電算システムHD Research Memo(9):3ヶ年計画と2027年12月期までの長期的な経営方針を定める
■成長戦略
1. 長期計画「Challenge1000」
電算システムホールディングス<4072>は長期計画として「Challenge1000」を掲げ、ESG、SDGsの要素を加味しながら、2027年12月期に売上高1,000億円を目指している。これまで培った情報処理に関するノウハウと、IT技術とサービスを組み合わせることで生まれる「新しい価値の創造」を、「情報サービス事業」「決済サービス事業」「クラウドサービス事業」「新規事業」の4つの事業を通じて実現していく。ESG、SDGsの具体的な施策としては、紙を使用する同社の主力商品である収納代行サービスの払込票において、紙に代わる形態(PAYSLE、SMS等)に注力するほか、顧客のクラウド利用拡大を目指すデータセンターでは、社会全体のエネルギー利用の効率化に寄与している。さらに、データセンター自体でも電力使用効率向上(省エネ)と、将来は再生可能エネルギー利用率の向上に取り組む。そのほか、「DSKマルチインボイスサービス(請求書作成代行サービス)」による請求書の電子化もESG、SDGsにつながるとしている。
2. 3ヶ年計画
同社は、2024年12月期から2026年12月期までの3期にわたる3ヶ年計画を策定し、2026年12月期に売上高800億円(情報サービス事業:472億円、収納代行サービス事業:327億円)の目標を設定した。この期間を「新たな価値を創造し、計画以上の成長を目指す」期間と位置付け、売上高については毎期10%以上の増加を目指すとともに、利益率を毎期改善することによって目標達成を図る考えである。この3ヶ年計画は前述の長期計画(6ヶ年)の中では3年目から5年目の期間にあたり、長期計画においても重要な時期となる。従来の情報サービス事業や決済サービス事業の拡大に注力するとともに、新規事業としてDX事業、セキュリティサービス事業、十六FGとの合弁事業を掲げている。
DX事業推進の中心となるのはやはり自治体関連のDX案件の取り込みである。案件取り込みの有効なツールとなるのは「みんなのミチシルベ」シリーズであるが、同社は単に受託開発や製品導入を受注してもそれだけでは「真のDX」にはならないと考えている。自治体が抱えるニーズをキャッチすることをきっかけとして、自治体の業務の進め方における課題をコンサルティングによって明らかにする。その後、同社として対策をトータルに提案、受注につなげてはじめて「真のDX」になると考えており、今後こうしたアプローチを進める。このアプローチは自治体に限ったものではなく、一般企業に対しても同様に進める考えだ。
十六FGとの合弁事業については、十六FGから顧客の紹介を受け、その企業が抱えるDXに関する課題をヒアリングしながら案件の具体化を進めており、新規事業の業績拡大に今後どの程度寄与するか弊社としても注目している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《HH》
提供:フィスコ