4) 金融関連事業
日本ペット少額短期保険による金融関連事業の売上収益は前年同期比4.1%減の606百万円、営業損失は126百万円(前年同期は83百万円の損失)となり、Non-GAPP指標での全社費用配賦前営業損失も108百万円(同65百万円の損失)となった。収益力強化のため、マーケティング強化、新商品開発のための先行投資を実施したことにより損失計上が続いたが、保険契約件数は2023年7月の27,703件を底に同年12月は27,781件と緩やかながらも増加傾向に転じている。また、販売代理店の見直し※1と支払基準の厳格化に取り組んだことで、保険損害率※2も改善傾向となるなどを子会社化以降に取り組んできた施策の効果が出始めており、収益化に向けた経営基盤の強化が進んでいるものと評価される。契約件数が今後増加すれば、責任準備金積立ても増加するため見かけ上の損失はしばらく続きそうなものの、2026年6月期には黒字化を目指している。

※1 販売効率の悪い代理店(契約継続率の低い代理店)の整理と新たな代理店(インターネット代理店含む)の獲得を進めている。
※2 保険損害率(支払保険金÷保険料収入)は2022年度の77.7%から2023年度は67.9%に低下し、事業費率(経費÷保険料収入)も同様に112.8%から100.8%に低下した。


(5) インキュベーション事業
インキュベーション事業の売上収益は前年同期比30.4%増の123百万円、営業損失は127百万円(前年同期は122百万円の損失)、Non-GAPP指標での全社費用配賦前営業損失は125百万円(同119百万円の損失)となった。

会社別では官民共創プラットフォーム「逆プロポ」の運営などを行うソーシャル・エックスが売上収益で同50.1%増の50百万円、営業利益で同49.5%増の13百万円と順調に拡大した。「逆プロポ」によるマッチング数が堅調に推移したほか、東京都が公募した「多様な主体によるスタートアップ支援展開事業(TOKYO SUTEAM)※」の協定事業者として選定され、官民共創型アクセラレーションプログラム「ソーシャルXアクセラレーション」を2023年11月に立ち上げた。同プログラムを通じて、社会課題起点の起業家の育成とスタートアップに対しては「社会課題解決」の視点と考え方を付与することによる投資家への提案力のアップ、サービスの横展開の機会づくりを支援していく取り組みとなる。第1期の募集では70社がエントリーし、ファイナリストに選ばれた15社で最終審査会を2024年5月に実施する。

※東京都と協働してスタートアップを支援する事業者 を「協定事業者」として募集・選定し、協定事業者は、東京都やほかの協定事業者と連携しながら、スタートアップや起業希望者などに対し、原則1年半にわたり、それぞれのアイデア、ネットワーク、フィールドなどの強みを生かした多彩な支援を行っていく。協定事業者が行った取り組みの成果に対して、東京都が協定金を支払う格好で、協定金の額については協定事業者が設定したKPIの達成状況、及び事業全体の成果に対する外部有識者などで構成する評価委員会における評価に応じて決定する。


また、「脱炭素社会実現に向けた地域循環共生に関する連携協定」における取り組みとして、伊丹市、阪南市、飯南町にて官民共創による自治体のソーシャル・クレジット活用に向けた事業開発を進めているほか、九州経済産業局と九州オープンイノベーションセンターが主催する「官民共創プロジェクト推進事業」においてワープショップを開催するなど官民共創エコノミーの構築に向けた取り組みを続けている。これら取り組みによる直接的な業績への影響は軽微だが、事業開発に必要となるシステム開発案件を同社で受注し、大型案件化する可能性がある。

法人向けワーケーションサービス※や新規事業開発を行うスカラパートナーズの売上収益は前年同期比107.3%増の85百万円、営業損失は10百万円(前年同期は18百万円の損失)となった。連携または支援先の自治体数が増加したほか、利用法人社数も同2倍増の40社と拡大したことが増収要因となった。一方、利益面では新規事業開発のコスト増などもあり若干の損失が続いた。

※好きな場所や新しい仕事を通じて、地域や人とつながる体験を提供するサービスで、主にワーケーション施設の紹介サイト「Komforta Workation」の運営を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

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