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東証G
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時価総額 386億円
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イード Research Memo(4):2024年6月期第2四半期はネット広告収入減により減益だが会社計画どおりの進捗


■業績動向

1. 2024年6月期第2四半期累計の業績概要
イード<6038>の2024年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比4.5%増の3,027百万円、営業利益で同9.3%減の272百万円、経常利益で同10.5%減の274百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同29.0%減の148百万円となった。売上高は2022年11月に連結対象となったFITPの売上がフルに寄与したことや、サブスクビジネスが順調に伸長したことによりCP事業が増収となった。加えて、CS事業もリサーチソリューションの回復により増収となり、第2四半期累計として2期連続で過去最高を更新した。一方、営業利益は利益率の高いネット広告収入の落ち込みが響いて減益となったものの、収益の多角化に取り組んできた効果もあり、インターネットメディア運営の同業他社に比べると減益幅は小幅なものに留まった。本来の収益力を示すEBITDA(償却前営業利益)についても同5.2%減の344百万円と若干の減益となっている。親会社株主に帰属する四半期純利益の減益率が大きいのは、前年同期に特別利益として計上した投資有価証券償還益39百万円がなくなったことによるものだ。

通期計画に対する進捗率は、売上高で45.2%、営業利益で41.9%とやや低水準に留まったが、第2四半期まではネット広告収入の低迷が続くことを想定していたため、社内計画に対しては順調な進捗だったと見られ、特に第2四半期はネット広告収入が上向いてきたこともあり、営業利益で前年同期比10.7%増の177百万円と2四半期ぶりの増益に転じるなど回復感が出始めている。

(1) CP事業
CP事業の売上高は前年同期比4.4%増の2,702百万円、営業利益は同11.8%減の207百万円となった。売上高の内訳を見ると、データ・コンテンツ提供売上は同7.9%増の1,148百万円となった。FITPの売上貢献に加え、自動車情報メディア「Response」やネットセキュリティ情報メディア「ScanNetSecurity」などの有料会員数増加によるサブスク収入の伸長、また規模はまだ小さいものの、エンファクトリーによる越境型研修サービス※が認知度上昇に伴い利用企業数が増え始めたことも、増収要因となった。

※越境型研修サービスのうち、「複業留学」は企業が従業員のリスキリングも含めた人材育成や成長機会の提供、自立支援などを目的にベンチャー企業で2~3ヶ月程度、副業あるいは研修経験を積ませるサービス。受け入れ側企業にとっては外部人材の活用により課題解決につながる可能性があり、双方がメリットを享受できるサービスだ。2020年7月のサービス開始以降、越境経験者数は2023年6月末で約120人だったが、2024年1月時点で200人を突破した。累計利用企業数で25社、登録ベンチャー企業数で250社を超えている。また、2022年7月より開始した「越境サーキット」(ベンチャー企業の課題に触れることができる対話型オンライン研修)も大手企業を中心に越境経験者数が100人を突破した。


なお、FITPの売上規模は年間6~7億円で、そのうち約5割は自社が所有する「つくばテクニカルセンター」で提供する車両衝突実験サービス事業(データ・コンテンツ提供売上)、残りがデータセンターの設備や電源・ネットワークに関わる管理システムの提供・運用・保守を行うケーブル&ファシリティマネジメント事業(メディア・システム売上)となる。ここ最近、自動車メーカーで車両開発試験に関する不正問題が明るみとなるなかで、開発試験の厳格化による需要増が期待されるほか、国内におけるデータセンターの設備投資計画が相次ぐなかで、ケーブル&ファシリティマネジメント事業も事業拡大を図る好機になると弊社では見ている。

メディア・システム売上は同39.5%増の612百万円と大きく伸長した。FITPの売上貢献が主因だが、複数ECショップ一元管理システム「TEMPOSTAR(テンポスター)」を展開するSAVAWAYも、2023年4月にBASE<4477>の「BASE」とサービス連携を開始するなど連携先の拡大を進めたことで契約数が伸長し増収となった(2024年2月にはメルカリ<4385>の「メルカリShops」とも連携)。一方、ネット広告売上は同15.2%減の718百万円となった。インターネット広告市場ではSNS動画広告が高成長を続けるなかでインターネットメディアへの広告出稿意欲は鈍く、広告単価も軟調に推移したことが減収要因となった。ただ、第2四半期だけで見ると売上高は同8.2%減の380百万円とマイナス幅は1ケタ台に縮小し、第1四半期と比べると売上高・広告単価ともに上向くなど、当面の底は脱したと考えられる。出版ビジネス売上は巣ごもり需要の反動減が続いており、同6.7%減の243百万円と減少基調が続いた。

営業利益は、利益率の高いネット広告の売上減少により減益となり、営業利益率も前年同期の9.1%から7.7%に低下した。ただ、同社ではネット広告に依存しない収益基盤の構築にここ数年取り組んできたことで、ネット広告による減益分をその他ビジネスの増収効果である程度カバーできたと評価できる。

(2) CS事業
CS事業の売上高は前年同期比5.1%増の325百万円、営業利益は同0.4%減の64百万円とおおむね前年同期並みの水準を維持した。営業利益率も前年同期の21.0%から19.9%と若干低下したものの、採算重視の営業活動を継続したことから高水準を維持している。売上高の内訳を見ると、リサーチソリューションが大型案件を受注したことにより同12.5%増の234百万円と4期ぶりに増収に転じた。一方、ECソリューションはEC業界全体の成長がやや鈍化した影響もあって同10.0%減の90百万円に留まった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HH》

 提供:フィスコ

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